望月 鏡翠
2026-02-05 16:18:17
939文字
Public 日課
 

#1990 孤独の街ログイン2

#毎日最低800文字のSSを書く/祝福の塔


 巡礼、祝福、生き返り。
 そしてやってきた孤独の街。
 言葉の硬さから感じる印象に気押されていたが、孤独の街の主は思ったよりも楽しい人だった。
 憂鬱に感じていた一ヶ月が、楽しめそうな気がしてきた。この人たちは、この旅のために巡礼者がくることも待ち構えていたわけではなく、この人たちの人生を生きているような気がする。
 ここが死後の世界なら、生きているのとも、違うのかもしれないけど。
 巡礼よりもゴースト探しやれって言われたら、それでもいいよ。楽しそうだし。楽しいことは好きだ。
 生きたり死んだりを考えるより、そっちの方がよくない?
 ケセランパサランハントして、つちのこの探して幽霊を捕まえようよ。
 主といっても王様みたいな権力者ではないらしい。
 寒さに震えながら彼の話を最後まで聞くと、職員に追いかけられてどこかに走って行ってしまった。
 ミステリは好きだよ。未確認生物も、妖怪も好きだ。面白いし。そういうのが出てくる映画もよく見る。恋愛映画とかより、そっちの方が好きだ。昔の名作のリメイクとか、みんなが知ってる都市伝説を映画にしたやつとか面白いよね。
 街の祝福は知性。確かに素敵だ。主人の雰囲気を見ていると、勉強ができる能力というより、好奇心ってことなのかな。
 街というけど、異世界に来たに等しい。スチームパンクの、雪国みたいな。
 映画でもCGの力を借りないと、作れないような景色だ。画面では綺麗だけど、撮影現場では背景が青か緑一色で纏められているやつ。だからこの光景を実際に見たことがあるのは、巡礼で見たことがある人だけってことになる。
 忙しすぎてカリカリしている人もいれば、気さくに話しかけてきてくれる人もいる。
 祝福の種類。知性って人生にどのくらい意味があるものか。
 それをゆっくり考えるよりも先に考えなくてはいけないことがある。
 スニーカーで雪道は心許ない。まだ真新しいからグリップはしっかりしているけど、雪道に対応できるほどじゃない。爪先からどんどんと冷えていく。
 え、と。なんだっけ、どこかに防寒具のテスターを探しているって言ってた気がするんだけど。しかも昨日寝てないから、眠くなってくる。
 この状況で寝たら、死ぬんだって!