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2026-01-29 18:58:40
1357文字
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5)さようなら、初恋の人

# いいねされた数だけ書く予定のない小説の一部を書く

高父×諸父
婚姻話、なんか悲恋ぽいので注意

分かっていた。
忍びである以上、人並みの幸せは手に入らないということを。

分かっていた、はずだった。なのに、高坂殿に求められ、私は手を握り返してしまったのだ。それが許されることであるはずがないのに。
忍びの里に生れ落ちたということを、その意味を、忘れたわけではなかった。それなのに触れた手の温かな体温を、不器用で分かりにくい優しさを、真っ直ぐに伝えられる愛の言葉を知ってしまうたび、目を背けていた。
いつか、手放さなければならないという事実を。

だからきっと、これは私への罰。




「高坂殿に、見合いの話が来ています」

それは今朝、組頭から伝えられたものだった。高坂殿より先に、伝えられたのは、あの人なりに私たちの関係を案じてくれたからなのだろう。断ることもできると彼は言ったが、きっとすぐに次の話が持ち上がるのは目に見えていた。
だって、高坂殿は月輪隊の小頭就任が決まってしまったのだから。

……それが、お前の答えか?」

静かな怒りを向けられて、思わず身体が竦みそうだった。
高坂殿は、怒っている。恋人としてたくさんの愛をくれたのに、私がこんな不誠実なんだから当たり前だ。きっと、失望させてしまった。……きっと、憎いとすら、思われてしまうだろう。

「答えも何も、私たちはそういう身分でしょう?」

駄目だ、怯えるな、堂々としろ。この関係になったときから、終わりが来ることは分かっていただろう。なら、私ができる唯一の事は、正しい道に愛する人を帰すことだけだ。

「わかった。見合いには応じる」

静かな声が部屋に響いた。

反射的に出てきそうになった「行かないで」の言葉を慌てて飲み込んだ。自分が仕向けたくせに、高坂殿はそれを受けただけなのに。
返事を返さないとと思って口にした「ありがとうございます」は、震えてなかっただろうか?ちゃんと笑顔を作れただろうか。
高坂殿は話は終わったと言わんばかりに、部屋を出て行ってしまった。

部屋に一人、静寂が辺りを包み込む。
高坂殿が居なくなって緊張が解けるように足に力が入らなくなった。もういいか、ここは空き部屋だし、誰かが入ってくることもないだろうから。重力にあらがわず座り込む。

大好きな大好きな人。優しくて温かくて厳しい人。きっとこれ以上に愛する人なんていない。けど駄目なんだ。これ以上、私に縛り付けたら、優しいあなたはもっと苦しい決断を強いられるかもしれない。だから自分から終わりを突きつけた。それが、私が贈れる最後の愛だから。

あぁ、でも──

「ずっと、そばにいたかったなぁ……

こんなに胸が苦しくて悲しいのに、涙は零れ落ちることはない。だってここに来るまでに、枯れてしまったから。

===
コレ、高さん勘当後に、なし崩し的に身体の関係ができてしまう。
諸父は、(いろいろあったしストレスたまってるんだろな)という気づかい3割、捨てきれない未練7割で関係を続けちゃう。

高殿は、息子が掟を破ったことを忍軍が許可するなら、自分も掟を守らなくていいだろって思って諸との恋人関係を再スタートさせた。

この認識の違いがすり合わさるのはそこからさらに数年後。

ちなみに勘当の話が無くても諸が現役辞めたら自分の元に攫うつもりだった。