望月 鏡翠
2026-02-10 01:04:36
986文字
Public 日課
 

#1996 次は何の街?

#毎日最低800文字のSSを書く/祝福の塔

 初日に声をかけてきた子供にも野宿マスターだと思われていたし、そんなに家なさそうな顔してるのか?
 たまに今日会ったことを報告されたりして、妙に懐かれていたが、明日からあの場所にいないから、部屋を変えたって教えてあげないと。
 ちぎれたノートの切れ端をペラペラとめくる。スマホの充電が切れるから、あった人の名前をノートにメモしていたのだ。野宿の人だと認識されていたのかもしれないが、こちらも野宿の人と認識している。
 えーと、そう。テオだ。次の街でも雪が降っていなければ、雪合戦はそろそろ遊び納めになるだろう。
 とにもかくにも、次の階層に移動するまでに部屋が見つかってよかった。
 危うく巡礼ホームレスとして名を馳せてしまうところだった。
 ツマリさんって本当にいい人だ。
 枕が変わると眠れない人もいるらしい。そういう人はこういう環境だと不便だろうな。
 どこででも眠れるって、才能だと思う。だから床でも眠れるし、いや、体は痛くなるから布団の方がいいんだけどさ。でもベッドがあればもっとよく眠れる。知らない場所の真新しい布団って、旅先みたいでワクワクしない?
 金ないから、部屋に寝具とベッドがあるような宿ってあんまり泊まったことない。
 ライブの遠征はそれこそ夜行バス一択だし。
 ツマリさんもその辺りの話、合いそうだったな。何の用事で夜行バス乗ってるんだろう。今度聞いてみようかな。音楽か映画の趣味でも合ったら嬉しい。
 天使に呼び出されて、ラウンジに出る。
 孤独の街もそろそろお別れだ。
 単純でちょっと恥ずかしいんだけど、祝福も悪くないかなという気になった。
 好奇心。興味の拡大。悪くないんじゃないか。
 楽しいことが増えそうだし。全てに何となくぼんやりと合わせて、それなりにやってきたけど、一つのことにめちゃくちゃ興味が出るってどんな感じなのか、興味がある。
 周りを無視するくらい何かに夢中ってどんな気分なんだろうね。
 まあ、生き返るかどうかは、まだ決めてないけど。
 ラウンジが動く。設備ヤバすぎてビビる。一週間ぶりだから、まだ新鮮にこのギミックにびっくりできる。
 次の街に出た瞬間に焼けつく日差しに照らされる。
 思わず上着を脱いで、そして思い出した。
 テスターって言って借りてきたのに、上着持ってきちゃった上に何の感想も伝えてないや。