三毛田
2026-02-02 22:26:29
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56 10. 眠りに落ちる直前

56日目
君の声が聞こえて

 プラネタリウムのタイマーをセットして、ベッドに寝転がる。
 最近なかなか寝付けない時は、アロマを薄く焚いてから星空を眺めていることが多い。
 丹恒の読み聞かせがあると、もっと早く眠りにつけるんだけどな。と言っておねだりしたけれど、
『何が面白いのか、どうして眠くなるのかわからないから、検証が必要だな。それに付き合えるのであれば、読み聞かせをしてもいい』
 と言われてしまったので、丁重にお断りした。
 チクショウ。
 まあ、俺が一方的に彼を好きなだけだから、理由なんて分かるわけないだろう。そう思っていたのだが。
『なるほど。好いた相手の声を聞くと、心が安らぎ落ち着くのか。つまり、穹は俺が好きなのか』
 そう言い当てられてしまい、答えをはぐらかそうとしたけれど。
『なんで素直に好きって言わないの? みんな気づいてるよ?』
 三月なのかという斜め方向からの、いらん援護射撃に撃沈したのが今日のハイライト。
 思い出したら、ちょっとイラっとしてまた眠気が飛んでいく。
 これじゃ、悪循環だ。
「結構甘い匂いがするな。また起きているのか」
「ノックしろよ」
 拗ねた声が出たが、仕方ないだろう。
「お前がおねだりした読み聞かせをしに来たのだが、いいのか」
「お願いします」
「そうだな。とある星の、民話をわかりやすくまとめたものにしよう」
「わかった」
 スタンドライトで手元を明るくし、手にしていた本を開いて読み上げていってくれる。
……ということだ。穹?」
 そんな声がちょっと遠くで聞こえ。気づけば、眠っていた。
……
 起きたら、うっすら焚いていたアロマの甘い匂いがまだ残っていて。
「おはよう」
「ん。おはよう。って、丹恒!?」
「そうだ。朝食はどうする? パムに頼めば、部屋まで運んでくれるだろう」
 ベッド横のデスクに本の山を作り、読書をしながらながら挨拶。
「俺としては、ここで食べる方が楽だと思っている。今日は、俺も予定がないからここに居座らせてもらう」
「ええ~」
 大きく伸びをし、ベッドを下りて丹恒の隣へ。
 スマホを開き、今日のご飯を全部俺の部屋に運んでほしいとパムにお願いする。
 俺と丹恒の二人分を。
「よく眠れたか?」
「それはもう、ぐっすり」
「それはよかった」
 一度俺の方を見て、優しく微笑んで。それから、また視線を本へ。
 そんな自分が興味ないことにはとことん興味ないってところ、本当好き。
「丹恒」
「ん」
「好きだ」
「そうか」
 勢いで頬にキスをすると、流石に驚いて顔を上げた。