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望月 鏡翠
2026-02-01 23:39:12
1286文字
Public
日課
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#1978 最初に話した人。スニヴァさん
#毎日最低800文字のSSを書く/祝福の塔
ラウンジと呼ばれた場所には、本当に様々な人がいた。東京は、どちらかといえば様々な人に出会う空間だけど、それとは比べ物にならない。それぞれに、死に際の事情があるんだろうか。
目につくのは日本人が多いと思ったが、海外の人もいるらしい。国籍についてはどうかわからないけど、まあ少なくともアジア系の人ではない。
鮮やかな赤いドレスと長身が目を引く女性が、目の前に立っている。
思わずまじまじと見つめてしまい、その不機嫌そうな顔と目が合った。
やってしまったと思ったが、彼女は不躾な視線に腹を立てたわけではないようだった。
「お互い災難ね」
向こうから声をかけてくれたことと、彼女が日本語を喋ったことに安堵した。
「はじめまして。すごい言葉通じるのびっくりですね。鹿山 光輝で〜す」
困らないように、日本語話者だけ集められているんだろうか。別のときは英語話者だけの回もあるのかな。
「えぇと、カヤマ?初めまして、スニヴァ・フロストよ。あたしはノルウェーに住んでるけど、カヤマは
……
、日本人?」
「ノ、ノルウェー
……
?」
こんなに流暢に日本語を話すのに、自信なさげな問いかけを意外に思った。
でもまあ、確かに。日本語を喋ったからと言って日本人とは限らないよな。多様性の時代で、配慮が必要な時代だ。天使だってそう言っていた。死後の世界ですらそうなんだから、現世に生きてる人間だってそうだ。
「日本人ですけど
……
日本語おじょーずですね」
今度はスニヴァが首を傾げる番だった。
「あら? あたしはあなたが英語上手と思って聞いてるんだけど、違うの?あたし日本語話せないわ」
「うぇ!? えーご、話せないっすね」
中学生レベルの英語しか知らない。すなわちアイムファインセンキューとかディスイズアペンしか知らないってことだ。こんな風にふわふわの日本語でコミュニケーションをする気楽さはない。
「なんかこう、言語の壁を超える便利能力はデフォで貰えるみたいな設定なんすかね。ラッキーなのかな」
「なんでもありね、ここって」
生き返ることができる時点で結構すごいことをやってるんだから、それにともなう便利設定はなんでもありなのかもしれない。
「まぁでもおかげでこうして問題なく話せているし、見たところ国籍もバラバラのようだからね。あなたと言う通りラッキーと言うことにしましょうか。あなたのおかげていいことに気づけたわ、ありがとうカヤマ」
「え?へへ、どうも
……
」
何も考えずに話していただけなのに、褒められた。
予想外だったので、照れてしまった。
そもそもあんまり意識しないようにしていたし、この場所が非現実的だから意識しないでも済んでいたが、日常生活では絶対に接することがないような美人だ。
「言葉が誰にでも通じるなら話しかけやすくなるわね、折角だし他の人の話も聞いて回ろうかしら。ありがとうカヤマ、また話す機会があれば、その時はよろしく」
手を振る。
確かに、言語の壁を感じないで済むなんて今だけかもしれないのだから、色々な人に話かけてもいいかもしれない。
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