sumitomo7
2026-02-12 19:54:16
5502文字
Public
 
2003619

きみが運命じゃなくても、

⚠️メリーバッドエンドです⚠️
ふたりはずっといっしょですが、しあわせに見えないかもしれません。

【(独断と偏見強めの)オメガバース用語解説】
オメガバース…生物学的な性・男女のほかにα(アルファ)、β(ベータ)、Ω(オメガ)という3つの性があるという特殊設定。

α…少数派。能力やカリスマ性が高いエリート層。フェロモンに反応する器官が強い。
β…多数派。いわゆる「一般人」の枠。
Ω…少数派。発情期があり、その期間特に強いフェロモンが出る。αとΩを産みやすい。「産むための性」として扱われがち。
番… 特定のαとΩが結ばれた関係。フェロモンがその相手にしか作用しなくなったり、発情期が安定する等、変化する。“運命の相手”と評すこともある。
巣作り…Ωが発情期、番の持ち物などを集めて鳥の巣のように籠る行為。相手のフェロモンに包まれて安定をはかる。

攻め受け受け攻め攻め攻め受け攻め攻め攻め受け受け攻め攻め攻め受け受けせめ攻めせめせめせめせめ受け受け受けせめ受けせめせめ受け受けせめ受け受け受け攻め受け受け攻め受け受け受けせめせめ受け受け攻め受け【パロディ設定】
攻め⇒α。
αであり、優秀でもあるが、努力せず、目立ち過ぎない立ち位置を好む。
他者への興味が薄く、今までαにもΩにも興味を持ったことがなかった。
βの受けに惹かれたのはフェロモン関係なく、心根から。
受け⇒β。
聞き上手で穏やかに笑う、けれど特出した所は見当たらないβらしいβ。
攻めに好意はあるけれど、「別世界の人」だと眩く見ていて、関係への期待が0に等しい。


* * *


隣でにこにこ楽しげに笑ってくれるのに、いつだって一線を引かれていると感じる。

「好きだよ」
……え?」

この距離感を詰めたくて言ったのに、返って来たのは、うれしさよりも困惑が勝った目。

信じられないって顔、してる」

好きだと言ったら、私も、と返ってくるとは思っていなかった。
好意は持たれている、と思う。けれど、いつだって遠いものを見るようなまなざしで。まるで手がとどかないもののような。
それはβからよく向けられるものなのに、この子からそう見られることが歯がゆい。

「や、ぁ、ごめんなさ、うれしい、です。ありがとうございます……私、βで。攻めさん、αじゃないですか。とっても優秀だし、人柄もやさしいしβの私じゃ、釣り合いません。そんなこと、考えたことも、なかったです」

困ったように言われて、眉を下げて笑う。
世間体も常識もこの子にとって大事で、それを全部踏み越える熱がない。初めから期待されていない、というのが分かる──悔しい。
こんなことを思うのはこの子だけなのに。

「ううん、急にごめんね。でもうれしいんだ?それなら、俺、諦めないでいいよね」
「えっ」

ビックリしたように目を見開く様に、物理的に距離を詰める。

「俺のこと、嫌い?恋愛対象にならない?」
「え!?いや、そんな、攻めさん、αだし、かっこいいですし、色んな人が、」
「俺は、受けの気持ちを聞いてる。俺は、恋愛対象に、ならない?嫌い?」

言い含めるように尋ねる。そうなら早く言って。距離を詰めても顔を赤らめるだけで、緊張したように身を縮めるだけで、拒否してないように見えると、拒否しないと、

……そんなこと、ない、です、けど……

逃がしてあげられないから。


* * *


……あの、攻めさん、」
「聞かない」

抱え込んだままベッドまで歩く。
距離をつめて、好意を渡して、好意を深めるように誘導して、みっともないくらいこの子に執着して、やっと恋人になっても──どうしようもなく付き纏うバース性が嫌いだ。
バース性関係なくこの子が好きだと何度も何度も言っているのに、何度も何度も「βはαに似つかわしくない」という言葉を浴びせられて、

「わ、私、やっぱり、βだから、αの攻めさんと、」
「聞かないって言った」

一番言われたくないこの子もずっと俺にそう言う。
どさ、とベッドに身体を下ろす。ああ、この子の目に映る自分はやさしい男でいたいのに。怖がらせて身を引かれるようなことは、したくないのに。
暴力的な衝動が止まらない。

「聞いてください!攻めさんには、もっと似合う人がいます、私たち、やっぱりお別れした方がっ」

プツン、と何かが切れた音がした。

「嫌だ」

理性的に対応して思うかぎりやさしくして出来るかぎりこの子の意思を尊重してきて俺が出来る手立てなんてもうほとんどない上で言い続けるんだからバース性なんてどうにも変わらないんだから俺がこのまま衝動に任せても同じでは?

「そうだねぇ、αの相手はαかΩが多いねぇ。俺はそんなの興味なくて、βだろうが受けしか欲しくないんだけど。受けはずっと気にするねぇ。
……なってみる?αに相応しい、Ω。」


* * *


ちくり、とした痛みが背中に走る。針で指を刺すくらいの痛みで、耐えられないほどではない。多分包丁で指を斬る方がよほど痛い。

「え?ぁ、え?それ、あ、なに、私に、なに、刺して?」

攻めさんの持つペンに似た形のそれ。私を刺したものは、どこかで見たことがあった。たしか、糖尿病とかの人が刺す、インスリン?自分で打てる注射で……注射……?私、何をされたの?
離れなきゃいけないと思っても、この人が自分を傷つける訳がないと、無意識で思っていた。
私、攻めさんに乱暴されるほど、攻めさんのこと、傷つけた?怒らせた?どうしよう。
常識が覆ったかのような感覚。足元がグラグラ、崩れるような。身体も唇も震えてしまう。こわい。この人が、自分を傷つけていいと思うようになったのが、こわい!
そんなこと絶対ないと思っていた。傲慢で勝手な期待が崩れて、じわ、と涙が浮く。

「あは、ごめん、怖かった?大丈夫だよ、俺はね、」

背筋が凍るように冷た、かった。はずなのに。じわじわと身体の芯が熱を持つ。
え?なに?なんで、あれ??
とぷ、と内側から何かが溢れ出してくる。はぁ、はぁ、と息が荒くなる。身体が、熱い。どうして?熱いだけじゃなくて太ももを擦り合わせる。もどかしい。焦ったい。目線を上げて、きゅん!とお腹の奥が疼いた。
あ。あ、なんで?どうして?私、わたし、こんな状況なのに、

「こんな薬使っても、受けのこと、壊したりしないよ。……そんなこと、するもんか」
「あっゃぁ、はっ
「ほら、おいで。受け

差し出される手。この手が私になにかしたのに。そう思うのに、反発心が湧かない。むしろ、とてもうれしくて。心許ない感覚の中、伸ばされた手をつかむ。

せめしゃ、わたし、わたしっ
「うん、なぁに。どうしたの」

こんな状態でも穏やかな口調で笑う攻めさんに縋り付く。
あんなこと言ったのに、なんてもう頭の端にも残ってなかった。

「わ、わたしっせめさんと、えっち、したいれす!」
「そうなの?抱いてほしいってこと?」
「そ、そうっ!そうなの!抱いて、くだしゃせめさんとしか、したく、ないの!」
……はは。すげーな、フェロモン誘発薬。もちろんいいよ」

するりと回ってきた腕は、乾いているけれど暖かかった。


* * *


「あーっ!あ、あつ、やぁっ!あっ、せめさ、せめしゃんっ!あっ、やらやだそれだめもおだめぇ!!」

ぐちゃぐちゃに身体の内も外も頭の中まで蕩けた受けが縋り付いてくる。ひっきりなしに喘いで声が掠れているから、喉かわいちゃったねぇ、と笑って口移しで水を流し込んだ。

「んっ、んふ、ぁ、ん〜っ、ん、ふぁ

水を飲ませようとしたのに、受けはそう動かなかった。潤んだ目がトロンと蕩けて、舌を擦り付けて、吸い付く。どう見たって欲情しかない様子。あーあ、水、こぼれちゃった。
繋がった場所はドロドロに蕩けて、きゅうきゅう締め上げて、腰もずっとゆらゆら揺れて、俺が欲しい欲しいと全身で訴える様がいやらしくて、ああ本当にかわいい。
フェロモンでぶっ壊れるとこうなるんだ、と仄暗く笑った。

バース性の根幹にあるフェロモン。αとΩが放出と受容に特出しているが、βも多少はある。たとえば、Ωみたいにフェロモンを出すことも、発情するのも可能だ。αのようにも然り。
そうしたことでの後遺症が出るのは確実だけれど。
か細い器官を無理矢理薬剤で押し広げるのだから、以後、制御できずにずっと発情した状態になってもおかしくない。
そんな状態で全うな生活なんて送れないから、こんな薬剤、使われることはそうない。
でも、受けには関係ないよね。

「ねぇ、俺とずっと一緒にいるよね?」
「ひぁ!ぁ?あっ、せめさ?ぁ?ぁ、やだやだ、どうして、はなして、うごいてっ、うごいてくださ
「ほら答えてよ、俺とずっと一緒にいるよね?」

腰を揺らすのに合わせて、自分でも腰を振って貪欲に快楽を求めていた受けが、腰をつかんで動きを止めると、泣きそうになりながら懇願する。
ダメだよ、答えてから。笑顔の圧に震えながら口が大きく開く。

「いっ、います!ずっといっしょ!すき、すきなの!せめさん、だいすき、あ、くださ!せめさんの、くだしゃっ!」
「はっ、そんなに欲しいの?いい、っよ」
「ふぁあああん!」

ずんっ、と腰を動かすと甘く高く鳴く。受けのすがりつく手が、離さないと言わんばかりに爪を立てる。痛い。うれしい。
これだけ必死で求められたこと、今まであった?ない。高揚と苛立ちが入り混じる。……フェロモンで馬鹿にならなきゃ、俺を求めないのかよ。

「奥つかれると気持ちいいねぇ。俺、ゴムつけてないけどいい?」
「あっ、あ!あ?あっ!ひゃい!ん、なか、だしてほし!いい!いっぱいっ、うごいてぇ!」

どこまで分かっているかも分からない口調で受けが言う。それをうれしい、と思うくらいにあてられた俺も頭が馬鹿になってる。
あーあ、Ωの発情期みたいになっちゃって。もう外なんか歩けないね。
いいよね、俺とずっと一緒だから。外になんか出なくて、いいよね?他のやつにこの子のフェロモンを浴びせさせるか。この甘い香りも身体も心もこの子の未来も全部俺だけのものだ。

「ひぅう!やああ!せめさんっ、すき!もっと!もっとちょおら、あああああんっ!」

理性なんて見えない声に目を細めながら、腰を振る。俺のことしか考えられない様子。かわいい。うれしい。子供が出来てもいい。この子をもっと俺に縛り付けるものになるだろう。そんな風に愛したかったんだっけ。いいんだよ、受けが、俺とずっと一緒なら
視界が曇る。これは汗だ。汗が瞼に落ちてきたから、そのせい。そうに決まってる。


* * *


受け受け?」

どこに行っちゃったかな。部屋の中にはいるはずなのに。センサーもオートロックもチェーンも何も変わりなかった。その状態でこの部屋から出ていける訳がない。分かっているのに、姿が見えないと気が急く。

……あ、居た。こぉら、そんなところで寝たら身体痛いでしょう」
「う攻めさん?だって、ここ、におい、こいから

クローゼットの中で小動物のように丸まる姿を見つける。俺の服を引きずり出して、鳥の巣のように身体の周りに壁を作る受け。巣作りだ。番が恋しくてやる動作。かわいいなぁ。
でもクローゼットの床は固いし、俺がいるなら俺の持ち物なんていらないよね。

受け、おいで」
攻めさんさびしかった
「ごめんね」

腕を広げると、きゅぅっと抱きついてすり寄ってくる。かわいいなぁ。かわいそうなことをしたなぁ。
本当は一時だって離したくない。
受けに何不自由ない衣食住を与えて、この部屋から一歩も出なくてもいい金銭を稼ぐには、どうしても社会と繋がらなければいけない。石油王になりたい。それが無理でも在宅仕事にしたい。
そんなことを頭の端で考えながら、擦り寄る受けを抱え上げる。
ソファがいいかな。安心したのか、トロリとまぶたの落ちてきた受けを見て、ベッドの方がいいか、と足を寝室に向ける。

「あのねぇ、せめさん……
「なぁに」
「βでも、わたし、せめさんと、いっしょに、いたい……
…………
だいすき
俺もだよ」

大好きだよ。愛してる。離したくない。バース性なんて関係なく、受けだけが好きだ。
……どうして、俺達は、こうなる前に、そうやって同じものを見れなかったのかな……



【このお話は、これでおしまい】



*後書き的ななにか。

オメガバースへの理解が足りてなかったらお目溢しいただきたいです。自信はない!!
βから後天的なΩになっちゃう受けとその変化に運命を感じて囲い込む攻めの構想だったはずですが、開けてみればメリーバッドエンドでした。
どうして
ここから受けが正気に戻るかもしれないし、ずっとこのままかもしれない。でもずっとふたりは一緒だと思います。
どんな未来かはみなさまのご想像におまかせします。
パロディ世界線なので、ガチャ内のふたりは大体平和だと思います。大体(ちょこちょこ揉めてはいる)

唐突に始まって終わったおまけアンケート、投票ありがとうございました。
いまやリクエストでほぼ全部更新してるのでお察し、優柔不断でアイディア力が不足してるので、遊んでくれている方の声に助けられてます。
おまけ内容もXでオメガバースパロするなら、のアンケートをして一番票が多かった「α×β」です。
別案は「α×Ω」、「β×Ω」、「Ω×α(攻め受け逆転はしない)」でした。どれもおいしいのでオメガバースの可能性は無限大。

重ねてお礼を。
ガチャを回していただいてるのがはげみになります。
更新止まってしまっても、ガチャが回ってるのを見ると更新したい💪と思います。
気候差に弱くて筆ムラも大きいので、亀の歩みな更新ですが、リクエストは全部書きたいと思ってます。
お題箱開けるたびににこにこしちゃう内容ばかりで、本当にうれしい。いつもありがとうございます。
引き続き遊んでいただければ幸いです。


おまけのおまけ。
どこに置くといいのか分かりませんが、投稿物まとめました。
https://privatter.me/page/6996ffb0492f2