望月 鏡翠
2026-02-13 22:47:53
993文字
Public 日課
 

#2001 浴室事変

#毎日最低800文字のSSを書く/祝福の塔


 部屋に戻ると、元々の家主である津鞠も戻ってきていた。彼女も暑いから着替えるのだろうか。
 そういえば、着替えのときどうするのか、ルールとか特に決めていない。
 まあ、いいか。その時になったら声をかけて、なんとなくやろう。
「ねー、津鞠さん。主にめっちゃ臭いって言われたんだけどさ〜、臭う?」
 嗅ぎやすいように、少し体を低くする。
 あの距離で臭うって、頭とかそもそも服とかだろうか。靴を脱いでないから足ってことはないだろう。
「ぇまって全然わからん。普通に体臭ぢゃない?」
 津鞠は首を傾げる。
 臭いは本人にはわからないというが、他人にチェックしてもらって大丈夫それはもう大丈夫だったと思いたい。もしかして、ただの悪口だったのかという可能性も少し考え始めていた。
「だよなぁ! でも不安だから体洗うわ。シャワー使いまーす」
 ビジネスホテルくらいのシャワールームはあるし、着替えも新しくした。体を拭いたタオルも新品。使ったところで、別に生乾きの匂いなんてしない。ただしこれは最初の一回だけの話だ。
 部屋には洗濯機までは付いていないから、街で洗濯する手段を探すか、いっそ新しいものを探すかした方がいいのかもしれない。
 生き返った瞬間に時間が戻るなら、ここでどんなにお金を使っても、現実には損失がないはずだ。
 どうせなら一ヶ月分の日用品も買い込めればいいのになんて思ったけれど、それは流石に欲張りすぎだろう。
 いつもより入念に、時間をかけて体を洗う。
 シャワールームを出ると、目が合った瞬間に津鞠が破顔した。
「ねえかやまありえんまだ津鞠いるのにパンイチなんだけど」
「え!? ごめん。海パンくらいのレベルのセーフ具合じゃない!? 浴室狭いから中で着替えんの怠いよぉ」
 パンイチはセーフだろ。セーフじゃないか?
 いや、女子がパンイチになってたらまずくねと思うけど、男子は教室で着替えたりとか普通にするだろ。パンツを履いているからセーフだ。大事なところは見えてない。
 パンツだけは、浴室の中で履いてきた。
 汗がひかない状態のまま着替えるのが、あんまり好きではないのだ。せっかく新しい服を着たのに、汗でベタベタになる気がする。あとシャワーの水がかかって着替えが濡れたら嫌だ。
 色々理由を並べたけれど、実際面倒くさいからまぁいいかと思って出てきてしまっただけだ。