佐久らぎ
2026-02-14 11:02:33
1127文字
Public 聖魔:文章
 

現パロのラウリニのバレンタイン小話

【創作BL】チョコレートの話が書きたかった

「え? 全部断っちゃったんですか?」
 その日、仕事から帰ってきたラウレンツに、リニは驚きの声を上げた。
「お前がいるのだから貰う訳にはいかないだろう」
「いただけるものはいただいたら良かったのに。食べたかったです、チョコレート」
 残念そうにしているリニに、ラウレンツは眉根を寄せた。
「食べたいなら私が買ってやる。他の人間からの贈り物など手をつけなくていい」
……うーん、でも……
 まだ何かもごもごと言っているリニに、ラウレンツはそれよりも、と言った。
「お前は私に何かくれないのか」
「えっと……
 リニはソファーから立ち上がると、一度私室へと引っ込み、すぐ戻ってきた。
「そんなにいいものじゃないですけど……
 そう言って、手に持っていた小さな箱を差し出した。
「開けていいか」
「はい」
 了解を取ってから小箱をそっと開けてみると、中にはドライフルーツらしき薄切りのオレンジに半分チョコレートがかかっているものが数枚入っていた。
「もっと種類や枚数がたくさん入っているものもあったんですが、とても手が出なくて」
 それが精いっぱいでした、と言うリニ。
「催事場まで行ったのか? 体調は大丈夫なのか?」
「大丈夫です。ちゃんと一人で行って帰って来れました」
 心配げな声を出したラウレンツを宥めるように、リニは彼の大きな手に触れた。
……あと、ラウ様がたくさんチョコレートをいただいてきたら、自分のはいらないかもしれないと思って……
 小さく零されたその言葉を聞いて、ラウレンツは息を吐いた。
「私が、お前がくれるものを要らないと言ったことがあるか? 」
 そう口にすれば、俯き気味だったリニの顔が上がった。
「前はありました」
……出会った頃はな」
 一転、ばつの悪そうな表情になったラウレンツに、リニは微笑んだ。
「でも、ありがとうございます」
 冷蔵庫にしまっておきますね、と箱を持っていこうとする彼の細い腕を引いて、抱き締めた。
「ありがとう、リニ」
 今ならお前が食えと言うなら落ちた髪の毛でも拾って食う、と言うと、腕の中に閉じ込められたリニが身動ぎした。
……ちょっと変態っぽくなりましたよね」
「お前のせいだ」
 抱き締める腕の力を強めると、腕の中の彼が少し苦しそうに呻いた。
「流石に苦しいです」
「すまない」
 そう言われてすぐに放すが、ラウレンツはまたそっとその細い手に触れた。
「チョコレートの返しに何が欲しいか、考えておいてくれ」
 告げられたリニは微笑んだ。
「また、海の見える温泉に行きたいです」
「一週間くらい泊まるか?」
「日帰りで十分ですよ」
 ふふふ、と笑うリニにラウレンツも微笑んだ。