望月 鏡翠
2026-02-01 18:53:15
929文字
Public 日課
 

#1977 祝福の塔 ログイン2

#毎日最低800文字のSSを書く/祝福の塔


 案内人は出てきたんだけど、デスゲームじゃなかった。よかったよ。
 確かにもう死んでるのに、デスゲームしても仕方がないもんな。
 え、なんかさ、別に年下でもない、ちゃんとした格好の人にお兄様とかいわれるとそういうコンセプトのお店に来ちゃったみたいで、そわそわしない?
 あれが天使らしい。天使って白い服着てるわけじゃないんだ。
 最近って悪魔の方がどっちかというと人情があって、天使ってどっちかっていうと心がなくて事務的な対応する。人間の揺らぎみたいなのを許してくれない存在、みたいなイメージあるけど、ここの天使は人間味あるみたいでよかった。あれくらい普通の人っぽい方が話しやすいよ。
 翼と目玉でできてるとか、なんか燃える弓とか持ってる姿で登場されても困ったから。
 その説明は分かったようなわからないような。
 じゃあ、ここにいる人みんな死んでるんだ、という今までと別方面での重苦しさとやるせなさも感じたけれど、ともかく全員順当にいけばいい感じになって復活できるらしい。
 過去改変系のタイムリープみたいな感じだろうか。時を駆けちゃうのか。
 それともパラレルワールドに飛ぶみたいな感じなのかな。
 現実感が全くなかったけど、それでも信じるしかない。それ以外に、この状況に対する説明はもらえなかったし、矛盾があるわけでもない。
 真実ではなかったとして、何にも不都合がなかったからだ。
 信じた結果悪いことが起こっても、やっぱりそんなご都合設定ないよなってことで納得できる。地獄って結局そういうもんじゃん。死んだやつを痛めつけるようにできているというか。
 あま〜い悪魔の囁きに乗ったやつは酷い目に遭うんだよ。
 最悪を想定しておいたら、何がきても怖くない。
 ということで、目の前の状況に混乱するのはやめた。
 巡礼期間は一ヶ月。
 休みだと思うとかなり長い。人生を見つめ直す時間だと考えると、かなり短い。さっき見たホテルみたいな部屋はその間に宿泊するためのものだったらしい。
 部屋数が足りないかも、なんて不穏なことが聞こえた気がする。そこは全員分用意しておいてくれないのかよ。そんなことを思いながら、宿泊部屋に流れていく人の群れを見送った。