三毛田
2026-01-26 21:30:11
1070文字
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49 03. 仄かに灯る思慕

49日目
本当に仄かに灯るもの

「う〜ん……うう……
「知恵熱?」
「いや。依頼先で貰ってきたのだろう。手洗いうがいをさせたが、それよりも先に、かかったようだ。三月、マスクをしっかりしろ」
「はーい。手洗いもだよね?」
「そうだ」
 三月に新品のマスクをつけさせ、洗面所で手洗いしてから、出入り口側から出て部屋へ戻るよう指示を出す。
 他の人にもしばらくは穹の部屋へ近寄らないでくれと告げ、熱が引くまで看病をした。
「たん、こう?」
「ああ。俺だ」
「おなか、すいた……
「その前に、水分補給だな」
 熱が下がり、目を覚ました穹は腹が減ったと口にし。
 上体を起こしてから、パムに用意してもらっていたとろみのついた蜂蜜湯をゆっくり飲ませていく。
「ん。美味しい」
 相当喉が渇いていたのだろう。止める間もなくすべて飲み干して。
「美味しかった……もっと飲みたい……
「喉はどうだ」
「痛くない。でも、怠い」
「お粥も作ってもらったから、食べるか?」
「うん。食べたい」
「待っていろ」
 部屋の出入り口のところにワゴンを持って来てもらってあるので、そこから持って来てゆっくり食べさせていく。
「丹恒、自分で食べられるってばぁ」
「まだ熱っぽい。無理したら、後から大変になる」
「うう……
「嫌か?」
「そ、そんなわけじゃないんだけど……
 半分ほど食べさせたところで、自分で食べられると言ってきた。だが、まだ無理はさせられないし、俺が甘やかしたい。
「味はどうだ」
「美味しい。さっきのもだけど、パムってすごいなぁ」
「そうだな」
 嬉しそうに笑い、また口を開けて。
「はぁ……美味しかった。ご馳走様」
 ペロッと全て平らげ、少々うとうとし始める。
 口周りを綺麗にし、薬と白湯を渡す。
「うへぇ。飲まなくちゃ駄目?」
「まだ熱が残っている。少々苦いが、飲んでしまえば変わらない」
「うう」
「ほら、口を開けろ」
 口を開けさせ、薬を流し込んでから白湯を飲ませ。それから、またベッドに寝かせる。
「後で歯磨きしておいてやるから、寝ろ」
「はぁい」
 やはりまだ本調子じゃないのだろう。すぐに眠ってしまった。
 上下する胸に安心し、食器を片付け。
 仄かに宿っているのは、親愛の情なのか、友愛なのか。それとも……思慕であるのか。
 自分でもわからない。
 それでも、彼を大切にしたいという気持ちは本物だ。
「おやすみ、穹」
 簡単に歯磨きをして彼の口の中を綺麗にし、それから風呂を借りて全身を綺麗にしてから自室へ。
 本を一冊持って来てから戻って一晩過ごす。