付き合ってから初めて迎えた夜の情事。ベッドの上で甘々なキスをしながら、マックスの手がするりと腹を滑り、背中へ回る。指先がカリ、カリと背筋を引っ掻き小さく声が漏れる。けれど、もぞもぞと何かを探る手つきで、気持ちよさよりも疑問が浮かぶ。それはすぐに確信へ変わり、憐みへと変わっていく。マックスも気づいたようでお互いに顔を見合う。
「俺、付けてないけど」
「ごめん」
「つけた方がいい?」
「マジでごめん」
俺と付き合う前は多くの女性と関係があったことは知ってたが、まさかブラのホックを外そうと探られるとは思っていなかった。その後は何となく気まずくなって初夜失敗。あの後マックスは何度も謝ってくれたが、別に気にしていない。マックスが喜んでくれるなら付けても良いかな、と思っているくらい。
『買ってみるか?』
謎の男気を発揮し、サイトを流し見してみる。今どきは男性用の可愛らしい下着がたくさん売られており、今までマックスが好きだと言っていた系統の下着を次々追加していく。どれかは性癖に刺さるだろと大きな自信を持ちながら、こっそりと決済を終えた。
―――
えっちな透け透けレース下着を購入した数日後。べりべりと開けていくと、ピンクのリボンが胸元にある可愛らしいものと、透けた黒いレースのえっちなもの。多分黒い方だろうな、と速攻選び服をバサバサと脱ぎ捨てる。自分には似合わないと思っていたが、メンズ用ということもあり思ったより不格好にはならなかった。黒いレースがふっくらとした胸筋を縁取り、自分でも少しだけ興奮してしまう。姿見から目を逸らすと、同じ袋の中にはまだ何か入っていた。これまた布面積の少ないレースで縁取られたパンツが入っており、どうやら上下セットで購入してしまったようだ。
「これも、着た方がいい…?」
下も穿くのは恥ずかしかったが、上下でアンバランスなものを着ているよりも同じものの方が興奮してくれるだろう。あとは普通を装ってマックスの帰りを待つだけ。着ていた服を着直して、リビングで待つことに。
―――
マックスが帰ってきてからは、ご飯を食べて、ゆったり映画を見てたらそんな雰囲気になって、といつも通りに過ごした。誘われて寝室へ向かえば、マックスにゆっくりと押し倒される。よし、あとは前みたいに触ってくれたら…マックスはどんな反応をするだろうか。ここまで意気込んでいたが、突然不安が過りだす。やっぱりこんな男がえっちな下着付けてたら引かれる?別れるなんて言われたらどうしよう。マックスが甘いキスの雨を降らせてくる一方で、俺は掻きもしない汗を流しそうになりながらも、なんとか平静を保つ。あの時のようにする、と手が入ってきて腹筋を指でなぞっていく。ツン、とマックスの指がブラに触れたところで、動きがピタリと止まる。
「え?」
がばりと服を捲って中を確認された。完全に見つかってしまった。捲ったまま動かなくなったマックスに、どんどん不安な気持ちが募っていく。せめて何か言ってくれ。笑い飛ばしてくれてもいい。
「ま、っくす?」
「これ、どうしたの?」
「マックスが喜ぶかなって…買った」
「買った!?自分で?!」
「おん」
ちょっと待ってね、と言いながらマックスは俺から離れていく。やっぱりキモかったか?別れられるか?つい、と服を引っ張って頭を抱えているマックスへ擦り寄る。
「あの…キモかったら、ごめん。別れるなんて言わんで」
「は?!!?」
特大の大声とともに、勢いよく顔がこちらを向く。
「別れる?!?!?!絶対あり得ないんだけど!?!?こんなえっちでかわいい子を野放しにしたらオレがオレを恨むよ!?!?!?!」
説得させられるように肩をがっしりと掴まれ、とりあえず別れるわけではなかったことに安堵する。
「……手ださんの?」
「出すよ!!!えっちすぎてどうしようか考えてただけ!!!!!」
「んふ、出すんだ」
「あたりまえ!!!」
引かれたわけでもなかったようなので、自分でぺらりと服を捲るのと同時にズボンもずり下ろす。そこから覗くのは細い黒いリボンと透けたレース。それをガン見してしまったマックスは目にノイズが走りながら、冷却ファンの音を煩いくらい鳴らしていた。笑いそうになって、顔を逸らすとそのままドサリと押し倒される。
「やる気出た?」
「めちゃくちゃ出た」
ちゅ、とわざと音を立ててキスをすれば、なにやらキレながらももう一度キスをしてくれる。買ってよかったな、今度もう一枚も着てやろ。
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