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John
2023-04-28 22:59:22
3149文字
Public
武新
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アルファー、ブラボー、チャーリー
武新。
ワンドロに投稿したものです。
田中君のスキル構成を好き勝手言えるのは未実装のうちだけ。
龍馬と以蔵が脇役してます。
以蔵さんの方言が間違っていても平にご容赦ください。
「っかー! 新兵衛、おんしゃええ酒こじゃんと
蓄
たくわ
えちゅうが」
「
……
新年早々
しんねんそうそう
、酒を
開
あ
けているときに貴様が来るとは。私の
運勢
うんせい
は最悪だな」
「そじゃ、新年じゃ、正月じゃ。なんぞシケたツラすな、おまんのことじゃけ、どうせ大事にしすぎてタンスの
肥
こ
やしじゃろ、わしが一緒に飲んじゃるき。去年の蓄えは新年の内にぱあっとな」
上機嫌で
上気
じょうき
した
赤
あか
ら顔をした土佐の人斬りはそう薩摩の同業者に無責任なことを言い、がははと笑った。
生前、
刀代
かたなだい
として武市に十五両借りた
借金強者
しゃっきんつわもの
はここ、人理保障機関カルデアに召喚されたサーヴァントとなっても絶好調である。
「それにしても、ツマミはもう無いんか」
「こら、勝手に他人の
棚
たな
を
漁
あさ
るな、以蔵」
呆
あき
れたため息も
付
つ
き
飽
あ
きてきた新兵衛のマイルームに、ここで、新たな
来客
らいきゃく
があった。
客
きゃく
は武市瑞山と坂本龍馬である。
岡田以蔵の
行方
ゆくえ
を田中新兵衛の部屋だろうと
予測
よそく
した龍馬は、きっと酒をたかっているに
違
ちが
いないとアタリを付けており。
キッチンからテイクアウトのフライドポテトなど、
揚
あ
げ
物
もの
類
るい
を持って来ている
用意周到
よういしゅうとう
さだった。
「おっ、
芋
いも
か
……
まあええ、
塩
しお
は
効
き
いとるやろな」
ひょい、と一口つまんだ後、人差し指と親指に付いた塩を舌で行儀悪く舐めた酔っぱらいは、満足そうに酒をあおる。
「ほうじゃ、誰ぞやっちょったし。塩をつまみにするのもアリじゃ、塩だけとか部屋に置いてあったりせんか?」
そんな以蔵の様子に苦笑しながら、龍馬は友の身体を心配する。
「
塩分
えんぶん
の
摂
と
りすぎは良く無いよ、以蔵さん」
「わしらぁ、サーヴァントじゃろが、龍馬。なにをゆうちょるんか」
龍馬と以蔵がやりとりしだすと、以蔵の相手から解放された新兵衛は武市へ甲斐甲斐しく席を薦め、茶を淹れ始めた。
「武市先生。先生にはお茶と、つまらないものですが菓子があります。茶は鹿児島県産です」
「ありがとう、田中君」
武市を構いだした新兵衛へ、以蔵からのちょっかいがまたかかる。
「っかー!
相変
あいか
わらず武市の前じゃと
猫
ねこ
っかぶりしちゅう」
「何をいうか、
貴様
きさま
以蔵!」
「まあまあ、二人とも落ち着いて」
そうしてしばらく飲んで
騒
さわ
いでいた
男四人
おとこよにん
の話題が、強面の面頬とギャップを感じる新兵衛の私室の様子に至った。
賑々しい新年の装いに彩られた室内は、珍しく浮かれた空気をまとい、基本的には整頓されている。
「それにしても
粧
めか
し
込
こ
んでまあ、ようこげに部屋を
飾
かざ
り付けたな、新兵衛は」
「ふん」
新兵衛の自室の中はまさに正月、という具合だった。
ミニ
門松
かどまつ
や
鏡餅
かがみもち
もバッチリあった。
「確かにすごいね、僕も
召喚
しょうかん
されて最初の新年はずいぶん気合い入れちゃったからわかるよ」
朗らかな笑顔の龍馬に、新兵衛は落ち着いた武士らしさを全面に乗せて返した。
「そうですか、天下の坂本龍馬にそうまで言ってもらえるのは悪い気はしませんね」
「ちょ、待ちや、流石にワシの時と違いすぎじゃろ」
そんな、この場合ネタとしてわざとされている疑惑も高い対応の差に、すかさず以蔵はツッコミを入れる。
「まあまあ、以蔵さん
……
」
だが龍馬にあやされて、話の流れを戻すか、と。
その時、ふと目に入っただけのものを、以蔵はたまたま覚えていた事もあり話題にしてみる。
「そこの旗まで変えちゅうが、ありゃ、あれもなんぞ
縁起
えんぎ
もんか。龍馬ん部屋にゃ
海援隊旗
かいえんたいき
が飾られちゅうが」
「
……
!」
「
前
まえ
は
藍色
あいいろ
した
市松模様
いちまつもよう
の、
辛気臭
しんきくさ
いのやったよな。今は真ん中が
紅
くれない
の
横線
よこせん
、その上下が
白
しろ
で同じ
幅
はば
、上と下の端だけ同じ幅で藍色」
何故
なぜ
か、
同席
どうせき
していた武市と、新兵衛のみが
顔色
かおいろ
を
変
か
えた。
武市の顔色は
微
かす
かな変化だったが、土佐からの
幼馴染
おさななじみ
には彼のポーカーフェイスは通じにくい。
武市の表情を見ていた龍馬が
一拍
いっぱく
遅
おく
れて一瞬、ハッとした顔をしてから。
「以蔵さん、僕が追加で持って来たツマミも
尽
つ
きてきたし。そろそろお
暇
いとま
しよ」
と、苦笑しながら以蔵に持ちかけた。
以蔵は、いつものことながら何か気まずいことを言ったかと一瞬思い至ったが、
斟酌
しんしゃく
する必要はないな、と即座に酔っぱらいモードに戻る。
「土佐の日本酒、手に入れてあったんだ。これ以上、田中君のお酒を飲むのも悪いし。
……
あ、今度、以蔵さんが飲んだ分ぐらいのお酒をそちらに渡すね、田中君」
「あ、ああ
……
」
「
……
」
「軍鶏鍋用の、貰い物の鶏肉と鍋セットがあるんだった。お竜さんが女子会から帰って来る前に食べちゃうの手伝ってよ。以蔵さん」
「あの女、軍鶏鍋苦手やったか」
「帰って来たらそのまま、別のツマミでお竜さんと三人で呑もう」
「あのカエル女と一緒に飲み直すんは気が削がれるが、まあ鍋は
悪
わる
ない」
「そうそう。じゃあ、お邪魔したね」
足元がおぼつかない以蔵を介護しながら、龍馬はいつもの苦笑を浮かべて去って言った。
「以蔵は
目敏
めざと
いな」
「
……
先生、これはやめませんか」
「いや、私が君の部屋に来るまでは良いとして。毎回言葉で
伺
うかが
いをたて同意を表明するのは、どう持ちかけるべきか迷う上に気持ちとして
躊躇
ためら
われる。というのは、まあ、そうだ。これ以上の
妙案
みょうあん
は今の所ないだろう」
「しかし」
「以蔵は部屋の気になる変化に気付いたのであって、意味は
判
わか
っていない」
国際信号旗
こくさいしんごうき
、というものがある。
洋上
ようじょう
を
航海
こうかい
する
船舶間
せんぱくかん
で、国際的に通用する通信手段として十九世紀に定められたもので。
一つの旗がアルファベットの一文字に対応し、また旗ごとに、一枚、二枚、三枚などの
同時掲揚
どうじけいよう
でも特定の意味を
指
さ
す組み合わせが定められており。
言語によらない、国境を超えられる、観測できるならば距離も
超越
ちょうえつ
できる海洋の
意思疎通手段
いしそつうしゅだん
である。
田中新兵衛は生前の
逸話
いつわ
により、低レベルながら騎乗スキルがパッシブとして与えられていた。
元は
船頭
せんどう
だった、という
海洋航行
かいようこうこう
のものだ。
当然、新兵衛が生きていたのは幕末日本のことだが、このスキルは現代の
機器
きき
も動かせるようになるもの。
詳細
しょうさい
は『国際信号旗』で
各自
かくじ
調
しら
べていただくとして。
今、新兵衛の部屋に
掛
か
かっている
旗
はた
は、単体だとYESの意味を持つ。
以蔵が指摘した、
紺
こん
の市松模様はNOだ。
ちなみに、NOを先頭にYESの旗と並べる場合、
危急
ききゅう
の
救難信号
きゅうなんしんごう
という意味になる。
「旗をYES/NO
枕
まくら
の代わりにするのは
……
やはり」
「いや、小さいとはいえ壁に付けなくなっても余計目立つ。田中君、大丈夫だ」
それよりも、と、武市は真剣な顔をする。
「田中君、今夜は」
「
……
はい」
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