沙里
2026-01-22 23:53:22
1105文字
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ルと2

 休日の公園は、相も変わらず賑やかだった。
 人込みというほどではないし、別にこの雰囲気が嫌だとは言わないが、ゆっくりするような場所ではない気はした。
 天気は悪くない。暑くもなく、寒くもない。そういう意味ではゆっくりしたいとも言える。
「暇そうだな」
 芝生の上で寝転がった相手に声をかける。
「休日くらい、暇を満喫させてくれよ」
 そんなものかと隣に腰を下ろす。
 芝生の青い匂い、隙間から差し込む日光。賑やかな喧騒が少し遠く感じた。
……話をしてきた」
 雑談にも似た呟きに、そっか、と同じような呟きが返ってくる。その距離感が、いまはありがたかった。
「特に発見があったわけじゃないがな」
 嫌気がさして逃げてきたのに、わざわざ帰った理由は、別にない。
 ただ。
『話くらいはしたほうがいいんじゃないか』
 そんな提案を、独り言のように言われて、それもいいかもな、と自分自身がぼんやりと思ったからだ。
 どうにかなると期待なんてしていない。どうにもならない、無駄な時間だろうなという諦めにも似た気持ちはあった。
「ただ、まぁ……憑き物は落ちた気はする」
 公園でキャッチボールをする親子は、相も変わらず下手くそで、だけども楽しそうで。
 涼しげな風が木々を揺らす空間は、思っているよりも居心地が良かった。
「そっか」
 ならよかった、と思っているのか、義理なのか、よくわからない口調でそう呟いて、そいつは静かに身体を起こした。くぁ、とだらしなくあくびをひとつ。
「でも、戻ってきたんだな」
「悪いか?」
「そんなこと言ってないだろ」
 ふは、と楽しげに笑う顔は、人懐こいのかもしれないが、少々腹立たしさを覚える。どうせ、こちらがそんなことを思っているなんて考えもしないのだろうけど。
「おかえり、ルー」
 どこか少し、希薄な存在感。柔らかい空気のような、不思議な人間。
 自警団にいて、バカみたいにトラブルに巻き込まれてばかりで、そのくせ、他人のことばかりで。勝手にやってりゃいいのに、こっちまで勝手に巻き込んで。だけども、まぁいいかとか、しょーがねぇなとか、甘やかすみたいに受け入れてしまう。
 ああまったく。どうしてだか、こいつがいないと、つまらない気がして。
 気付けばこの街へ。こいつの元へ、足が向いていた。
……ただいま」
 それを言うつもりも、投げつけてやる勇気もなくて、差し出された手をぺちりと叩いてやるくらいしか意趣返しもできやしない。だけどもそんな自分のことが、そんなに嫌いじゃないと思える程度には、変わったのかもしれない。
 まぁ、そんなことは絶対に言ってやらないんだがな。