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kgsg_hirg
2026-02-07 22:01:04
1287文字
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甘いもの(囁く・毛布)
ワンドロワンライ2/7分
「砂糖どんぐらい入れる?」
物珍しさとただの背伸びで買った角砂糖はこんな機会でなければ使わない。ただ問いかけてくる人物はほとんど使わず、使うのは俺の方。少々格好がついてない気がする。
「
……
みっつ」
甘党というわけではないがどうにも頭を使うようになってから甘さが沁みてそれを欲するようになってしまった。この人の方が俺より頭を使うのになんで使わないのだろう。
「フレッシュも入れる?」
「う~ん
…………
はい」
より子どもっぽくなっていく珈琲は俺の頭を癒してくれるだろう。
「北さんは砂糖入れんの?」
「俺が飲むのは眠気覚ましにやしな」
「カフェイン
……
」
「言うて日本人は緑茶よぉ飲んどるからカフェイン効きにくいらしいな。やから俺の場合眠気覚ましのつもりやろか」
「つもりて」
彼はつもりと言ったが非効率なことはあまりしない、実際に目を覚ましているに違いない。
反対に俺は勉強中に口が寂しいからだ。何かを食べながらはそちらに集中してしまうが故に勉強中口にするのは飲み物。
一年違うだけでこれだけの差があるのか、それとも性格の違いのせいか。
コトっと目の前に置かれたカップからはゆらゆらと湯気が上がっている。その奥に座った彼は湯気越しに少し笑みを浮かべた。
それにしても、だ。
「
……
北さん来とるのに勉強
……
」
「学生なんやから丸一日だらけんのはあかんやろ」
「でも泊りやん」
「
……
何期待しとんねん」
少し頬が赤く染まった。可愛いなと思った瞬間に睨まれる。
……
心読まれとるんか?
「それにしても寒いな」
「あーすんません
……
そこの毛布つこてください」
ちょうど彼の後ろには軽めの毛布が畳まれて置かれている。彼が来てくれるとのことで引っ張り出して干しておいたので問題なく使えるはずだ。
暖房は入れているが一人暮らしで使える電気代を考えるとあまり使えない。こたつと電気ストーブだけを稼働させた部屋ではそれなりに寒い箇所が出てくるだろう。
こたつも大きくない。なんなら互いの足が絡み合うほどに小さく
……
ぶつかる度にどきどきしてしまう。
「
……
お前は寒ない?」
「俺はそこまで」
そもそも彼より体温が高いことは自覚している。というよりも彼と一緒に居ると体温が高くなるだけかもしれない。それは言わなくていいだろう。
それを聞くと彼はわざわざこたつを抜け出して毛布を持ち上げた。
視界の端にその姿を収めつつ俺は甘く整えられた珈琲に口を付ける。ほんの少しの苦みと殴るような甘味が舌から染み込んできた。脳に沁みる。
ふと彼の気配が隣に現れた。あれ、と顔をそちらに向けると思ったよりも顔が近く思わず目を見開く。
「
……
少し休憩」
近付く唇からは珈琲の匂い。触れて、触れて、口の中をほろ苦い味が支配する。休憩というには刺激が強い。
「
……
やっぱ甘いな」
俺にだけ聞こえる音量で彼の声が部屋に落ちる。
「
……
もう一口飲んだらちょうどよくなる思いますよ」
ぱちりと目を瞬く間に俺から一口。今度はもっと混ざり合うように、甘くなるように。
「あっつ
……
」
どうやら毛布が不要になってしまったらしい。
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