今日の忍術学園はいつになく騒がしくて、なんでこんなにも騒がしいのか分からない乱太郎は首を傾げていた。なんだかみんな何かに夢中でいるような。乱太郎は今日保健委員の当番であるから、その騒ぎには入ることはできず、せっせと廊下を少し走りながらトイレットペーパーを補充していた。早く終わらせてみんなの輪の中にいきたい!と自分の頭上より高いトイレットペーパーを積んでいるからか前があまり見えず、曲がり角を歩いた瞬間に誰かにぶつかってしまう。
「あわわっ!」
「大丈夫か?」
乱太郎のことを抱きとめたのは小平太で、彼が持っていたトイレットペーパーは小平太が綺麗に足で弾ませて今、彼の腕の中にすっぽりと収まっている。
「あ、あの……ありがとうございます」
「いや、気にするな!それより怪我はないか?」
「はい!」
元気なのはいい事だが、ちゃんと前を見るようにな!と乱太郎の頭をガシガシと撫でて、小平太は乱太郎の持っていたトイレットペーパーを全部持って、更に乱太郎を肩に抱えている。
「え?あ、あの……?」
「ん?どうした?」
さも当然かのように乱太郎を肩に抱える小平太に乱太郎はちょっと戸惑いながら彼に質問をする。
「なんで私、七松先輩の肩に乗ってるんですか……?」
「…ん?私がお前に用があるから早く仕事を終わらせて欲しいと思ってな!」
だから肩にお前を乗せているぞ!と満面の笑みを見せる小平太に用…?なにか約束してたっけ?と首を傾げながら小平太へ問いかける。
「七松先輩の用ってなんですか?」
「…ふ、まぁまぁ、後でのお楽しみだ。」
そう微笑んだ小平太に見惚れているといけいけどんどーん!という掛け声とともに瞬く間にトイレットペーパーは全て補充され、あっという間に小平太の自室へと連れていかれてしまった。そして今、乱太郎は部屋に入った瞬間に小平太に押し倒されている。
「せ、せんぱ…い?」
「…乱太郎、今日はなんの日だと思う?」
「今日……ですか?」
小平太からそう問いかけられて、う〜んと頭を捻る乱太郎。…今日がなんの日なのかは知らないけれど、もしかしてみんなが騒いでいる理由もそれなのかも…と考えている彼に小平太は、乱太郎の鼻先にキスを落とした。
「ひゃっ!?」
「…時間切れだ。今日はバレンタインデーというらしい。」
「ばれんたいんでー……?ですか?」
「あぁ、そうだ。」
「……今日は好きな人のためにチョコをあげると聞いたから、お前に……な?」
「なるほど……ぇ?」
思考が追いつかない乱太郎を横目に小平太は自身の口にチョコレートをひとつ含んで乱太郎の方に顔を近づける。あ、と思う間もなく唇同士が触れて、そして僅かな隙間から小平太の舌が忍び込んできた。そのままチョコレートがゆっくりと溶けていく。
どろりとした濃厚な甘みが小平太の口から移されて、乱太郎の口内に広がっていく。はじめてのキスなのに濃厚なものをされている乱太郎は息も絶え絶えになってきて、小平太の胸板をトントンと叩いて離れさせた。ぷはっと二人の混ざった唾液が糸を引いて切れる。
「はぁ……はぁ…っ、せんぱ、んぅ、」
「…乱太郎、すきだっ、お前のことがっ、ずっと…!…まだ始まったばかりだろう?もう少し頑張ってくれ…。」
目の前にいる小平太の恋心に充てられた乱太郎は、その熱にぶわりと充てられてしまい、こくりと頷くことしか出来なかった。そんな乱太郎を見た小平太はチョコが溶けてしまいそうな甘い笑顔をして、彼の、かわいいチョコの匂いがする小さな唇にキスをしたのだった。
ワード:お楽しみ・夢中・弾ませて
了
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