りっつぁ
2026-02-14 21:30:00
2410文字
Public ホーケヴィ
 

【BBM4共通テーマ展示】ケヴィンに指フェラしてほしかった話

共通テーマ『チョコレート』のタイトル通りでしかない話です。多分できてないホーケヴィ、多分サラマンダーを探してるあたりの灼熱の砂漠っぽいです。なんの説明もなく強国パです。

 この砂漠の生まれだからって、暑いものは暑い。ちょっと前は吐息も凍るような雪原にいたんだから尚更だ。ギャップで余計にバテそう。狭い木陰に座り込み、ホークアイは額から頬まで垂れてきた汗を雑に拭った。一旦腰を下ろすとたったこれだけの動きも億劫だ。身を寄せ合うような距離で同じく座り込むケヴィンも、概ね似たような感じでぼんやりしている。背中側の少し離れたところから、ぱしゃぱしゃと水を跳ね上げる音と女の子達の笑い声が聞こえてくる。
 子供の頃見つけたオアシスは小さいながらもまだ健在で、冷えた水が湧き出していた。どうしても水浴びがしたいと主張したアンジェラに追い払われ、こんなところにいるわけだ。汗をかくことも砂にまみれることもなさそうなフェアリーも、宿主と一緒にはしゃいでいる。
「信用されてるっていうのか、ちょっと不用心だよなぁ」
 とはいえ振り返ったのがバレたら何が飛んでくるかわからない。水とか杖とか攻撃魔法とか。ケヴィンは包み紙にへばりついた飴玉を舐め取ろうと一生懸命で、ワンテンポ遅れてこっちを見る。
「なにが?」
「アンジェラ。覗かれるとか思わないもんかね」
……ホークアイ、は、」
「んー?」
「ホークアイは、見たい?」
 探りを入れるような、どことなく非難めいた目つきが頬に刺さっているのに気付かないふりをして、熱砂の向こうに視線を向けた。どこまでも続く砂漠が陽炎でゆらゆら揺れている。
……今はそんな感じじゃないかなぁ」
……うん」
 ぶっきらぼうを装っているが、ふっと肩の力が抜けたのがわかった。思ったような答えじゃなくて落胆したか、それとも安心したか。駆け引きなんてできないくせに、仕掛けてくるのがもう可愛い。掛け値なしの美女が容易く見られるところで素っ裸を晒しているのも気になることは気になるが、もっと気になるのはこっち。
 こんなところでキスしたら流石に怒るかもしれない。二人きりとはとても言えない状況だ。でもこれまでだって見られそうなときが全く無かったわけじゃないし、何回もしてきて大丈夫だったんだから今だって大丈夫なんじゃなかろうか。なんたってこれだけ暑いし。だめだ頭が回ってない。ホークアイも荷袋に手を突っ込み最初に指に当たったものを取り出した。溶けかけてぐにゃりと曲がるチョコレート。
 意識されているのは間違いない、でも期待なのか警戒なのかいまいち判断がつかない。けど日頃の彼の言動からして、嫌だったら最初からはっきり拒否されているような気もする。
「うわ」
 包みを破いた途端、垂れてきたチョコレートが指を汚した。これはちょっとぼーっとし過ぎだろう。舐め取ると、固いのを齧るより喉にまとわりついて、もっと甘く感じる。自分の指をべろべろ舐める抵抗感をもったいないが上回って、もう一本の指も口の中に入れようとしたけれど、ケヴィンに手首を掴まれた。
「あの、……オイラも、食べたい。ぱっくんチョコ」
「まだだいぶ残ってるから、一、二枚はいけるよ」
「ちょっと、でいい」
……珍しいね?」
「う、……だから、こっち、ちょうだい」
 ぐいっと手を引かれて、なにを言わんとしているのかようやく気づいた。ただでさえ暑いのに、体感温度がじわじわ上がってくる。
……どうぞ?」
「ん」
 薄く開いた唇が、指先に触れる。二本の指が咥え込まれていくのをじっと見つめた。口の中はぬるくて、唾液と粘膜がまとわりついてくる。舌が指の間にぬるりと割って入り、一本ずつ丁寧に舐っていく。関節をなぞって、爪の先を確かめるように。ケヴィンは溜まった唾液をじゅるりと啜りあげ、指の根本までを口に含む。
「ん、ふ、……ぅ、」
 引き抜きながら舐め上げて、また付け根まで。こういうのは、もっと別のモン咥えてるときにやるヤツだろう。尖らせた舌先が指の股をくすぐって、ぞくりと腕に鳥肌が立つ。お返しに上顎を指の腹で撫でたら、くう、と小さく喉を鳴らした。
「っ、はぁ……甘、い」
「そんなとこまでついてなかっただろ?」
「でも、……
 言い淀んだケヴィンの口の端を、指で拭ってやった。瞳には涙が薄っすら幕を張り、この暑さで今にも溶け出してきそうに見える。火照った胸元を汗が一筋伝い落ちていく。
「意味わかってやってるんだよな?」
……わかってる」
 ちゃんと、わかってやってる。最後まで聞かないうちに、首に腕を回して引き寄せた。


「あー、さっぱりした。アンタ達も入るでしょ?」
 丁寧に拭きあげたのだろう髪に櫛を通しながら、アンジェラが軽い足取りでやってくる。ご機嫌麗しいのは何よりだ、気分屋というほどでもないが、彼女の機嫌が一行の雰囲気を左右するのも確かだから。ホークアイは振り返って愛想よく笑いかける。
「じゃあ、そうしようかな」
……オイラ、いい」
「なにケヴィン、どうしたの? そんなに下向いちゃって。行ってきなさいよ、体冷やせば気分が変わるかもしれないわよ?」
「だな。ほら、行こう」
 言い返す隙を与えず、ケヴィンの手を引いて泉に向かう。彼は俯いたままついてくる。熱がちっとも引かずに真っ赤になりっぱなしの顔を隠すためだ。なされるがままの彼の手をぎゅっと握り直す。
「そんなにガチガチにならなくても、もう何もしないよ」
……本当に?」
「ああ」
……本当に、しない?」
「そんなに言うってことはさぁ、ホントはしてほしいとか?」
……ちょっと、なら」
 恥じらうように消え入る声。腹の奥が落ち着かなくなる、せっかく治ったと思ったのに。焚きつけるのが上手すぎる、これもわかってやっているんだったらどうしよう。振り向いたら歯止めが効かなくなる気がして頑なに前を向いていたら、そっと手を握り返された。このまま抱き寄せそうになるのをぐっと堪える。
 ……ちょっと触るくらいだったら、いいかな。