三毛田
2026-02-06 20:29:57
1056文字
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60 14. 立ち止まったままの季節

60日目
それでも、君がいるなら

 相変わらず、景色は変わらない。移ろいゆく季節から、取り残されているようだ。
 長命種ばかりの星だから、仕方ないといえば仕方ないのだろう。
 彼らの時間の流れは、やたらとゆっくりだからあまり気にしていなそうなのも関係してそうだ。
「丹恒、丹恒。これ、新作ご飯! 俺も案を出したんだ。美味いから、食べて!」
「穹。食事は逃げない。まずは座れ。いいな」
「はーい」
 俺達のやり取りを、店員は微笑ましそうに見ていて。
 ここ――金人港――の人々は、俺がいてもあまり気にしない様子だ。
 まあ、将軍が色々と撤回して好きに仙舟に立ち寄ればいいようにしてくれたのも、関係してそうだが。
「先に食べたっていう、素裳も桂乃芬もフォフォも美味しいって言ってくれたんだ」
「相変わらず仲がいいんだな」
「仙舟での、数少ない友達だからさ。みんな務めてるところが違うから、話題に困らないし。情報も入ってくるから、悪くない付き合いだ」
 本人たちが聞いたら少し怒りそうな言い方だが、注意する気も起きないのは秘密。
 今、穹と共に過ごしているのは俺だから。
「ん。パムの料理に近い味付けだな。ピリ辛だからか、これは主食とともに食べると止まらなくなりそうだ」
「この辛さがちょうどいいんだよ。これ以上辛くすると、辛いのが苦手な人は食べられなくなるからさ。食堂の店主と料理人を納得させるのは大変だったんだからな〜」
 人によっては、辛いものは辛ければ辛いほどいいという思考だ。
「それでも、彼らを納得させられたのはお前の実力だ」
「列車でパムの手伝いをしていたからだな! おかわり注文いいですか?」
 ニカッと笑い、おかわりを注文して。
 その笑顔が眩しくて、目を細める。
「丹恒も食べるだろ?」
「お前の半分でいい。食べすぎると、パムの食事が食べられなくなるぞ」
「大丈夫大丈夫! この後、景元に呼ばれてるから」
「あの人は……
 思わずため息をつくと、
「大したことじゃないから!」
「だが、お前は列車の乗員で、ナナシビトだ」
 少々拗ねた声が出てしまったのは、目の前の彼の言葉を借りるとすればご愛嬌。
「なんだ」
 キョトンと目を丸くしていたので問いかけると、じわじわと顔を赤らめていき。そんな顔を、手で隠そうとし。
「丹恒が、やきもち妬いてくれてるんだと思ったら、可愛くて可愛くて……
「っ。ベ、別に妬いてなんかっ」
 急にそんなこと言われたら、こっちまで恥ずかしくなるじゃないか。
「照れてる。可愛い奴」
「それはお前だ」