望月 鏡翠
2026-01-28 11:35:02
869文字
Public 日課
 

#1975 鹿山 光輝です。10

#毎日最低800文字のSSを書く/祝福の塔


 今日の鹿山はどこか上の空だ。スマホの画面ばかり見て、眉間に皺まで寄っている。さてはSNS中毒か。わかるよ、俺も。
 こいつが何かを真面目に思い悩むことがあるのか。大学の単位を落としそうになっても、真面目になりきれないお前が。
 元に戻ることができるかと、指で眉間の皺を引き伸ばす。目をギュッと閉じたあと、いつもの顔に戻った。
「やめて」
「目の前にいる俺よりも大事な用事ってなんだよ」
「彼女」
「え、光輝お前彼女いんのぉ?」
「いるけど」
 何か文句あるという顔で睨み返してきた。
 ごめん、失言だった。
「彼女がいるのに何がそんなに悩ましいんだよ」
「クリスマスに彼女とデートするのにオススメのスポットが知りたい。混んでなくて高すぎなくて、喜んでもらえるやつがいい。予約はない」
「ねぇよ、そんなもん。予約しろ」
 素敵なクリスマスを過ごすつもりなら随分出遅れている。いい店はもう予約がいっぱいになっているだろう。あとは企画で頑張るしかないが、外したら二人の関係はおしまいになる。
 それでこんなに難しい顔をしているらしい。
「調べてもなにもわからない……
「本人に聞くのが早いだろ」
「このタイミングで聞くのは、今まで何もやっていませんでしたって言ってるみたいで好感度下がらない?」
「実際何もやってなかったんだろ?」
「はい」
 素直でよろしい。それをお前の彼女も許してくれるといいな。
「プレゼントで喜ばせるとかしてみたらいいんじゃないか。女性が本当に喜ぶ贈り物は……みたいなやつよくあるだろ」
「ミームじゃない真実が知りたい」
 ああいうの、記事になってるやつは宣伝で、そうでないやつはただの大喜利だもんな。
「インターネットって自分で真実が見極められるやつしかやっちゃいけないらしいぜ」
「つまり俺は、アウト」
「残念ながら……。お前クリスマスも年末もバイトしてると思ってたんだけど」
「してないよ。年末は実家。一人だとなんか寂しいじゃん」
「あ〜」
 ちょっとわかる。お前、ドライに見えて結構寂しがりだもんな。