今日は友達や家族に感謝を伝える日。フームは沢山のお菓子を準備し、ププビレッジの皆に配っていた。
村中を回って配り終えれば、空は青色から赤色に染まる頃。お城に戻って見回りをする二人の騎士にも感謝を伝え、皆と同じく手作りのクッキーを渡した。まだお菓子を渡せていないひとはあと一人。
騎士達の部屋の前に立ち、一度深呼吸をしてからドアをノックした。
「入れ」
和と洋が混ざり合いつつも洗練された部屋。小上がりになっている畳の上に座っていたメタナイト卿と目が合った。先程まで読書をしていたのであろう。彼の目の前にある机の上には、栞が挟まれた本が置かれてる。
フームはいつもと変わらない笑顔を装い、彼に話し掛けた。
「こんばんは!貴方に渡したい物があるの」
彼は畳の上から降りると、金に輝く双眸を真っ直ぐと私に向けた。
「渡したい物?」
「今日はププビレッジではお世話になった人へお菓子と一緒に自分の想いを伝える日なのよ。いつもありがとう!」
メタナイト卿は差し出された小さな箱を受け取り、いつもより少し柔らかな声で応える。
「私こそ、いつも其方には感謝している。」
無事に感謝のしるしを渡せた所で、本題を切り出した。
「ところで今朝、差出人が分からないメッセージカードが届いてたのよ」
フームは彼の前に1枚のメッセージカードを見せた。飾り気の無い真っ白なカードには"Will you be my valentine?"と書かれている。私の特別なひとになってくれないか?所謂ラブレターだ。
差出人が分からないと言ったが、こんなにも綺麗な字を書くひとは私が知っている中では彼しか居ない。
二つの金色が少し揺れた気がした。
火照る顔をカードで隠しつつ、彼女自身今までずっと伝えたかった気持ちを乗せ、言葉を続ける。
「貴方に答えれば良いのよね?"Yes, I’d love to!"」
彼がどんな反応をしてくれるのか期待をする。しかし彼はフームの頭を一撫でした後、何も言わずに立ち去ってしまった。
少し呆気にとられつつも撫でられた所に手をやると何か硬いものが。外してみればそれは一輪の薔薇があしらわれた髪飾りであった。
彼女は部屋を飛び出し、彼を追いかけた。
辺りにはフームが渡したチョコレートの香りが漂っていた。
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