ロビー
2026-02-14 02:10:23
851文字
Public
 

文/ロルシャ、でこっぷ 現行未通過❌

※二次創作
SSのようななにかどす
雰囲気怪文


『ぱちり、とじる』





(班長は)

山道を歩きながら、考える。

(こんな時、どうしたのかな)



■■■



はじまりは痛みと煙の最中だった。

打ち付けられ動かない四肢、濁った空気は肺を焼く……正直、不自由な身体には慣れていたせいで、 身に起きた不幸はすんなり受け入れられた。

ただ、不幸が自分だけに降りかかるものではなかったのが許せなかった。

(嫌だ、嫌だよ)

同行していた仲間に手を伸ばす。燻る視界は相手の輪郭をぼやけさせた。そのせいだろうか、一層恐ろしい想像をしてしまい、

「こんなのいやだ!」

それを否定したくて、強く瞼を閉じた。


■■■


それからだ。
長いながい思考が止まらなくなったのは。
考えつくことは全部やったつもりだ。それでも運命は変わらず、いつしか甲高い音は聞こえてきた。

何度も助けを求めた。苦行も察してくれたし慰めもとびきり優しい言葉もくれた。
それさえ繰り返していくうちにむしろ辛くなってしまったことに気づき、優しさを無下にしかねない自分に嫌気が刺した。

せめて、この優しい人だけでも辛い目にはあってほしくなかった。


(班長だったら、どうしたかな)
きっと繰り返すことに慣れてるから、 冷静に、何か光明を見出せるかもしれない。

(梨谷さんなら、どうだろう)
時々幼さも見せるけど、豪運と胆力のある人だ。根気強く解決の糸口を探したりしそうだ。

(四ノ宮さんは、)
豊富な知識で切り抜けるヒントを思いつけたりするのだろうか。

(……………おれは)

心も身体も弱い自分に、何ができるのかな。



ずっと考えていた。何ができるのか。
それでもなんにも思いつかなくて先延ばしにして……
ただ、この状況に、不幸に、自分以外を巻き込むのだけは、許すことは出来なかった。
もう二度と自分のせいで、誰かが悲しい目に合うのは、嫌だった。




渾原 寿々理が、まばたきをする。
未だ燻る、未確定の恐ろしい現実を否定するために。