ortensia
2026-01-30 00:34:23
2115文字
Public カトマク
 

カトマク(?)

相棒になりたてっぽい二人。機械工学の知識も情報工学の知識もサイボーグに関しても凡ゆる知識も皆無です。ふわっと読んでください。よろしくお願いします。

 仕事が済んで、カートがマックスを遊びに誘うが、マックスは珍しいことにそれを断った。珍しいと言えることは僥倖だが、カートは勿論断られたかったわけではない。マックスは断りの理由をこう述べた。
「セルフメンテしたくて。」
 カートは眉間に皺を寄せた。
「何、どこが可笑しいの?」
「あ。じゃなくて、定期のやつ。」
 なんだ。それなら、とカートはほっとする。それからその心配に引き摺られるように、つい、言ってしまう。
「それ、俺見てちゃだめ?」
 遊べなくても、マックスのそばにいることをカートは望んだ。
 しかしマックスは黙った。カートをじっと見ている。サイボーグのメンテナンスはセンシティブだ。しかもセルフだなんて、一人でやりたいと言っているようなもの。
「やっぱぷらいばしーに踏み込み過ぎた?」
 そしてマックスは笑った。
「そりゃそうでしょ!」
 そしてまたカートを見る。
「でも見たいんだ?」
「見たい。」
 正確には、そばにいられるだけでも充分だが。
「えっち。」
 カートは一拍置いてから返した。
「そりゃオトコノコですから?」
……そうだねオトコノコだもんね、機械とか気になっちゃうよね。」
 そっちの意味ではないが、カートはまあ良いかと掘り下げなかった。
「いいよ。カートになら見せてあげる。」
 そしてマックスは、そう言ってカートを許した。
 マックスの部屋の作業場にやって来た二人は、マックスが準備してモニターに向かうのを、カートは邪魔にならないようにしながらそばに控えた。
「と言っても俺が見る自分の中は、配線とかじゃなくてデータとプログラムの方なんだけど。」
「良い。マックスが見せてくれるっていう信頼が嬉しい。」
 カートがそう言うと、マックスは困ったように、返答を濁した。カートの都合の良いように解釈すると、マックスは照れているようだった。
 マックスの作業は基本的にカートには分からなかったが、万が一分かってしまっても悪いと思ったので、カートはあまりモニターの方は見ず、マックスの方を見ていた。マックスは淡々と作業をし、カートのことは気にせず、いないかのように振る舞った。普段通りに進めることが、カートへの信頼を見せられると分かっているからだ。
「つまんなかった?」
 終わったらマックスが、そうカートに問うた。
「何が分かったってわけじゃねーけど、普段のマックスが知れたのは嬉しかったかも?」
「カート俺のことめっちゃ見てたもんね?」
……ごめん?」
「良ーよ!」
 マックスは笑って、伸びをするように腕を伸ばして指を組んだ。
「カートのもやったげよっか?」
「え?」
「あなたの場合、俺とは逆に配線見た方が良いかな。」
「そっちも出来んの?」
「少しならね。」
 そう言うならお言葉に甘えてと、今度はカートがメンテナンスされることになった。
 マックスが工具の準備をして、カートのそばに近寄る。カートが差し出したその身を、マックスは丁寧に扱った。
……なるほどねー。」
……えっち。」
 マックスが覗き込んで感想のようなものを漏らす。カートが一応言っとくかくらいの気持ちで、揶揄いの相槌を打つ。
「えー?それってつまり、カートくんはえっちなもの仕込んでるってこと?」
 カートくんの方がえっちじゃんとはマックスの言い分だ。カートは逆に言い返されて、それを更に打ち返すことは出来なかった。
「でもカスタマイズしてるね?じゃあえっちかも?」
「えっちなんか?」
「わかんない。」
 軽い応酬を二人は楽しんだ。二人とも自分のセルフメンテでは勿論、他の誰かにやって貰うメンテナンスでは、このようにはいかないからだ。
「ぎちぎちに詰め込んでるねー。お、こっちは逆に省き過ぎじゃない?」
……無理矢理ってのは分かってんだけど、動き易さと、あと仕込みのためには。どっか寄せてどっか空けないとで。」
「あーね。」
 カートのそれは、技師には明らさまにいたな顔をされるが、どうやらマックスはそうではないらしい。器用に様子を見たり、問題ないところを一時的に外しては元に戻すことを、器用にやってくれる。
……でもこれがネックで出力制限されてるのもあるかも。」
「まじ?」
「うん。……いじって良い?」
「うん。」
 マックスがカートのカスタムを、調整し直す。カートがそれを許したからだ。
「でーきた!」
 閉じまーすと言いながら、カートを元の姿に戻していく。
……動き易い。ありがとう。」
 カートが腕を回したりと体の調子を確かめながら、マックスに敬意を払う。
「んふふー。どういたしましてー。……でも中身と出力の塩梅をぎりぎりにしたから、無茶したら即効でイカレるよ。」
……まじ?」
 してやったりなマックスの顔を、カートは体の動きを止めて思わず見詰める。
「でもそれって、俺が無茶しないように、マックスが心配してくれてるってことだよな。」
 カートがマックスを見詰めたまま言う。それに対してマックスが顔を逸らした。カートはやっぱり、少しは自分の都合の良いように解釈しても良いのではないかと思った。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。