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バラ肉
2026-01-24 17:10:17
3136文字
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パネトラ②ロビスグ
② 不意打ちを喰らって赤面
できてるロビスグの日常。
何気ない会話に煽られちゃうロビンと、そんな気はないのにやらかしちゃったスグルの話。
プロット→本編完成前に辻褄が合わなくなって没。
を3回ほど繰り返し、ようやく自分なりに萌える作品に仕上げられました!
「ロビンって、ちゃんと先生をしとったんじゃなぁ」
唐突に告げられた言葉に、ロビンマスクは仮面の奥の目を瞬かせた。
静かにしていたと思ったら、藪から棒に何を言いだすのか。書きかけの万年筆をテーブルに置くと、彼は机を挟んだ向こう──応接用ソファでだらしない格好をしながら雑誌を読む友へ、視線をやった。
暇だから。
そう気まぐれで遊びに来た相手は、勝手知ったるとばかりに随分と寛いだ様子だ。家主が時間を取ろうと慌てて事務仕事を終わらせていると言うのに、呑気なものである。
おまけに、そんな昔の話題を持ち出すだとは。
ロビンは呆れたように息を吐いた。
「──随分と、いきなりな話だな」
「ん、そうか? だって、ほれ。これ。超人ティーチャー特集に載っておるぞ」
言うなり、スグルは指し示すように持っていた雑誌を広げて見せた。
そこには【英国の誇り、超人学校で教鞭を振るう】と大袈裟なタイトルと共に、黒板へ向かってチョークを握ったロビンの姿が大きく載っていた。
「なっ
……
!?」
腕まくりをして教壇に立つ己の姿に、思わず目を見張る。
一体いつの話だ! 遠い記憶を探れば、確か忙しい時期に取材を受けた気がしなくもない。
超人レスラーとしてコーチ役を買って出ることは多々あれど、子供相手に教えるのはこの時が初めてで──ましてや当時の状況も状況だ。本人にしてみれば、ただ全力で勤めていたつもりだった。
しかし、こうして改めて客観的に見ると、やはり慣れぬ姿はどこか違和感が残る。汚れないよう、ネクタイをシャツの胸ポケットに入れているスタイルは、その最たる例だ。形から入っている。そう言われても仕方ない。ジワジワと頬が熱い。
とはいえ、それを表に出しては、ニヤニヤとこちらの反応を伺う男の思うツボだ。
「ゴホンッ!
……
それにしても、この雑誌自体どこで手に入れたんだ? 結構前の記事だろう」
「ん? そりゃあ私はこの雑誌の愛読者だからな! ちゃんとバックナンバーは揃えておるわい!」
言うが早いか、ソファの傍らに置いていた風呂敷包をテーブルの上で広げれば、ドサドサっと同じタイトルの雑誌がその場に散らばった。
その数はゆうに10冊は軽い。また、薄汚れた表紙を見るに、どうやら嘘は言っていないようだ。
「どうせロビンは忙しいと思ってのぅ。、ちゃーんと暇つぶしに持ってきたんじゃぞ!」
フフンッ!と無駄に胸を張るスグルに、ロビンは今度こそ呆れたと肩を竦めた。
(こちらが忙しいと分かった上で来たのか、この男は
……
)
相変わらず想定の斜め上をいく行動力には舌を巻く。
このマイペースさには誰も勝てまい。
心の中で皮肉るものの、しかし自分に会いに来た事実は決して嫌ではない。むしろ、喜ばしいとさえ感じる。
(素直に『会いたい』
……
と、そう思ってくれるようになったのだな)
見栄っ張りで、プライドが高くて、でも誰よりも臆病な男が見せる、甘え。
それは男としての矜持をくすぐる。
──否、彼を想う男として、と言うべきか。
ロビンは自分の口角が緩んでいる事に気付くと、『おっと』とマスクの上から軽く押さえた。
この時ほど自分がマスク超人である事に感謝したことはない。
もしも今、その素顔が白日の下に晒されていたら
……
きっと目の前の男はこんなに能天気に過ごしていないだろう。
「しっかし、ロビンが先生のぅ〜! 妙に様になってるから余計になんか笑えるわい!」
ガハハッ!と楽しげに笑うスグルに警戒心は微塵もなかった。改めて誌面を覗く顔は完全に油断している。
だからこそ、ロビンはゆっくり席を立つと、バレないように彼へと近付いた。
カツッ
……
革靴が床を踏み締める音は、しかし相手の馬鹿笑いに掻き消える。
そしてソファの前に立つと、彼はそこで漸く相手へと声を掛ける。
「なら、私が特別レッスンを付けてやろうか、キン肉マン?」
「へっ
……
?」
いきなりの誘いに顔を上げたそのタイミングで、トンッと肩が押される。
無防備な体は、たったそれだけの力に呆気なく後ろへと倒れ──そのまま肘掛けに後頭部がゴツンッと当たった。
「きゃいんっ!?」
磨き上げられた木製の硬さに、思わず目の中に星が飛んだ。痛みに顔がグシャリと歪む。その隙に、彼の上へ影が伸びた。暗くなる世界に誘われるよう顔を上げれば、逞しい体躯がまさにその身にのしかかろうとする寸前で。
「
……
さあ、確かめてみろ」
有無を言わせない響きと共に、ロビンの体は止まることなくスグルへと覆い被さっていた。
ギシッ。超人2人分の荷重を受けたソファが軋む。
けれど、それを気遣う余裕はどちらにもない。深く沈んだクッション材に、体が埋もれる。
「ほら、遠慮しなくていいんだぞ。可愛い生徒くん
……
」
悪戯な囁きが、倒れた体の緊張を強くさせた。
一体どんな展開が起こるのか。
スグルの喉が、無意識に締まるように鳴った。それは当然、間近にいる男にも聞こえた筈だろう。
にも関わらず、ロビンはあえて見せ付けるように自分のネクタイをゆっくりと緩めた。
もうゴングは鳴っている。逃げ場はない。
暗にそう告げる男に、スグルはギュッと眉間の皺を寄せた。
英国が誇る紳士が、ただの野蛮な簒奪者に変わった時。抵抗なんてするだけ無駄だと、これまでの経験で痛いほど知っていた。
だからこそ、暴かれた痛みと快感の記憶が、下半身をズクッと疼かせる。
ギラギラと光る赤い眼に映る自分の顔は、酷く怯えていた。この男のスイッチを踏んだのは自らなのだ、そう知らしめるようだ。
そんなつもりはなかった、なんて言い訳はもう通用しない。
「ぐぬぅー
……
、のう、ロビン」
「なんだ? キン肉マン」
優しく、しかし確実に色を帯びた声に、空色の目が揺れる。
正直、これからの展開を考えると恥ずかしさで死にそうになる。
言動は幼いものの、スグルとて立派な成人男子なのだ。ましてや、目の前の相手にはこれまでに何度もその手の手解きを受けてきた関係なわけで。
彼は何度も下唇を舐めながら、やっとのことで言葉を紡ぐ。
「その
……
つまり、なんじゃ
………
やさしく、してくれよ?」
上目遣いで、拙くも素直な気持ちを伝える。
それがイギリスの若大将と呼ばれた男の心を打ち抜くとは思いもせず。
「ッ!!」
カッと見開れた目は、本人の衝撃の度合いをありありと表していた。また、露わになっている首筋が日焼けしたように赤くなる。その様子からして、マスクの下も同様なのは明白だ。
「ろ、ロビン? え、どしたの
…
? うひゃあっ!?」
いきなり動かなくなったロビンに頭を傾げた瞬間。彼は己のシャツが下からグイッとたくし上げられ、目を丸くした。鍛えられた腹筋が昼間の明るい部屋の中で晒される。もちろん、胸の上でピンク色に勃ち上がった乳首も、だ。
「ロビン! ちょっ、言っとる側からお前というヤツ、はッ
……
」
性急な態度に文句を飛ばすも、見下ろす眼差しの鋭さに最後まで言えなくなる。完全なる捕食者に反射的に唇が震える。
そんな、一気に萎縮するスグルを尻目に、ロビンは露わになった胸を優しく指先でなぞりながら、笑う。
「フッ
……
。安心しろ、キン肉マン」
普段なら心強く感じる言葉は、今はまるで逆。最終宣告にしか聞こえない。
それに当人は気付いているのか、いないのか。
どちらにせよ、スリッと肌を這う指は止まらない。
「
………
ご希望通り、念入りに、優しく教えてやろう」
いけない教師のマスクの下は、子供たちには絶対に見せられない微笑が浮かんでいた。
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