ortensia
2026-01-25 21:42:36
1178文字
Public カトマク
 

カトマク(?)


 自分への聞き取りが終わって、することもなくてぼんやりと外を眺める。こういう時って社会にきちんと適合できてる人たちって何考えるもんなの。反省と後悔とかかな。そんなん考えるんならそもそも捕まってないんじゃないか。じゃあ結局意味ないね。取調室の窓から見えるのは、変わり映えのない銀河の星々だ。砂糖運んでた車から見えてた景色とおんなじ。
「わー。マックスくんすごーい。」
「へ?」
 やっと聴取、主にマキナちゃんに関しての、が終わってへとへとになっていたチハルちゃんが、それなのに何故か感嘆の声を上げるから驚いた。
「あ。チハルになっちゃった……。」
「え?」
 更にその声には自分の名前も乗せられていたものだから、よけいに驚いて振り向いた。そしたら途端に落胆の声になった。どういうこと。
「あのね。窓の外を見ていたマックスくんにね、星空が映ってキレイだったな、って!」
……窓に近いここの席変わろうか?」
 女の子の感性はよくわからなかったけど、星空が見たいんだったらこの顔を介してなんかじゃない方がいいだろう。そう、気を効かせるつもりで言ったけれど、ううんいいのいいのと去って行ってしまった。なんだろうこの、明確に悪いことした時よりもばつの悪い感じ。こういう時ついカートの顔を見てしまう。
 だけどカートは思っていた顔とは別の感情をそこに浮かべていた。珍しく機嫌良さそうな顔をしていた。
「ま。ちょっとわかる。」
 だからどういうこと。てっきり女の子の感性なのかと思ったけど違ったみたい。もしくはカートくんてば乙女心を持っていたの。
 でも、自分で自分の顔に反射した景色を見るのは難しいから、その感覚を自分が理解するのも難しいんだろうな、と思った。
 その時はその時でそう納得したけれど、後からふと、疑問が浮上した。主にカートに対してだ。
「あのさー。俺の顔ってツルツルだから反射するじゃんー?」
「うん?うん。」
「だからー。俺がカートを見ている時、カートもまた俺を介してカートを見ているってこと?」
 いや別に哲学の話がしたいんじゃなくって。カートと顔を合わせることが多いってことは、反射したこの顔からカートが見ているものって、主にカートってことにならないかなって。
 ややこしい話なんだけど、カートはあーって言いながらなんとなく理解してくれた。
「いや、お前が俺と向かい合って俺に意識向けてくれて話してくれてる時は、俺もお前にしか意識向いてないからお前しか見てない。」
 こっちがややこしいこと言ったからカートくんの返事もややこしくなっちゃった。
「てかお前の俺への意識を、こっちは逆に意識して、緊張してお前しか見えてない。一々何が反射してるとかわからん。」
……いや緊張とかは嘘でしょ。」
「でもわかりやすかったべ?」
 それはどうかなあ。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。