n-2m
2026-02-14 18:42:53
1067文字
Public
 

VD@OFFICE

📺🦾でバレンタイン

「クレイマーさん、ロビーにお荷物が届いています」
受付からの内線にカートは首を傾げた。
会社に俺宛の荷物?
そこそこ長い間ここに所属しているが、こんなことは初めてだった。
通販を頼んだ覚えもない。
心当たりはないがとりあえず確認だけするか、とカートはデスクから立ち上がった。

受付のカウンターには、真っ赤な薔薇の花束と小さな小包が並べられていた。
ここの受付嬢は美人なので、依頼人の男たちがアプローチして行くことも珍しくない。
どうやら今回はこの薔薇をプレゼントされたらしい。モテるのも大変だな、とカートは頭の端でぼんやりと思った。
「俺のってこれ?」
カートが小包を指差すと、受付嬢は首を横に振った。
「そちらもですが、こちらもクレイマーさん宛です」
彼女は小包と、その横の花束を手で示した。
「は?これはあんたのじゃ
「ふふ、違いますよ。ご覧になってください」
受付嬢が顔を綻ばせながら、花束に刺さったメッセージカードをこちらに向ける。
そこには『Dear.Kurt From.M』の文字。
「愛されてますね」
嫌味ではない、純粋な羨望から出た言葉だとわかる声色だった。

薔薇の花束と小包を抱えたカートは複雑な心境だった。
これ、どうすりゃいいんだ
花束はとんでもなく大きいという訳ではないが、狭いロッカーにはとても収まりそうにない。
ということは、今日一日デスクに置いておくしかない。
そして自分の席の横には
「わぁ!カートくん、なーんか素敵な物持ってるね」
そう、これらを贈った張本人、バディであり恋人のマックスが何食わぬ顔で座っている。
「お前なんでわざわざ
カートに怒りの感情などは微塵もない。むしろ嬉しいのだが、マックスの意図が読めなかった。
「カートにバレずに用意するには、こうするのが1番だったんだよね」
それにとマックスが最近加入した新入社員の方にちらりと目をやる。
「俺がどれだけカートを愛しているか、みんなに改めて知って貰わないとと思って♪」
マックスは少しだけ声を張り、周りに見せつけるようにカートと肩を組む。
「絶対そんなことする必要ないべこっちはなに?」
カートは恥ずかしさに少し俯きながら、小包を見つめて呟く。
「そっちはカートが食べたがってた、お取り寄せのチョコレート!後でふたりで食べようね」
耳を赤くしながら小さく頷くカートにマックスは満足げに目を細める。
密かにカートにアプローチをかけていたルーキーは、これを目の前で見せつけられ暫く立ち直ることができなかった。