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2026-02-11 00:14:15
12954文字
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夜は名を持たず 宵の境に託す
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【夜は名を持たず 宵の境に託す】第三回
Kasumi Hanauri
【あなた方は、噂を聞いて、依頼を受けて、あるいは偶然
――
夜が明けないという村を訪れるようだ。】
【村の輪郭が見え始めた途端、ふと、空気が薄暗く感じられる。】
【見上げれば、星は傾かず、月は沈まず、夜明け前の色だけが空に留まっている。】
【時間が止まっている、というより──時間の手応えだけが、ここから抜け落ちているように感じる。】
【村の外れ。夜の中に、人影がひとつ立っている。】
【それは冒険者というより、巡礼者や聖職者に近い装いだ。佇まいは静かで、どこか厳かな気配を帯びている
――
】
【
―
夜は名を持たず 宵の境に託す
―
】
(Kasumi Hanauri) あの方は誰だろう?
(Neige Orbis) (/em は微かに聞こえた音に耳を揺らし、振り返った。
(Kasumi Hanauri) (独り言を呟いて、近付いていきます
(Neige Orbis)
……
ん?人か
…
?
(Kasumi Hanauri) えっと、こんばんは...?
(Neige Orbis) おー、こんばんは
…
こっちこっち。
(Neige Orbis) (/em は遠くに呼びかけ、手を振った。
Kasumi HanauriBeliasはNeige Orbisに東方風のお辞儀をした。
(Neige Orbis) よ、どうも
…
こんな時間にひとりで、どうしたんだ?
…
ひょっとして、噂聞いてきたクチか?
(Kasumi Hanauri) はい、夜が明けない村というのを聞いて、気になって・・・
(Neige Orbis) そっか、じゃあ一緒だ。オレも気になって見にきててさ。
Kasumi HanauriBeliasはおどろいた。
(Neige Orbis) (/em は村を見渡すように視線を巡らせ、空を見上げた。
(Neige Orbis) 見ての通り、この場所だけ朝が来ない。
(Kasumi Hanauri) そうだったんですね、どうしてなんだろう・・・?
Kasumi HanauriBeliasはNeige Orbisに頭を抱えてみせた。
(Neige Orbis)
……
さあ、何でだか
…
オレもまだ、村の中までは見てなくてさ。ただ、聞いた話だと
…
Kasumi HanauriBeliasはNeige Orbisにうなずいてみせた。
(Neige Orbis) ここは昔、採掘の作業村だったらしい。けど、事故があって、それ以来使われていないそうだ。
(Kasumi Hanauri) なるほど
(Kasumi Hanauri) いつからこんな状態なんでしょう?
(Neige Orbis) いつからだろうな、そこまではオレも聞いてなくて。
(Kasumi Hanauri) そうでしたか、失礼いたしました!
(Neige Orbis) いや、いいよ。
…
もし調べるつもりなら、ついてくけど
(Kasumi Hanauri) 是非! 1人だと心細いな~と思っていたんです!
Kasumi HanauriBeliasはNeige Orbisに東方風のお辞儀をした。
(Neige Orbis) あはは、そっか。ま、お嬢さんひとりじゃ危ないしね。
(Kasumi Hanauri) わわわ、なかなか頼り無い冒険者ですよねえええ
(Kasumi Hanauri) でもでも、何とかどなたかのお役に立ちたくて・・・!
(Neige Orbis) そこまで言ってないけどさ、ほら。女の子が怪我しちゃまずいでしょ
Neige OrbisはKasumi HanauriBeliasに微笑んでみせた。
(Kasumi Hanauri) ありがとうございます・・・! ご一緒していただけると、心強いです・・・!
Kasumi HanauriBeliasは目を輝かせた。
(Neige Orbis) うん。何かあったら守るつもりではいるけど
…
行先とか、判断は任せるよ。
(Kasumi Hanauri) 分かりました、では早速出発しましょうか!
(Neige Orbis) 改めて、オレは巡礼師のネージュ。よろしくな
Neige OrbisはKasumi HanauriBeliasにお辞儀した。
(Kasumi Hanauri) あ、私はカスミといいます! よろしくお願いします!
Neige OrbisはKasumi HanauriBeliasに微笑んでみせた。
Kasumi HanauriBeliasはお辞儀した。
(Neige Orbis)
…
ん。じゃ、見て回ろうか
Kasumi HanauriBeliasは肯定した。
≪村の周囲には、調べられそうな場所がいくつか見受けられる。≫
≪A:採掘用具と鉱石箱/B:崩落対応の資材置き場/C:救出作業の記録跡/D:洞窟の簡易見取り図≫
≪1:指揮者の持ち物跡/2:夜間待機・仮眠の跡/3:撤退準備の装備≫
≪※今は、見つけたものを眺め、解釈する段階だ。判断は、もう少し先になる。≫
(Kasumi Hanauri) これは...採掘用具?
≪痕跡A: 採掘用具と鉱石箱≫
【使い込まれた採掘用具がまとめて置かれている。】
【刃こぼれしたツルハシ、摩耗した手袋、木箱に入れられた宝石状の鉱石。】
【箱の側面には、日付と数量を記した簡単な書き込みが残っているが、途中で途切れている。】
(Neige Orbis) (/em は少し屈んで、箱を覗き込んだ。
Kasumi HanauriBeliasは辺りを見わたした。
(Neige Orbis) うん
…
道具と
…
こっちは鉱石か。
(Kasumi Hanauri) 道具がいろいろありますね・・・当時使われていたもののようです
(Kasumi Hanauri) 箱に何が書いてあるかよく見たいんだけど・・・
(Neige Orbis) 何か書いてあるな。
…
ここ、日付とか
…
数字。数かな
(Kasumi Hanauri) ふむふむ、作業に関わる記載ですかねぇ
(Neige Orbis) うん、そうだと思う。
(Kasumi Hanauri) 一旦、この辺りを軽く見てまわりましょうか!
(Neige Orbis) 了解。
【道具から視線を外した瞬間、金属音が遠ざかり、辺りが妙に静かになるように感じた。】
【あなたが調べた痕跡からは、この村は"洞窟内の鉱石を採掘するための作業村"であり、一定期間、人員が滞在して作業を行っていたことがわかる。】
(Kasumi Hanauri) この建物も気になります・・・!
(Neige Orbis) ふむ
…
中、見れるかな。
≪痕跡3:撤退準備の装備≫
【携行食やまとめられた荷が、そのまま残されている。】
【使われた形跡はなく、持ち出されなかったまま放置されている。】
【準備だけが整えられていた。】
【荷の上に、紙片が一枚残されているが、何も書かれていない。】
Neige Orbisは考えた。
(Kasumi Hanauri) 何も書かれていない紙・・・?
(Neige Orbis)
…
?何だろう。
(Kasumi Hanauri) うーん、何か伝えようとした途中だったのか、何なのか・・・
(Neige Orbis) これだけだと、何とも言えないけど
……
何か、考えつく?
(Kasumi Hanauri) う~ん・・・さっぱりです!
Kasumi HanauriBeliasは頭を抱えた。
(Neige Orbis) そっか。まあ、これだけだとな。
…
どうする、もう少し見るか、他を見るか
…
(Kasumi Hanauri) ちょっとこの辺りの荷物が気になるんですよねぇ・・・
(Neige Orbis)
…
うん、そのまま、って感じだね
(Kasumi Hanauri) どういうものが入っているのか、見てみても良いでしょうかね・・・?
(Kasumi Hanauri) 荒らさない程度に・・・!
(Neige Orbis) ん、じゃあ少し拝見させてもらう程度に
Kasumi HanauriBeliasはうなずいた。
【荷物の中身は、携行食や、必需品。特別、珍しいものはない。ただ、この場所から去ろうとした痕跡のまま、残されている。】
(Kasumi Hanauri) 特に変わったところは無いかな...
(Kasumi Hanauri) どこに行こうとしていたんでしょう? 他を当たってその手がかりが見つかると良いんですけど・・・
(Neige Orbis)
…
だね。普通の荷物には見える
Neige Orbisは考えた。
Kasumi HanauriBeliasは考えた。
【視線を外した瞬間、夜が一段、重く固定されるような気配がした。】
【あなたが調べた痕跡から、洞窟内から明確な生存反応は確認されず、朝を迎えれば撤退する前提で準備が進められていたことがわかる。】
(Kasumi Hanauri) うん・・・? 更に暗くなったような・・・?
(Neige Orbis)
…
わかる?オレも、そんな気がした
(Kasumi Hanauri) 気のせいじゃなかったんですね!?
(Neige Orbis) (/em は空を見上げた。星も月も、変わりないように見える
…
(Neige Orbis)
……
見られてる?
Kasumi HanauriBeliasはおどろいた。
Kasumi HanauriBeliasは慌てた。
(Kasumi Hanauri) えええ、勝手にうろついてたの怒られます!?
(Neige Orbis) 怒っているようには
…
感じないけど。
(Kasumi Hanauri) うーん、どうか穏便に解決したいんですが・・・!
(Neige Orbis) ただ
…
オレたちがいることは、わかっていて。でも、拒んでいるわけでもなさそうだ。
(Kasumi Hanauri) な、なるほど・・・? では、とりあえずは状況分析を続けてみましょうか!
(Neige Orbis) 了解、次はどこ見る?
Kasumi HanauriBeliasは活を入れた。
(Kasumi Hanauri) この辺りでしょうか?
≪痕跡C: 救出作業の記録跡≫
【木板や布切れに、短い書き込みが残されている。】
【日付と簡単な状況報告だけが並び、文字は日を追うごとに荒れている。】
【行間には、"いくつかの名前"が、抜けなく並べられた形跡がある。】
【最後の行は、途中で書き止められている。】
Neige Orbisはひざまずいた。
(Kasumi Hanauri) 何だか不穏な気がします・・・
(Neige Orbis) 不穏、
…
うん、確かにな
(Neige Orbis) (/em は見やすいように、書き込みがされた板を並べた。
(Kasumi Hanauri) この行間のお名前は一体・・・?
(Neige Orbis)
……
。名前、か
…
(Neige Orbis)
…
この文章、見るとさ。
…
事故が起きた時の対応
…
に見えない?
(Kasumi Hanauri) ほほう、その時の報告が書かれている、みたいな?
(Neige Orbis) オレには、そう見える
(Neige Orbis)
…
となると、この名前は
…
(Kasumi Hanauri) 事故に遭った方のお名前・・・?
(Neige Orbis)
……
そう考えるのが、自然かもなぁ。
(Kasumi Hanauri) うーん...どうしてそんな事故が起きたのか、そこを詳しく知りたいところですねぇ
(Neige Orbis)
…
だね。他のところで、わかればいいけど
(Kasumi Hanauri) では、他のところも見てみましょうか!
(Neige Orbis) ん。
【文字を読み終えた途端、夜の音が一段、遠のいたように感じた。】
【あなたが調べた痕跡からは、事故後、"戻らなかった者の名をすべてまとめるための一覧"が用意されていたことがわかる。】
【その一覧が作られるまで、救出作業は複数日にわたって続けられ、日を追うごとに進行が困難になっていったようだ。】
Kasumi HanauriBeliasは辺りを見わたした。
(Neige Orbis) 次は
…
この建物?
(Kasumi Hanauri) ここも気になります!
(Neige Orbis) じゃ、見てみよ
≪痕跡1:指揮者の持ち物跡≫
【書類袋や携行用の鞄が残されている。】
【中身は抜き取られており、必要な物だけを持ち出した跡がある。】
【誰かが判断を担っていたことは明らかだ。】
【袋の内側に、折り畳まれて消えかけた文字の跡が残っている。まとめられた一覧のようにも見える。】
(Kasumi Hanauri) !?
(Neige Orbis)
…
ん?
(Kasumi Hanauri) 明らかに何か抜き取られています!?
(Neige Orbis)
…
ホントだ。
Neige Orbisは考えた。
(Neige Orbis) どう思う?これ。
(Kasumi Hanauri) こっちには何か書かれたものがありますが・・・消えかけて読めない・・・
(Neige Orbis) うーん
…
この文字の跡は
…
インクが移った跡にも見えるけど
…
これじゃ読めないな
(Kasumi Hanauri) うーん、事故か何かの後、誰かが戻ってきて何かを持っていったのかなぁ
(Neige Orbis) ふむ
…
(Kasumi Hanauri) もっとはっきり移っていたら、鏡文字みたいに解読できたら良かったんですけど!
Kasumi HanauriBeliasはがっかりした。
(Neige Orbis) だなぁ。これだけだと、何とも。
(Kasumi Hanauri) それでは、お隣のところも調べてみましょうかねぇ
(Neige Orbis) ん。そうしよう
【そこから目を離した瞬間、空気がきっちりと閉じる気配がした。】
【あなたが調べた痕跡からは、指揮を執っていた人物が、行方不明者を取りまとめる役割を担っており、何らかの記録を携えて移動していたことがわかる。】
【その記録には、名を扱うための下書きが含まれていた可能性が高い。】
Kasumi HanauriBeliasは辺りを見わたした。
≪痕跡D: 洞窟の簡易見取り図≫
【洞窟内部を描いた手書きの図が残されている。】
【奥まった地点に印が付けられ、複数の書き込みが重ねられている。】
【何度も見返された跡があり、線は擦れている。】
【印のそばに、消しかけの短い文字が残っている。それは、位置と結びつけられた、人の名前のようにも見える。】
(Kasumi Hanauri) この場所、どこでしょう?
(Kasumi Hanauri) 洞窟のようですが・・・
(Neige Orbis) ふむ
…
(Neige Orbis) 採掘の作業村、って話だったよね。ってことは、近くにあるのかも
(Kasumi Hanauri) あまりこの辺りに詳しくないので、行き当たりばったりになっちゃいそうですが・・・洞窟、気になりますね!
(Kasumi Hanauri) 歩いてみて、洞窟見つけたらこの見取り図の場所かもしれないので、それを念頭にもう少し見て回りましょうか!
(Neige Orbis) だね。この辺、見て回ったら
Kasumi HanauriBeliasはNeige Orbisにうなずいてみせた。
【図面から目を離した瞬間、空間の奥行きが測定されたように感じた。】
【あなたが調べた痕跡から、落盤により複数名が同時に下敷きとなり、全員を一度に救出することは困難な状況だったことがわかる。】
(Kasumi Hanauri) なるほど、落盤の事故だったみたいですね
(Neige Orbis)
…
それで、あの書き込みか
…
(Kasumi Hanauri) これは事故現場に行くことになっちゃいますが・・・行ってみますか・・・!
Kasumi HanauriBeliasは活を入れた。
(Neige Orbis) この辺、調べられそうなところもう少しあるけど、どうする?
(Kasumi Hanauri) そうですね、周辺を調べつつ、洞窟を探します!
(Neige Orbis) ん。あと見られそうなのは
…
あの辺か
(Kasumi Hanauri) ここですね!
≪痕跡2:夜間待機・仮眠の跡≫
【毛布や簡易寝具が、無造作にまとめられている。】
【長時間使われた形跡があり、人数ははっきりしない。】
【ここで夜を越えようとしていたことだけが伝わってくる。】
【毛布の端に、握りしめられた跡のような皺が残っている。】
(Kasumi Hanauri) 誰かがここで寝泊まりしていたみたいですね
(Neige Orbis)
…
うん、そう見えるな。ここを使ってたのは
……
Neige Orbisは考えた。
(Kasumi Hanauri) 事故被害者の救出で来ていた人・・・?
(Neige Orbis)
…
状況的には、そう思うな
Kasumi HanauriBeliasはうなずいた。
(Kasumi Hanauri) 隣にも調べられそうな場所がありますねぇ そちらも覗いてみましょうか?
(Neige Orbis) ん、了解。
【その場を離れると、時間が進まない感覚が強まった。】
【あなたが調べた痕跡から、事故後、夜間の捜索や待機のために、複数人がこの周辺で仮眠を取っていたことがわかる。】
(Kasumi Hanauri) なーんかさっきから変な感覚が続きます・・・
(Neige Orbis)
…
ね。なんか少し、居心地悪いや。
Kasumi HanauriBeliasは頭を抱えた。
≪痕跡B: 崩落対応の資材置き場≫
【支え棒や丸太が、使われた形跡のまま積まれている。】
【一部は折れ、表面には石粉が付着している。】
【急いで組まれた補強だったことが、一目で分かる状態だ。】
(Neige Orbis) (/em は少し屈んで、資材を眺める。
(Kasumi Hanauri) ふむ、事故の時に使われたものでしょうか?
(Neige Orbis) うん、そう見える。折れたり、石粉もついているし
…
(Kasumi Hanauri) 一応、私、木工師として物を作ることがあるんですけど・・・とりあえず作ったような状態でしょうかね、これ・・・
(Neige Orbis)
……
急ごしらえみたいには見える。
(Kasumi Hanauri) かなり大変な状況だったみたいですね...
(Kasumi Hanauri) 近場だと、見て回れるのはこのくらいでしょうか? 先程の事故現場の洞窟が気になるところですが・・・
(Neige Orbis)
…
うん。
(Kasumi Hanauri) では、洞窟がどこにあるのか探してみましょうかねぇ
(Neige Orbis) 了解。歩きながら、情報整理しようか。
(Kasumi Hanauri) はい!
【視線を離すと、空気が張りつめ、動かない重さが残った。】
【あなたが調べた痕跡からは、洞窟内で落盤事故が発生し、応急的な補強や対応が試みられていたことがわかる。】
【痕跡を並べると、いくつかの事実は浮かび上がる。】
【事故が起き、救出が続き、名は集められていた。】
【しかし、その名をどう扱うかだけが、決められていない。】
(Neige Orbis) 道は
…
あっちに続いてるな。
(Kasumi Hanauri) そう、ですね 行ってみましょう!
(Neige Orbis) ん。
【村に残された痕跡をひと通り見終えた頃、夜の重さが、はっきりと形を持ち始める。】
【村の奥、ぽつりと離れた一軒の家。】
【そして、さらにその先
――
闇を抱え込む洞窟。】
【どちらも、この夜と無関係ではなさそうだ。】
【夜はまだ、決められていない。】
(Neige Orbis) 一通り見て
…
さ、どう思う?この夜。
(Kasumi Hanauri) ん~、事故が遭ったことは分かったんですけど・・・それがどうしてこの夜が明けない状態と結び付くのかがさっぱりです・・・
(Neige Orbis)
…
うーん
…
(Kasumi Hanauri) 事故の関係者が関わっているのか・・・
(Neige Orbis) やろうとしてたことが、あったようには見える。
(Kasumi Hanauri) そうですねぇ・・・
【森の奥、夜のままの道を進む。足音は響くが、時間の手応えが伴わない。】
【火を灯しても、燃えているのか、留まっているのか、判然としない。】
【夜は続いているようにも、止まっているようにも見える。】
(Neige Orbis) 見えてきた。あっちには小屋があるな。洞窟は
…
もう少し向こう。
(Kasumi Hanauri) おお、あそこですね! ずっと暗いので、もう何時なのか分からなくなってきました・・・
(Neige Orbis)
…
ね。村の外は何時なんだろ
(Kasumi Hanauri) 時計持ってくるの忘れちゃいました・・・!
(Neige Orbis)
…
あはは。オレも。
【夜の重さが、はっきりとこの場所に集まっている。】
【調査で見た痕跡が、空気として思い出されるだろう。】
【暗闇は沈黙している。】
【呼びかけを拒んでいるようにも、待っているようにも見える。】
【この奥にあるものは、まだ、誰の手も届いていない。】
(Neige Orbis)
……
中には、入れそうにないな
…
(Kasumi Hanauri) ですねえ・・・何だか重苦しい感じがしませんか・・・?
(Neige Orbis)
…
うん。重いな。
Kasumi HanauriBeliasは辺りを見わたした。
(Neige Orbis) 何というか
…
奥に、何かが残っている気もする。
(Kasumi Hanauri) 何かいそうな気配は・・・しないですかねぇ
Neige Orbisは考えた。
(Kasumi Hanauri) どうしましょう、さっき見えた小屋も気がかりですが
(Neige Orbis) そっちも見に行ってみる?
(Kasumi Hanauri) はい、念のため・・・!
(Neige Orbis) ん。
【室内は、使われる準備だけが整えられたまま、静まり返っている。】
【紙片や道具は残されているが、誰かが触れた気配は途中で途切れている。】
【この場所には、終わらせきれなかった夜の名残だけが残っている。】
(Neige Orbis)
……
。道具が残ってる。
(Kasumi Hanauri) ここに来る前にも、似たような道具の痕跡がありましたね
Neige Orbisは考えた。
(Kasumi Hanauri) 事故の救出に来てくれた人、でしょうか?
(Neige Orbis) どこかで、何か持ち出した形跡があったよね。
(Kasumi Hanauri) あ、ありました!
(Neige Orbis) 多分、それが
…
ここに繋がっているんじゃないかな。
(Kasumi Hanauri) ということは、あのインクが滲んだようなものもあったり・・・? 探してみます!
Kasumi HanauriBeliasは辺りを見わたした。
(Neige Orbis)
…
ふむ。
【机の上に残されているのは、未記入の書類と、ペン。そして名の綴られた、下書きのようだ。】
【ここは、名を"残す"ための場所だったのかもしれない。】
(Kasumi Hanauri) この書類は・・・一覧か何かでしょうか? 事故救出の報告に書かれていたようなお名前はあるかな・・・?
(Neige Orbis)
……
。この名前。さっきも、あったな
…
(Kasumi Hanauri) あ、やっぱり・・・!?
(Neige Orbis)
……
ほら、救出記録のところにあった
…
(Kasumi Hanauri) ですよね、ということはこれは名簿みたいなものなのでしょうか?
(Neige Orbis) そう思う。
…
でも、未記入のままだ。
Neige Orbisは考えた。
(Kasumi Hanauri) もう、名前が書けなくなってしまった・・・?
(Neige Orbis)
……
書けなく
…
そうとも、取れる。
(Neige Orbis)
…
ふむ。少し、整理してみよう。
(Kasumi Hanauri) そうですね・・・!
【ここまで調べた痕跡を並べると、この村で起きたことは、事故と、その後の夜に集約される。】
【事故で洞窟奥に人が取り残され、助けようとしたが、助けきれなかった。】
【朝になれば撤退する必要があったが、その前に、戻らなかった者の名を確定させる必要があった。】
【そのための準備は整えられ、戻らなかった者の名は、すでに揃っている。】
【だが、その名をどう扱うかは決められないまま、この夜は止まっているようだ。】
(Neige Orbis) 夜が止まったのは
…
事故があったから、ってわけでもなさそうに思う。
(Kasumi Hanauri) まだ、洞窟に残された人がいるのでしょうか?
(Neige Orbis) わからない。
…
ただ、あの様子だと
…
オレたちだけで中に進むのは、難しいな。
(Kasumi Hanauri) この名簿を書いた人に、会えたら良いんですけど・・・
(Neige Orbis)
……
うん。この辺りには、もういなさそうだ
(Kasumi Hanauri) 救出を手伝ってくださっていた方々も、どこに行っちゃったのか・・・
(Neige Orbis)
…
撤退準備の装備があったね。
(Neige Orbis) もしかしたら
…
朝になったら、引き上げることになってたんじゃないかな
(Kasumi Hanauri) では、もうここには戻ってこない、ということになりますね
(Neige Orbis) うん
…
そうなるな
(Neige Orbis) 事故は、終わってる。でも
……
終わってない夜が、ここに残ってる
(Kasumi Hanauri) うーん・・・この名簿、心残りがあるように感じられて、ここに置いたままで良いのかと思っちゃいます・・・
(Neige Orbis)
……
。うん。
(Neige Orbis) (/em は未記入の書類を軽く撫でた。
(Neige Orbis) 何かが起きて、夜が止まった
…
というよりはさ
(Neige Orbis)
…
何かができなかったことで、進めなくなってしまったように思うんだ
(Kasumi Hanauri) 助けられなかった、という後悔なのか、残された人たちの思いなのか・・・
(Kasumi Hanauri) 私はそのどちらかかなって思いました
(Neige Orbis)
…
多分な、どっちも
…
間違いじゃない。
(Neige Orbis) ここに名を記せば、助けられなかったという事実が確定する。
(Neige Orbis) 現場では、まだ助けを求める声があるのかもしれない。
(Neige Orbis) 決められていないんだろう。誰も、この先を。
(Kasumi Hanauri) 私、この名簿を作業の指揮官の方かどなたかにお渡ししたいです。見付かるかは、分かりませんが・・・それで、書くかどうかはご本人にお任せしたいです。私は、書くべきかなと思いますが・・・
(Kasumi Hanauri) それで、助けられなかったことは事実だと思うので、一緒にお花を手向けに行けたらなと・・・
(Neige Orbis)
……
そっか。
(Kasumi Hanauri) 事実を受け止めるべきだとは、思うんです
(Kasumi Hanauri) きっと・・・お辛いでしょうが、それでも。
(Neige Orbis) それでも、決めるべきは
…
当事者、ってことかな。
(Kasumi Hanauri) はい、私はあくまで解決の手助けになれたら、と調査に来た者なので・・・
(Neige Orbis) うん。
…
そうだな。
(Neige Orbis) オレは、アンタが何かを背負う必要があるとも、思わない。
(Neige Orbis) 委ねるっていうのも、向き合い方だ。
(Kasumi Hanauri) ありがとうございます・・・当事者でない限りは、救出に関わった方々、そして遺族の方の手助けをしてあげたいですね。
(Neige Orbis)
…
ああ。その人達も、きっと立ち止まっているかもしれないからな。
(Kasumi Hanauri) ここと同じように、時間が取り残されているかもしれないです。ゆっくりでも良いので、前に進めたらなと・・・
(Neige Orbis) うん、そうなるといいと、オレも思う。
(Neige Orbis) (/em は名簿を手に取り、Kasumi HanauriBeliasに差し出した。
(Neige Orbis) 探すなら、手伝うよ。
(Kasumi Hanauri) ネージュさん・・・ありがとうございます・・・!
(Kasumi Hanauri) 1人だと、やっぱり心細いですね・・・
(Neige Orbis) 夜を歩くのは、誰だって寂しいものだ。
(Neige Orbis) だから、一緒に歩く人は、いたほうがいい。
(Kasumi Hanauri) ・・・はい! では、この名簿は私が預かります。ご本人にお渡しできるまで。
(Neige Orbis) うん、じゃあ
…
預けておく。オレも、探しておくからさ。何かわかったら、連絡するよ。
(Kasumi Hanauri) 本当に、ありがとうございます! 心強いです・・・!
Kasumi HanauriBeliasはNeige Orbisに東方風のお辞儀をした。
(Neige Orbis) あはは、いいよお礼なんて。報告会がてら、お茶でも付き合ってよ。
(Neige Orbis) (/em はおどけたように手を振った。
(Kasumi Hanauri) 私だけだったらどうなっていたことか・・・! 分かりました、その時は是非!
(Neige Orbis) うん。
…
それじゃ、行こっか。
Kasumi HanauriBeliasはNeige Orbisにうなずいてみせた。
【名は、この場で確定されることなく、静かにまとめられていく。】
【夜は、判断を失ったままではいられず、その重さだけを手放していく。】
【この夜は、誰かの手に委ねられた。】
【空は、ゆっくりと色を変えはじめる。】
【それは終わりではなく、引き渡された夜明けだった。】
―
名は委ねられ、夜は巡りへ戻された。
―
Ending D:預託
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