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傘道
2026-02-14 21:53:32
1397文字
Public
ライイワ
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初めてのプレゼントは〇〇
znzrの🐺🪛です。
VDなのでチョコレートの短い話です。
「姉貴!」
グレースを呼ぶクレタの声でアンドーとグレースは声がした方を向いた。
クレタが走ってこちらに向かってくる。
「おチビちゃん、どうしたんだい?まさか、トラブル?」
「そうじゃなくて、これ!」
クレタがラッピングされたチョコレートを差し出した。
「今日、バレンタインデーだろ?いつも世話になってるから。あ、アンドーの分もちゃんとあるぞ!」
ニカっとした笑みでクレタはもう一つチョコレートを取り出した。
「ありがたくいただくね。ちゃんとお返しもするよ。」
グレースは笑顔でチョコレートを受け取る。
しかしチョコレートを受け取ったアンドーの顔は青ざめていた。
「今日ってバレンタインか?」
「そうだぞ。」
完全に忘れていた。
『2月14日に会えませんか?』
数日前にノックノックでそう聞いた恋人に『仕事終わりなら』と返事した。
なんかあったっけ?とその日は首を傾げたが、会いたい気持ちは常にあるのできっと向こうも会いたいのだろうと軽く捉えていた。
なんでバレンタインデーの存在を忘れていた。
恋人のビックイベントじゃないか。
大人になって初めての恋。
その恋が実って初めてのバレンタインデーなのに。
「大丈夫か?今日早めに上がっていいぞ。」
アンドーは心配そうにしているクレタに謝罪してから退勤する。
もうケーキ屋などのお菓子を扱う店は閉まってる。
コンビニで買えるかもしれないが、相手はヴィクトリア家政のライカンだ。
口に合うお菓子がコンビニで見つかるかわからない。
メッセージカードも買えそうにない。
どうしよう、なんで忘れてた!
後悔してももう遅い。
約束の時間が来てしまった。
「お時間いただきありがとうございます、アンドー。」
ワインレッドのタートルネックに重厚感のある黒いコート。
手には赤いバラが一輪。
そして丁寧にラッピングされたチョコレートの箱。
箱の上には洒落た封蝋で封をされたメッセージカード。
バレンタインデーに気合いを入れた、ヴィクトリア家政のボスがそこに居た。
対してアンドーは仕事終わりで普段通りの仕事着のまま。
チョコレートも花もメッセージカードも持っていない。
「本日はバレンタインデーなので、恋人であるアンドーに細やかながらチョコレートをお渡ししたく。このライカンが作ったチョコレート、お口に合えば良いのですが
…
」
しかも手作りである。
アンドーは引き攣った笑みを浮かべ、冷や汗を流した。
「アンドー?」
「悪い!ライカンさん!今日バレンタインデーであること、すっかり忘れていた!」
アンドーは漢だ。
言い訳せず、謝罪した。
「チョコ持ってないんだ!だからお詫びと言ってはなんだが
…
俺をプレゼントする!好きにしてくれ!」
ライカンの耳と尻尾がぴたりと止まった。
恋人からなかなか返事が来ないアンドーは不安そうに見つめる。
「あ、やっぱりダメだよな?今日は無理だが、日を改めて
…
」
「アンドー。」
隻眼がアンドーをじっと見つめた。
「貴方様をいただける
…
それはこの世にある、どんなチョコレートでも敵うものはありません。」
だから、受け取ってもよろしいでしょうか?
耳元で熱が籠った声で囁かれ、アンドーはコクコクと頷いた。
アンドーは絶品のチョコレートと恋人からの愛を。
ライカンはとびっきりのプレゼントである恋人自身を。
二人は熱い夜を過ごした。
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