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望月 鏡翠
2026-02-09 01:27:40
959文字
Public
日課
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#1995 同室よろしく
#毎日最低800文字のSSを書く/祝福の塔
いきなり下の名前呼び捨てってのも、馴れ馴れしいし距離感としてまずいかな。
ツマリさんと呼ぶことにした。
名前を今ようやく知り合った相手に、ここ数日野宿していたことを知られていたことは少し恥ずかしかった。もしかして、巡礼者全員にホームレスだと認識されていたら、どうしよう。
「ゃば、趣味とかじゃなかた」
「野宿の趣味やべーね。違う違う」
名誉挽回しなければ。
本当は、ふかふかで暖かい布団とか好きだよ。枕も硬いものより柔らかいのが好きだ。毛布もあると嬉しいかな。
でもホテルのすべすべのシーツも特別感あっていい。
「ここの人たちみんな何か夢中で作ってるもんねぇ、探したらいそー。てかうちの部屋空いてるけど泊まるぅ?」
軽い調子で言われた言葉は、正に救世の一言だった。
着替えもないのにシャワーも浴びられないと、いい加減社会性が死滅すると思っていたところだ。他の巡礼者にも、あいつ小汚いなとか思われ始めていたかもしれない。
「え、行っていいならお邪魔しようかな」
「ぇ、いいよまじ野宿生活かわいそすぎ。寝るとこはあたしが広い方ね」
もちろんだ。部屋に最初からいた方が優先に決まっている。もういい加減空いてる部屋もないだろうと、諦めていた。
手段としては街で泊まるところを借りるだとか、シャワーだけどこかで貸してもらうとかだろうか。どちらにしろ積極的に声をかけていく根性とか親しさが必要になってしまう。
「え、いいよいいよもちろん。てかシャワー浴びられたらなんでもいいまであるし」
「シャワーなし生活何気きついよねー、夜行バスで夜明かした時のきもさある」
よくわかる。夜行バスを降りる時間は大抵、二十四時間営業の場所か漁港しか動いていないようなド早朝で、時間を潰すのに苦労する。だから漫画喫茶の有料シャワーを借りて、朝の時間をつぶしたりするのだ。
「なんか寝なくてもいいし食事も必要ないらしいから、大丈夫なんだろうけどね」
代謝していないということなのだろうから、臭いもない。そう信じたい。
そうでないとこの時点でアウトなはずだから。
「ツマリさん救世主。この恩、来世まで覚えとくから」
「来世までぇ!? 爆笑 イケメン爆笑」
死んでるから、来世って今この瞬間のことなのかもしれないけどね。
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