なえつき
2023-08-11 22:59:27
1031文字
Public 『うちの上司は情緒がヤバい』
 

一色ひかると緒波柘榴の短編作品を 【充血】【雪】をお題に 3ページ書いてみよう。

『うちの上司は情緒がヤバい』の2次創作小説です。短編作品お題ったー(https://shindanmaker.com/948435)をお借りしました。

会社の休憩室。今、ここには私と一色先輩の二人しかいなかった。
「それで柘榴ちゃん、急にどうしたの? こんなところに連れてきて」
一色先輩はのほほんとした顔で首を傾げる。
その、平和ボケした表情に思わず握りしめた拳を後ろに隠しながら、私は微笑む。
「せーんぱい? なにか、私に隠してるコト、ないですか?」
「んん。隠してる、こと? そんなのあったっけ……?」
さらに首を傾げる一色先輩。その様子からは嘘も誤魔化しは全く見られない。ただただ純粋な驚きだけがあった。
「もしかして、本当に気づいてないんですか?」
「気づいてないって、えーと、うーんと、……アッ! もしかして柘榴ちゃん、シャンプー変えた? 前に私がプレゼントしたやつじゃない⁉」
「ぶっぶー、違いま~す! ……いえシャンプーに関しては正解なのですが今回はそのコトではなく」
私は一色先輩へとにじり寄る。すると同時に、一色先輩が後退する。
……せーんぱい? どうして逃げるんですかー?」
「だ、だって柘榴ちゃん、すっごい笑顔だから怖くって」
「酷ぉーい。私はただ、せんぱいに警戒されないようにニコニコしてるだけなのに……
「だから怖いんだって! アッ、でも柘榴ちゃんやっぱ顔がいい……すげえ最高……もっと見せて……
「せんぱいのその、ルッキズムの権化みたいなトコ、早急に直したほうがいいですよー? だってこんな簡単に手玉に取れる――えい」
阿呆な一色先輩の華奢な腕を、手に取り、私は〝優しく〟握った。
「ギャッ!」
喜色満面の笑みから一転して、一色先輩の顔が思いっきり歪む。
一色先輩の袖をまくると、雪のように白い二の腕……その一部分は、痛々しく赤く腫れてあがっていた。思わず目を逸らす。
「せんぱい、さっき派手に転んだとき、腕、ぶつけてましたよね。もしかしたら……と思ってたんですが。――なんで隠してたんですか? とっとと病院へ行ったらどうですか?」
ああ、痛みに興奮する性癖をお持ちでしたら引き止めませんが。そう付け加えようとして、一色先輩の顔を改めて見つめて、私は口を閉ざしてしまった。
ぼけっとした気の抜けた彼女の様子を見て、絶句してしまったからだ。まさかこの女。
「えええええッッッ⁉ 私、こんな怪我してたの――ー⁉ 気づかなかった! 嘘ぉ⁉」
「せんぱい、もしかしてなんですが……お馬鹿?」
どれだけ痛みに鈍感なんだ、この先輩は。
私は気づかれないように、こっそりと溜息をついた。