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2026-02-06 21:13:43
1674文字
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踏み散らされた柘榴の哀願

(オリジナル)卜部×綱
※モブ綱でふんわり痛めつけ表現あり

※色々注意書き
・直接ではありませんがモブ綱で痛めつけるような表現あり
・生前の話
貴族の屋敷へ夜の勤めを果たし私邸へ帰還した綱を待つのは同じ四天王の卜部であった。
敷かれた夜具の傍らに腰を降ろし主の帰宅を待つしばしの間、気を利かせた従者たちが用意した酒はいつも手付かずのまま置かれている。

「これはまた⋯好き勝手にされたな」
湯浴みを終え白い寝着に着替えた綱の首元には隠れることのない浅ましい残痕が走っていた。
「今日は、一段と手酷く抱かれた」
「そうか」
ひと息ついてひどく疲労感を滲ませた様子で寝具の傍らで待つ卜部の正面に腰を降ろす。
普段であれば流れるような所作でおこなわれるそれがぎこちなさを覚えるのも先の言動から察するにあまりあった。
無意識にさするその腕にも余程強く縛らねば残らないような緋色(あけいろ)が見え隠れしている。

「来なさい綱」
そう言われると綱は人一人分空いていた距離を埋めるように膝を突き合わせるまで近くに寄る。
手を伸ばせば届く範囲まで綱が入れば卜部はすかさずさすられた手を取った。
滑るような白い絹肌と均等の取れた肉体的な美しさを併せ持つ綱はそれ故すきものな貴族に自身の功績として証を刻み着けられる事が少なくはなかった。内舎人という役職も含め夜の護衛を勤める関係もあり、度々肌を腫らして帰る綱に卜部も心を痛めていた。

卜部が慰撫するように赤く腫れた箇所を撫でると安心感からじくじく痛むような不快感が消えるように淀んだ雰囲気に身を包んでいた綱も安堵の表情を見せる。
「ここだけか?」
「っ、⋯」
「綱」
「ふっ、あと、足も⋯」
「ふむ⋯」

一巡し綱に横になるよう促して結ばれた帯の結び目に手をかけるが、綱が咄嗟に手を重ね制止をした。
「っ、卜部」
「なんだ」
「⋯やはり、今宵、そこを、晒したくは⋯」
「⋯そのように言われれば余計に憂うぞ」
重ねられた手を優しく外して帯を解き、合わせ目を開けばそこに広がるのは凄惨たる光景であった。

「⋯余程すきものな方のお相手だったか」
「っぅ!」
少し触れただけでも綱が声を上げるそれは、皮膚の柔らかい下腹部から内股にかけてむち打ちを受けたかのように蚯蚓脹れ(みみずばれ)が走り、ところどころ脹れが重なる箇所では皮膚が剥け血が滲み創傷を作り上げていた。
卜部はしかめた眉のまま夜具から体を起こして迷いなく歩みを進め、部屋の一角にしまわれた薬箱から一つ蓋付きの陶器を取り出す。それを持って綱のところまで戻り、慣れた手つきで中から軟膏を掬い赤く腫れ上がった傷痕に塗り込んでいった。

「ふっ、ぅ⋯っ!」
「⋯」

先のことを考えれば軟膏を塗り回復に努めるのが一番であるが、敷かれたかけ布に指を食い込ませて痛みに震える綱の様子に卜部は罪悪感を覚える。思わず手を止めてしまいたくなるが、これで彼の業務に支障が出れば最も後悔するのは本人であることは目に見えている。
鬼を狩る自身が鬼になるなど言葉の綾とはいえ胸に一物を抱えるが、心を鬼にし殊更丁寧に赤く腫れた患部に薬を塗り込んでいった。


「終わったぞ」
討伐ではどれほど傷を負っても痛みなど露も表に出さない綱が、薬の効能もあるせいか軟膏の蓋を戻し塗布し終えたことを伝えても痛みで強ばっていた体を戻すことが出来ずにいた。
力の入る体の頬にそっと手を添えて額、目元、鼻先と順を追って口付けていく。
人払いを済ませてあるためより静かな部屋には綱の漏れ出る震えた吐息だけが広がった。
口元に到達する頃には幾分か力も抜け穏やかな表情になった綱に卜部はひとつ問いた。

「今日は辞めにしておくか?」
「いや、してくれ⋯」

下半身動かせば痛みを伴うがそれでも綱は膝を折り脚を開いた。

「最早貴方無しでは寝ぬ(いぬ)事など、今の俺には出来ん」

珍しく強請るように伝えられた言葉と控えめに引かれた袖に卜部はひとつ息を吐き綱の腕から寝着を抜き取ることで応えることとした。

月高く昇る頃、帳越しに照らされた二つの影がひとつに重なる。