ortensia
2026-01-31 10:38:24
1346文字
Public カトマク
 

カトマク(?)非固定かも。


 最初は、なんだったか。
「会社提出の書類で擦り合わせしたいとこがあるから、悪いんだけどちょっと一緒に確認してくんない?キャラメル奢るからさ。」
 そうそうこんな感じだった。キャラメルだけかと笑いながら言われて、じゃあ夕食を奢るから好きなものを選んでほしいと言えば、一緒に買いに行く流れになったので、最高の展開だった。
「この間美味いって言ってたキャラメルあったから、あげる。」
 そう言って物を渡しても、俺らは金銭にはがめつい。タダで貰うのは悪いと言いながらも、何を企んでいるのかと警戒の色を滲ませられて、これは上手く行かなかった。キャラメルの味は美味かったはずなのに、なんだかそれを味わえなかった。
「ミナミちゃんってアイドル知ってる?あの歌人気だよなー。」
 あーあの強化人間でもサイボーグでもない子、と続いた相槌に、なんだか二人して勝手に気不味くなった。どっちが悪いわけでもないってどっちも分かってるのに、あの時の空気は、もう繰り返したくなくて、今だったらブラックジョークでも言い合って、でも俺がいるっしょ、って笑い飛ばせるんだけど。
「話題の新作ゲーム買ってみたんだけど、一緒に試してみない?」
 次はこんな感じだったか、懲りずに。陸軍ならそんなヤワな遊びしねえとか宇宙軍はみんなギークなのかとか言われたら全部終わりなんだけど。普段はレトロゲーとか掘り出し物を漁るのも好きなんだけど、巷で噂になってる人気商品なら、試すくらいは乗ってくれるかもしれない、そう思って。そういう逆張りをいっぱいいっぱいになって、それでも誘われてくれたら、嬉しくて内心両拳を振り上げた。
「ちょっと古い映画なんだけど、見返したくなって。借りてきたから、うちで一緒に見よ?」
 これは結構打ち解けてきて、こっちの都合に相手も付き合ってくれるかもって、そう相手に対して思えてきたから。それで相手が期待通りにしてくれて、嬉しくて、その時にはもう、本当に手放しがたいところまできていたんだ。
「マックス悪いこれ保たない。」
「ごめん増援多いね。そっちカバーするからカートは四時の位置にある通路入って。その代わりそこから来た連中は全部任せちゃうけど。」
「分かってる。」
 なんでも分かってる気に自惚れたくなる。それくらい最高の答えが相手から返ってくる。だからこそ、自分もそうできていると自惚れたくなる。
「ねー、カート、俺脚の配線切れたっぽい。おんぶして。」
「えー。どうしよっかな、じゃー俺の吹っ飛んだ腕抱えてて。」
「えー。カートくんのアーム重い。」
「それごとおぶるんだから俺のが重いじゃん。ほら、頼んだぞ。」
「こらー。自分の腕を蹴って転がして寄越さないのっ。めっ。」
「代わりにマックスがだいじだいじしてて。」
「ハイハイ。それをカートが俺ごと大切にしてくれるんでしょ。」
「ん。じゃ、よろしくお願いしまーす。」
「お願いしまーす。」
 どこまでも甘えきっていい、ガキみたいに試し行動とってもいい、相手が自分のものだって、自惚れてもいい。だけどそうじゃない時はちゃんと言って、怒って、自分の持ってる手段使って殴り合って、それでいい。さいごに全部絶対許してくれるなら。俺だって本当は、全部許せるから。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。