本編とは全く違う世界での吸血鬼パロ
幼い頃室長に拾われて立派なヤンデレに育つまでのシンクレアの話
※※近親相姦要素注意
※※メリバ気味
舞台は近代、ヨーロッパあたりの田舎。
室長は吸血鬼一族の前頭首、自らの父親を討って現頭首になった。
しかし父のことは心の底から愛していたため、毎日罪の意識に苛まれながら生きていた。
ある日室長はならず者たちに追われ、不覚にも絶体絶命の状況に陥ってしまう。
なんとか近隣の村に逃げ込むも、そこも暴徒たちが暴れ周り残骸と化した後だった。
吸血鬼の生命力は強力であるものの、
肉体が極限まで傷つけられたので血肉を摂り早急な回復を待つ必要がある。
満身創痍の室長が倒壊した屋敷に入り身を潜めていると、
幼い少年が死体の陰に隠れて怯えているのに気付く。
室長はなんとか怖がらせないよう説得し、
まだ温もりの残っている新鮮な死体を譲ってもらい、回復を果たす。
少年とともに村を脱出した室長は、自分が食べた死体は少年の家族だったことを知る。
罪悪感とともに幼い人間の子供の運命を哀れに感じた室長は、
少年の身を引き取り、成人の後人間社会に還すことを決意する。
室長は家長としてカリスマ性を持ちながら、母親としての才能もあった。
室長はシンクレアに一流の教育を受けさせ、厳しく知識、礼儀、教養を教えていたが、
二人きりの時だけはシンクレアがどんなに甘えても優しい声色で宥めてくれたのだった。
シンクレアは母を尊敬し、温かく深い愛情を一身に受け、何一つ不自由なく成長するものの、
その陰でいつまでも若く老いず高潔な母をどこか歪んだ眼差しで見ている。
彼は幼少期、家族の喪失と、その家族の亡骸を喰らい美しく生き返る化け物に遭遇したことで、
肉体に対して冒涜的な美的価値観を育んでいたのだった。
来たるシンクレアの成人の日、室長は彼に都会に近い場所にある素晴らしい屋敷を贈り、
人間社会への復帰が果たせることを告げ、祝福した。
しかし、吸血鬼の慣習に従い自分は正式に「眷属」として
一族に迎い入れられると思っていたシンクレアは愕然とする。
人間として生きることが幸せだと思っている室長と、
母から拒絶されたと思ったシンクレアは激しい口論に発展する。
激しく高ぶる感情の中、己の手で死んでいく父親と
己の手で縛られてゆく息子の姿を重ねた室長は、決して口にしてはいけない言葉を叫ぶ。
「お前など家族ではない」
一瞬の静寂の後、自分の過ちに気付いた室長はすぐに言葉を訂正しようとしたが、
シンクレアは狂ったように高笑いをした。
何が起きているのか分からず狼狽えた室長を、シンクレアは突然押し倒し、歓喜とともに叫んだ。
「その言葉をずっと待っていたんです!」
我々は今この瞬間から家族ではない。彼女は母親では無く、自分は息子ではない。
人間と吸血鬼という生物的な隔たりを押しのけることは永遠にできず、
彼はもう眷属という結び付きで繋がることを望むことはできない。
しかし、彼の一番の望みはそれではなかった。だから良かった。
「これでやっと僕は貴方を愛する資格を得ることができる。結婚しましょう、ドン・キホーテ様」
唖然とする室長をシンクレアは強く抱きしめ、嗚咽とともに涙を流し始めた。
「僕の身体が凄まじい早さで変化を遂げる中、あなたはずっと美しいままだ。
僕の心が暴れ出したいほど乱れている間、あなたはずっと美しいままだ。
ずっと一緒にいるのに、ずっと孤独だと思っていました。僕は遂に幸せになったのです。」
室長その言葉を遠い意識の中で聴きながら、あの灯り点る回転木馬の光を思い出しながら、考える。
父は、我々のことを愛していながら、我々を見ることをしなかった。
だから私は、自分の家族としっかりと向き合い、心の底から彼らを愛そうとした。
しかし、どうだろう?私の愛はただ独りよがりの愛で、正しいと信じ込んでいた愛で、
それは彼らの望むものであったか、一度でも振り返ったことがあっただろうか?
結局は、私は私が葬った父親と同じ形をしていたのではないか。
ああ、だから我々は家族だったのだんじゃないか。
室長はあの時と同じように泣きじゃくるシンクレアの頭を撫で、そっと抱きしめ返した。
住宅街から少し外れた、小高い丘にある素晴らしい屋敷があった。
そこにはいつも笑みを湛えている青年と、老いることを知らない美しいままの女が住んでいる。
二人は夫婦で、いつまでも幸せに暮らした。
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