たくとろ
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ワンライ「愛妻の日」

1h30min
久々に一人称視点で書きました。
あと書き方をちゃんとした小説に近づけるようにしました。今後はこういう感じになると思います。

 ロイと付き合い始めて一年と少し経った。
 彼との毎日はワクワクもドキドキもいっぱいで、絵にしてもしても足りないくらいだ。今日のデートのことを細かく描いていたらもう三枚目。ついついにやけてしまって、マスカーニャには少し呆れられてる。
 カップル向けのスイーツ、少し恥ずかしかったけどかわいかったなあ。パフェに描かれたフラべべの顔がかわいくて……
「リコー? 今いい?」
「あ、うん! 入って!」
 お絵描きアプリを閉じたら、ロイが扉を開けて入ってきて、目が合うと右手を小さく振った。
「どうしたの?」
「ちょっとね。リコ、今日楽しかった?」
「もちろん楽しかったよ。今もデートのこと、色々描いてたんだ」
「へへ。それならよかった」
 ロイは手を腰に当てて笑った。
 今日のデートプランは全部ロイが考えてくれた。わざわざ楽しかったか聞くなんて、ちょっと不安だったのかな。誇らしげにしてるのを見ると、私もなんだか安心して嬉しくなってくる。
「ところでリコ、今日が何の日か知ってる?」
「今日……? なんだろう……
「正解は、愛妻の日だよ!」
 ぐっと顔を寄せて、ロイはそう言った。急に来るから、ちょっと心臓に悪い。
 愛妻の日、初めて聞いた。でも、それがどうしたんだろう。なんて考えてたら、私の気持ちを見透かしたようにロイは言った。
「僕ね、ちょっと前にこの日のこと知って、それでリコをデートに誘おうって思ったんだ」
「え?」
「愛妻って、まだ気が早いかなって思うけど……リコにいつもお世話になってるお礼したくて、リコにたくさん楽しんでもらえるようにデート考えたんだ」
「ロイ……
 優しく微笑むロイがあたたかくて、胸の奥がポカポカする。
 いっぱい考えてくれたんだってことが伝わってきて、心臓がどんどんうるさくなってくる。
「ありがとう! 今日ほんとに楽しかったよ! 私の好きなものがあるところにたくさん連れてってくれて……ロイの好きなものもいっぱい見せてくれて……ほんとに楽しかった」
「へへへ。そんなに楽しんでもらえたなら僕も嬉しいよ。それじゃ、これはもう一つ僕から」
 そう言ってロイは紙袋を私の前に突き出した。
 このお店のロゴは、今日のデートで少しだけ入ったお店の……
「私に……?」
「ああ。リコにサプライズしたいなって思って買ったんだ」
「嬉しい……開けていい?」
 ロイが笑顔で頷いたから、私は紙袋に入っていた箱を取り出した。開けると、中には小さな六つのエメラルドが糸で繋がれた、綺麗なブレスレットが入っていた。
「これ、私が今日見てた……
「こっそり買ったんだ」
「ロイ、ほんとに私のことよく見てくれてるね……ありがとう、大事にするね」
「こちらこそ、いつもありがとう」
 彼はまた優しく笑った。ほんと、笑顔が似合うなあ。
「リコ、来年も、再来年も、その先もずっと、こんなふうにお礼していい?」
「うん! でも、私ばっかりもらうのは嫌だから……私がロイにお礼する日も作らせて」
「分かった。楽しみにしてるね」
 私たちは笑顔で小指を交わした。
 この日の約束は、ちゃんと続いていく。一年後も、二年後も、五年後も、十年後も、何十年先も。
 その間に私は、ほんとにロイの愛妻になって。