はらす
2026-02-01 13:59:20
783文字
Public 忘バ
 

20251203 桐智 台風の翌朝

2025/12/03 桐智 大学生 780字
付き合っている大学生の桐智が台風一過にベランダにいる話。むかし、別カプで書いたもののリノベ。

「要くん、ベランダで何しとるん?」
「台風すっかりいなくなりましたね」
要が見上げた空は朝というにはまだ暗いものの、さらさらと流れていく薄い雲が遠い朝日を受けて白く光っていた。千切れがちな雲の隙間に点々と、都会のか弱い星が見える。
昨日の夕方にやってきた台風は夜半に猛威を奮って街を洗っていたはずだけど、明け方の今は既に通り過ぎていた。
台風行ったなあ、と適当に返事をしながら、桐島はベランダの床を足先で探る。嵐が吹き寄せた落ち葉や枯れ木や折れた木に交じり、どこからやってきたのかコンビニ袋やらポイントカードやらデリヘルのチラシやらが散らかっている。あぁ、大谷のクリアファイルも……
ザリザリとゴミを探る桐島の足を眺めていた要は「あ、」と小さく声をあげる。
「桐島さん、そこ、何か光りました」
要が指さすガラクタの山の、その下の方が確かに光っていた。足首を器用に動かし、桐島は要の言う何かを掘り出した。
現れたのは金色の大きな星形だった。ちょうど差し込む朝日に反射して、大きなラメがギラリと光る。
「星まで降ってきてたんですね」
拾った星を弄ぶ要はなんだかすごく楽しそうだった。
「え……本当に星……?」
「ちがいます」
要は呆れて垂れ目を細めた。
「向かいの店のあれじゃないです?看板についていたやつ」
手の内の星をくるりと回す。金の星には朱い字で「歓」とかいてあった。
そうだ、向かいの中華屋の看板のやつや。
気づいた桐島がまだ足元に残る星を拾い、確認する。
2つ目は「迎」、3つ目は「光」、4つ目は「臨」。
どうも看板に貼ってあった飾りの星は、風に吹かれて道を越えてきてしまったらしい。
要は手の中で転がしていた星をそっと柵に置く。桐島もつられて他の3つを並べて置いた。柵に並んで光る歓迎光臨。よく分からないけどむやみに愉快な気持ちになれた。