三毛田
2026-01-29 22:24:05
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52 06. 折り畳まれた記憶

52日目
見つけたけど、いらないもの

……
 何処で教わったか忘れたけれど、紙を折り畳んだ手遊びのようなもののように。
 それは折り畳まれていた。
……
 ひろって言葉を失い、訝しみながら広げて、またも言葉を失う。
「はあ」
 きっと誰かの記憶。
 俺の物ではない。それだけははっきりと断言できてしまう。
「それなら、誰のだ?」
 分からないし、知らない。
 今はそれでいい。けど、それじゃ駄目だとわかっている。
 拾ったそれをポケットにしまい、歩く。
「出口何処だろ」
 しばらく歩いてから足を止め、周囲を見回す。
 ここが夢だと言うことも、何だかんだ理解している。
 だからこそ、足掻いたところでどうしようもないことも。
「せめて丹恒がいてくれたらなぁ」
 俺としては嬉しいんだけどな。
 夢ならさっさと覚めてくれ。俺は丹恒に会いたいんだよ。
 そう思いながら、目をつぶる。
 だめだ、それならばと、自分の顔を殴ってみても、痛いだけ。
 舌打ち一つして、怖いけど、本当はやりたくないけれど、高いところから飛び降りた。
「って」
 地面に激突する! と覚悟して体を丸めようとしたら、落ちた。床に。
「穹」
「丹恒……おはよう」
「ああ、おはよう。すごい音がしたから見に来たら、落ちたんだな」
「そうでぇす」
 間延びした声で答えながら、地面に寝転がり。それから起き上がる。
「丹恒、抱っこ」
「しない」
 おねだりしたけれど、バッサリ斬られた。残念。
「でも、ぎゅってして」
「嫌な夢でも見たのか」
「そんな感じ」
 俺の前に膝をつき、そっと抱きしめてくれて。
 ああ。凄く安心する。
 どんな夢を見たのか忘れた。嘘。ちゃんと覚えている。でも、今はこの温もりに包まれていたい。
「朝食は?」
「食べる。でも、ちょっとだけ食べさせてほしいなって」
「それなら、持ってこよう、身支度を済ませておけ」
「はぁい」
 名残惜しく思いつつ丹恒から離れ、洗面所へ。
 洗顔もし、色々と済ませ戻って来れば。
「美味しそう」
「パムから持っていけとバスケットを渡された。それを並べただけだがな」
「それでも美味しそうだもん。じゃあ、一緒に食べよう」
 ニコニコしながら誘うと、ちょっと呆れたようなため息とともに席に着いてくれて。
 うんうん。丹恒のそういうところ、好きだなぁ。
 記憶の写しとられた紙は、あった。でも、なかったことにした。
 丹恒との時間、他のことに煩わされるのは嫌だから。
「ご機嫌だな」
「そう? いただきます」
「いただきます」
 この丹恒と二人きりの食事の時間が、好きだ。
 きっと、彼もそう。