匣舟
2026-02-14 12:14:00
1629文字
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宇宙で唯一を贈りたい

バレンタイン企画の土井乱です。現パロ・同棲設定。
先に投稿している同棲土井乱と同じ人物たちです。


 今日はバレンタインデーということもあり、乱太郎の通っている大学ではいつもより大学内の活気が満ち溢れているような雰囲気だった。そんな活気に満ち溢れている大学内とは裏腹に、乱太郎の表情はムスッとしている。
 ムスッと頬を膨らませている乱太郎の目線の先にいるのは、大学内でイケメンと話題で講義も抽選になるほど女子大生たちに人気の土井半助である。
 女子たちに取り囲まれて照れている姿を見た乱太郎その光景を見たくなくて踵を返した。ああ、あんなにデレデレしちゃって。チョコもどうせ自分だけじゃなく他の人にも沢山貰ってるんだろうなあ。と乱太郎は心の中で悪態をつく。
 自分の恋人が人気なのは喜ばしいことだけれども、やはり恋人が自分以外の女子にデレデレしている姿を見るのは気分のいいものではないのだ。
 もう、あの人なんてしーらない。とむくれた顔のまま早足でキャンパスを歩いていると、乱太郎。と後ろから自分の名前を呼ばれる。名前を呼ばれたので振り返るとそこには先程まで女子たちに囲まれていた半助が居た。
「乱太郎、良かった。まだ近くに居て。」
 乱れた髪型は今しがた乱太郎の元へ走ってきたことが窺え、乱太郎は思わずポカンとしてしまう。
 するとそんな乱太郎の様子を見た半助は、周りをキョロキョロと見渡して近くに誰もいないことを確認すると乱太郎の手を引いて、自分の研究室へと引き入れた。扉の鍵をがちゃり。とかけてから無言で乱太郎をぎゅう、と抱き寄せて肩口に頭を埋める半助に対してやっと意識を取り戻した乱太郎はキッと半助を睨みつけた。
「もう!いきなりなんですか、土井先生っ!」
「ごめん。いや、乱太郎が凄い勢いで私のことを見て踵を返すから。あと、今は二人なんだしいつもみたいに半助さんでいいよ。」
……土井先生のせいですもん。」
 いつものように半助さん。呼びそうになった名前をやめて、土井先生と呼んで頬を膨らませてそっぽを向いた乱太郎。自分からそっぽを向けたのに、半助からの反応がないことを不思議に思ったのかチラリと目だけで横目で見れば、少し困ったような顔をして俯く半助が見える。
「あー……その、どこから見てたかは分からないんだけど、さ。ちゃんとチョコ断ったんだよ。私が欲しい相手はこの世界の中でひとりだけしかいないからね。」
 乱太郎を見据えて眉尻を下げて笑う半助の姿に、さっきまでの怒りなどどこかへ飛んで行ってしまって、乱太郎は半助の胸元に頭をぐりぐりと押し付ける。
「ずるいですそんな顔しながらそんなこと言うの。」
「ふふ、本当の事だし、乱太郎の誤解を解くためだったら私は何でもするよ?」
 乱太郎の頭上から聞こえる笑い声になんだか半助の大人の余裕っていうものが垣間見えてムッとした乱太郎は、ジトッとした視線を半助に向けると、それに気づいた半助がまた笑みを浮かべる。
「ね、乱太郎。チョコ、ちょうだい。」
 ここにちょうだい。と言わんばかりにあ、と口を開けている半助に、乱太郎は鞄の中に隠していた手作りのチョコレートを包みを開けて一粒、彼の口の中に入れる。
 甘すぎないかな、大丈夫かな?と心配している乱太郎を他所に半助は自分の口にチョコが入ったことを確認した瞬間、即座に乱太郎の手を引いて、そのまま彼にキスをした。
「んぅっ!?」
 突然のことに驚き、思わず一歩後ずさってしまった乱太郎の腰を抱き寄せた半助は、乱太郎の口内へ舌を入れた。甘くて蕩けそうな口付けに酔わされそうになりながら、ようやく唇が離された頃には乱太郎の息は上がっていた。肩で呼吸をしている乱太郎の頬を優しく撫でながら半助は微笑む。
乱太郎、ごちそうさま。甘かったよ?」
……もうっ……、ばか!」
 半助さんなんか知らないっ!とそっぽを向いた乱太郎を後ろから抱きしめた半助は、はは、ごめんって。と笑いながら愛おしそうに乱太郎の額にキスを落としたのだった。