アサフタ
2021-06-15 12:55:30
336文字
Public 死黒
 

死黒/飲み物

死柄木弔が作る、たったひとつのレシピ(というほどのものでもないもの)の話

「うすい」
 黒いモヤが作ったカルピスを口に含んでから、感想をもらす。こいつのことだ。計量カップできっちり測ったんだろう。それでも薄い。
 そこの方から混ぜてみては、との提案を無視し、冷蔵庫へ向かう。整然とした中から牛乳と原液を取り出し、空のグラスに注いでやった。
 この方が濃くておいしい。どこで得た知識なのか、思い出そうとすると体調が悪くなるので蓋をした。
 真っ白な液体を真っ黒な体に向かって突き出す。黒霧は律儀に「ありがとうございます」と述べてからグラスに口をつけた。
 銀の装飾に覆われた首元が、ゆらゆら揺れる。
「ああ。確かにこれは、濃くて美味しいですね」
 黄色い瞳が空気に溶ける。カルピスよりもうまそうなそれから視線を外し、水っぽい飲み物を嚥下した。


【LINK】pixiv / X / マシュマロ