Xのフォロワーさんが小説に挑戦していたので応援の気持ちで書いています。あと普通に「なんでこのプロットからこうなるのか言語化できねえんだよ!」になったので。言語化頑張ってるおたくなのでできないと悔しい(?)
例として過去に書いたREBORNのバジルくん夢「綺麗な目」を使います。改稿前後のデータが残っていたのと、初稿から改稿まで時間が空いていてだいぶクオリティアップした痕跡があったので。少しはわかりやすいといいな。
本当に初稿が古い(2013年って書いてました)ので非常に恥ずかしいのですが、まあこれ以上古いものだと恥ずかしいじゃ済まないので良しとします。冷静に分析できるギリギリのラインです。
初稿の作品
改稿後の作品
>じぃーっと、彼を見つめた。
ここは改稿時点でも変えずに揃えてあります。この作品といえばまず冒頭のこの一文という印象が自分の中にあったので、そこは芯として残してあるはず。
初稿>見つめられ、きょとんと首を傾げるバジル君。
改稿>見つめられた相手
――バジル君は、きょとんとした顔で首を傾げる。その瞳は海のような澄んだ青色をしていて、目が離せなくなった。
初稿時点ではシンプルにお相手であるバジルくんの行動だけを書いていますが、改稿後はこの時点で「目」や「瞳」が話のキーワードになるということ、視点主である夢主が何に惹かれて見つめたのか、辺りを明確にしています。
また、初稿は体言止め(名詞や代名詞で文を終える)を多用している節があるので、それも解消しています。効果的に使うのはもちろん問題ないですが、初稿の文章はあっさりめなので文を整えることを投げているように見えちゃうかな、という懸念があるので
……。
初稿>「目」
改稿>「
……目」
直後に続くのが「呟く」なので、少し溜めて小さな声で言った雰囲気になるように、三点リーダ(
……)を冒頭に足しています。
初稿>聞こえないくらい小さく呟く。
改稿>聞こえないくらい、小さく呟く。むしろ聞き取れなければいいのにと思ったけれど、残念ながら彼の耳は私の声をしっかり拾ったようだった。
句読点は好み。意識的に読点を入れると語り手の迷いが出て情緒的になる気がするので入れているという節はあります。
後半部分は初稿では次のセリフ後にある「だけどバジル君の耳は、私の言葉を拾ってくれた。」にあたります。「聞き取れなければいいのに~」で語り手の心情(ちょっと投げやりだったり、照れくさい気持ち)を明確にして、「残念ながら」で否定することで繋げて、「彼の耳は~」で着地。
初稿では「拾ってくれた」と断定にしていますが、改稿後は「拾ったようだった」と推定にしています。なんとなくですが、断定するなら意思がある存在の行動の方がいいかも。「バジル君の耳」が「拾ってくれた」のは行動ではなく機能なので、推定にしたい派閥です。
改稿>話題の中心である彼の目が、ぱちぱちと不思議そうに瞬く。
初稿ではセリフの後にあった部分が改稿後はセリフ前に移動したので、バジルくんの反応をセリフ以外にも補足しました。
初稿>恥ずかしいのだけれど、この流れで何も言わないわけにはいくまい。私の言葉を待っている彼に小さく頷き、私はできるかぎり早口に言った。
改稿>自分の気持ちを伝えるのは恥ずかしかったけれど、この流れで何も言わないわけにもいかなくて。私はできる限り早口で言葉を紡いだ。
改稿後は「なにが恥ずかしいのか」を明確化したのと、「いくまい」がちょっと渋すぎてこの作品のラブコメ感に合わなかったので、少女らしい口調に変えています。
「早口に言った」を「早口で言葉を紡いだ」にしたのはシンプルに「言う」の多用防止かな。
初稿>真っ赤になっていると、バジル君は少し恥ずかしげに笑う。
改稿>ああ、顔が熱い。きっと真っ赤になっていることだろう。彼も少し恥ずかしげに笑って、お礼を言ってくれる。
冒頭に語り手の感覚を追加して、赤面のくだりを推定に変えました。赤くなっているかは予想がつくけれど、確認はできないというやつですね。
バジルくんの「お礼を言ってくれる」は、直後のセリフでお礼を言ったあとに発言者を明記していなかったので、念のために前に足したという感じです。
初稿>すごく可愛い笑顔。悔しいくらい。
改稿>その表情は悔しくなってしまうくらいに可愛らしい。元の顔が美人なだけある。
少しぶっきらぼうな文になっていたため、一文にまとめ直して、語り手から見た理由(元の顔が美人)を追加しています。普段からそう思っている、というのが伝わればいいなぁの気持ち。
初稿>だけど私は、少し落胆してしまった。
改稿>だけど私は、彼の言葉を素直に受け止められなかった。
落胆という感情だけだと冷たい言い方にも感じられるので、ちょっとマイルドに書き換えています。
初稿>仮にも恋人なんだし、私の目を褒めるくらいのことはしてほしい。もちろん私の目なんて、彼みたいに綺麗じゃない。ごく普通。
改稿>仮にも恋人同士。私の目を褒め返すくらいのことはしてほしい、なんてとんだわがままを抱いてしまったのだ。
この辺りも初稿では冷たいというか、自分勝手な性格に見えてしまう部分だったので、改稿後は語り手の願望が本人から見てもわがままである、ということを強調しています。
初稿>嫌な奴だなあ、私。軽く自己嫌悪に陥って俯く。
改稿>自分がいかに嫌なヤツなのかを実感してしまい、思わず俯く。
独白でも伝わるのですが、改稿後は客観的な形に変えています。また、「自己嫌悪に陥る」もちょっと固さや暗さを感じさせる表現だったので書き換えていますね。ラブコメにしたい。
初稿>すると、バジル君が私の頭を優しく撫でた。見上げると、そこには日射しに照らされた笑顔。
改稿>すると、バジル君が私の顔をそっと覗き込んだ。穏やかな笑みが私を見つめる。
ここまでの雰囲気から、まだまだ付き合い立てのカップルのような印象ができていたので、撫でたりする距離感は違うかな?と思って変更しました。
また、「日射し」に関しては必要な情報ではないので削りました。会話が主体の話だったので、背景である場の情報は必須ではないと思っています。二人の世界だったり互いしか見えていない感じがあって好き。
初稿>「拙者の目が綺麗に見えるのは、綺麗な貴女をずっと見ているからですよ」
改稿>「拙者の目が綺麗だとしたら
……きっと、綺麗な貴女をずっと見ているからです」
キャラクターらしさを重視して、断定から推定寄りに変えています。断定に近付けるといわゆる「キザなセリフ」に近付いて、推定に近付けると「ピュアなセリフ」になるイメージ。
初稿>一瞬で顔が茹で上がった。
改稿>下がった体温が一気に戻っていく。それどころか平熱を通り越しそうなくらい熱くなる。
初稿の文でも赤面は伝わりますが、改稿の際に先に出た「俯く」を利用して、一度下がった温度が今度は上がりすぎる、という形にしています。今思うと「下がった体温」はもうちょっと事前に伝えても良かったかも。
初稿>普段の彼からは考えられない甘い言葉。その破壊力は抜群で。
改稿>普段の彼はどちらかというと可愛い系で、こんな甘い言葉をくれるイメージはなくて、つまりは破壊力が抜群で。
語り手が持っている「普段のバジルくん」のイメージを明記しているのと、「
……で、
……で、
……で。」のリズムが好きなのでここで使っています。蛍月頻出リズム。(?)
初稿>口をぱくぱくさせて、思わず目を逸らそうとすると逆に覗き込まれる。
改稿>目を逸らしてしまいたいのに、彼の指先が頬に触れ、顔を動かすことすら許してくれなかった。
ここはバジルくんの行動自体を少し変えていますね。ようやく触れさせることで、距離が近付いた雰囲気を強調しているのと、語り手が「可愛い」と思っている相手の「男らしい」「格好いい」部分のギャップを作っています。
初稿>「拙者、貴女をもっと見たいです。見ていてもいいですか?」
改稿>「拙者は貴女をもっと見ていたいです。
……いい、ですか?」
初稿の「見たいです」だとストレートすぎて幼さがあったので、「見ていたいです」にしています。初稿時点で「見たい」と「見ていたい」の表現が二重になっていてくどく感じるというのもあって、「いいですか?」の問いかけ部分の距離を離しつつ、表現を合体させた、という形ですね。
改稿>あ、ずるい。
ここまで長めに地の文を使ってきたので、語り手のシンプルな感想に近い部分だけで改行して、印象づけています。
改稿>綺麗な目が私を見つめる。澄んだ青に私が映っている。その事実は恥ずかしくって、だけどどうしようもなく嬉しくて。
「綺麗な目」というタイトルと、序盤に出した「澄んだ青色」を回収しています。これもひとつの伏線回収ですね。
そして「
……て、
……て。」が再来していますね
……。またいるぞこいつ
……。
初稿>「
……うん」
改稿>「
……いい、よ」
初稿では問いかけに対する返答がすぐに出ていたので「うん」で通じていたのですが、改稿では問いかけと返答の間に描写を挟んでいるので、初稿よりちょっと時間がかかったという認識がありました。なのでイエスかノーか明確に、という理由でセリフを変えています。
初稿>恥ずかしいけど、綺麗な目を見て頷いた。
改稿>頷く私は、彼の目の中でもわかるくらいに赤くなっていた。
締めとなる一文でも「目」を強調。「彼の目の中でもわかる」の部分でバジルくんの目を見ているという表現です。
というわけで、セルフ分析みたいな感じで解説してみました。蛍月頻出リズムが思ったより頻出でちょっと笑っちゃった。
「こういう理屈で文章を整えている」という、ひとつの例として、参考になれば幸いです。
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