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2026-02-01 19:21:04
1412文字
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幸せの一皿

小話のリハビリに捏ねたウルデプ

ローガンがウェイドの世界に来てから、ローガンには好物ができた。
それはウェイドの作る具沢山のオムレツ。
ウェイドは「何でもオムレツ」と言っている。初めて口にした時は、次々に広がる食材の味わいと食感に、夢中で頬張ったものである。
次はいつお目にかかれるのかと、本当に年甲斐もなく子供のように待ちわびた。
しかし、一週間、半月
あの料理が食卓に上がることはなかった。


いつ食べたのかも忘れかけた二ヶ月後。
「はい今日は恒例の何でもオムレツだよ!」
ウェイドが大皿に乗せたオムレツをテーブルの上に置く。
ローガンが二ヶ月前に見た光景と同じく、大皿にたっぷりと盛られたオムレツからは出来立てを知らせる湯気がゆらゆらと立ち昇っていた。
ローガンは、ウェイドが前回は言っていなかった“恒例”の言葉が気になった。
「恒例にしては久々じゃないか?」
「あぁ、それはねぇ、うちは数ヶ月に一回冷蔵庫の賞味期限間近のやつをオムレツの具にしてるからだよ。」
椅子に座ったウェイドはローガンに取り皿を手渡した。
「なるほど。それで恒例なわけか。」
大きなスプーンでオムレツを取り分けると、閉じ込められていた湯気が一気に上がる。
テーブルにはケチャップ、マヨネーズ、前回は無かったチリソースが並んでいて、ローガンはケチャップを少量掛けると木製のスプーンで大きく掬い取って口に運んだ。
前回同様に口の中に様々な食材の味が広がる。
「うまい。」
ローガンは一言だけ呟くとこれまた前回同様に黙々と食べ進めた。
「この前もだけどローガンこれ気に入った?」
全盲の老女のアルテアに取り分けた皿を彼女の前に置きながらウェイドが尋ねる。
「ああ、具材が色々入って食べ応えがあっていい。また食べたいと思ってたんだ。」
「えっ、そんなに?余り物入れて焼くだけの手間なし料理がローガンのお気に入りにあっ!」
穏やかに話していたウェイドが一変して声を上げた。
「アル、こぼすから皿持って食べなって、あぁ言ってるそばから!」
ウェイドは忙しなくアルテアが服に落としたケチャップを拭き取ると、彼女に皿を持たせてから自分の分を取り分けてローガンに向き直る。
「何の話してたっけ?」
「これが俺の好物って話だ。」
「そうそうそれ。手間なし料理がローガンのお気に入りなんて言われたら次から工夫したくなっちまう。」
木製のスプーンをゆらゆらと揺らしてウェイドが言う。
「前に食べた時も今回もうまいぞ。俺はこれがいい。」
「聞いたかアル!そんな褒められちゃ食後にアイスでも出す?出そう!」
ウェイドは自分の両腕で自分を抱きしめながら上機嫌に体を揺らす。
「ウェイド、食事の時くらいじっとしてられないのかい!」
今にも歌い出しそうなウェイドをアルテアがぴしゃりと戒めた。
シー、と口にスプーンを当てて肩を竦めたウェイドは、鼻歌交じりにオムレツを食べ始める。

毎回変わる味わいと食感。ひと言で表すなら『賑やか』なその料理を、作った本人であるウェイドのようだとローガンは思い至り、ふと目尻を下げた。そして最後の一口を平らげる。
「あ、次はチリソース掛けてみてよ。俺のおすすめ。」
すでにたっぷりとチリソースを掛けたウェイドがローガンに言う。
ローガンは新たに取り皿に盛ったオムレツに、彼がおすすめだと言ったチリソースを掛けて頬張る。

またひとつ、ローガンの好物が増えた。