ortensia
2026-02-11 00:54:31
380文字
Public 傭リ
 

布団と傭リ


 寝ようと思って布団を捲ったら、小男が入り込んでいた。
「よぉ。布団、あたためといてやったぜ。」
 まさか善意だったのか。
 しかし、あたたかいのは確かだ。だから叱ることもせず、褒めもしない。自分も寝台に上がる。
 なのに、そうして黙っててやったのに、何故か男はするりと布団から出て行った。
「は?」
「じゃあな、おやすみ。」
 あいつ、本当に布団をあたためるだけで、出て行きやがった。
 確かにあたたかいと思ったはずの布団が、急激に冷えて行く気がして、男の腕を引いた。
 抵抗なく小さな男の体は、逆戻りするようにして布団の中に戻ってきた。それを、もう逃さないように布団の中でこの身に囲う。
 こちらの行動に何も言わない小男は、まるで叱りも褒めもしなかったことの仕返しのようだった。
 けれどそれも、相手の腕もこちらに回されたことで、許してあげましょう。


—————————————————————
いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。