awase
2026-01-21 21:51:34
6138文字
Public ナルサス
 

LOBBY ZERO(2)

現パロ|高校生のナルトとサスケ|ゲームを通じて知り合った2人が仲良くなったりオフパコしたり恋愛っぽくなったりする話しです
※ナルトにモブ彼女がいます
※ナルトとモブ彼女の性関係の描写があります
※サスケの家庭環境が悪いです
※サスケがパパ活しています
※モブ(パパ)×サスケの性描写を含みます
※モブサスの強姦を含む描写があります





新宿南口のバスターミナルに降り立ったサスケは東京のビル風の冷たさに驚愕し、顎まで下げていた黒いマスクを引き上げスヌードに首を埋めた。

サスケの地元は日本で一番日照時間が少ないと言われており、一年の半分を雪とともに過ごす。実家が山にあるサスケは12月から雪かきをし、5月上旬まで木陰の隅で薄汚れた雪の塊を観測しながら生きている。
だから、東京なんて余程暖かいのだろうと思っていた。まさかビル風がこんなに突き刺さるように冷たいとは。
ブレザーの上から羽織っているピーコートのポケットに手を突っ込み、地元のバスターミナルの売店で買ったカイロを揉む。すっかり冷たくなっていた。



『バスターミナル着いた』
『着いたら教えてー』
『何番線に着く?』

スマホを開くと、5分ほど前にナルトからチャットが届いていた。
9時より少し前に着くバスに乗っていたから待つ気でいたが、ナルトはだいぶ早く新宿に着いていたようだった。待ち合わせ時間に遅刻しないどころか15分前に到着しているナルトに感心し、『何番線かはわからない。ロビーにいる』と返すと、『わかるわけねーだろ』とすぐに返ってきた。塞ぎ込んでいた気持ちでも少しだけ笑えると、ロビーのインフォメーション付近できょろきょろとしながら右往左往している金髪の若者を発見する。バスターミナルなんてそんな奴ばかりだが、サスケはすぐにそいつがナルトだと分かった。着こなしがゲーム内のアバターそのものだし、オレンジに黒の3本線が入ったペインターパンツにゲームにちなんだキーホルダーをぶら下げている。他にもナルトがチャットでよく使うキツネのスタンプを模したマスコットや、ゲーム内で気に入って使っているメインウェポンのチャームをぶら下げていたりして、〝ナルトにも程があるだろ〟と思った。纏う雰囲気や顔立ちがサスケの想像していた通りで、迷いなく近寄って行くと、遠慮なく近づいてくるサスケに気づいたナルトは恥ずかしそうにくしゃっとした笑顔を見せた。

「ぜってーサスケだ!」
「絶対ナルトだろ。わかりやすすぎる」
「わかりやすくしてきたんだっての! てかコレ見て! 駅でポップアップやってて今買った!」

じゃん、とナルトがフーディを見せつける。フロントにでかでかとゲームタイトルが印刷されており強烈にダサい。ダサいのに、サスケにはナルトという存在がやけに垢抜けた男に見えた。根元から明るい金髪や自然と上がった口角、デカいハスキーボイスという要素が都会を象徴しているような気すらしてくる。なんの躊躇いもなくゲームの服を着こなすところも、なぜだかオシャレ上級者のように思えてくるから不思議だ。

並んで歩き出しながら、エスカレーターの前を行くナルトがサスケに振り返る。睫毛は金色よりは濃い茶色だった。

「そういや、なんで自分が乗ってるバスが何番線かわかんなかったんだよ?」
「こんなにいろんなところからバスが来てると思わなかったんだ。だから、覚えておこうという概念がなかった」
「へー。サスケってどこ住んでんの?」
「上の方」

北海道? と聞かれ、まあそのへん、と返す。ナルトはそれ以上は聞いてこなかった。

「じゃ、せっかく来たしポップアップ行くか」
「お前さっきもうその服買ったんだろ」
「おう。2回目上等だろ!」

そういうもんか。
サスケの地元の価値観では、ゲームの服を買ってその場で着替えた挙句再度来店するとなれば、余程のオタクなのだろうと思われるから恥ずかしいという意識がある。ゲームをやっているのはいいが、わざわざゲーム外アイテムに金を払うのは隠キャ扱いされるのだ。それを身につけて登校などした日には〝そっちの人〟扱いを受けクラスのメインストリームからは外される。
サスケは完全に孤立しているためその枠ですらないが、ナルトが同じクラスだったらどういう立ち位置なのだろうとは思う。明るくてお喋りでゲーム好きだから、どんな奴からも好かれそう。そんなことを考えながら、普段あまり人と打ち解けないサスケ自身もナルトとはスムーズに会話が成り立つことに居心地の良さを実感していた。何年かぶりに楽しいという感情が湧いていた。



ポップアップショップで商品を山ほど買い込みサスケは満足していた。
金があるから使いすぎたような気もする。
ゲームのロゴが入ったショップバッグを2人でぶら下げ、次はどこへ行こうかとスマホでマップを見るナルトの横で突っ立っていた。

……てか、うっすら思ってたが腹痛ぇ)

サスケは気を逸らすために遠くを眺めたが、視界いっぱいに人とビルが映り込み常に耳に入ってくる電車の音とアナウンスで情報量に溺れそうになる。
この腹痛が昨晩の中出しのせいなのか、何度も腸壁を突かれたことによる鈍痛なのかわからない。しかし自覚すれば痛みが強くなってきてドキドキと心臓が嫌な脈を打つ。スマホから顔を上げたナルトが訝しげにサスケを見た。

「なんか顔色悪くねーか?」
……平気だ」
「顔真っ白でやべーぞ」
「やばくねーよ」

心配されると余計に、というやつだ。
サスケは踵を返し「便所」と言い残し、駅ビル内の表札を見ながらトイレに歩き出した。が、一歩踏み出すごとに痛みが強くなる。いよいよ一歩も足が出なくなったところで、後ろから追いついてきたナルトがサスケの腕を掴み手頃なベンチに無理やり座らせた。その頃には冷や汗が止まらなくなり、ひどい腹痛が吐き気を呼んでいた。

「ハラいた? 救急車呼ぶか」
「やめろ、大袈裟だ。休んでれば治まる」
「バス10時間も乗ってたからかな。東京さみーしな、整腸剤買ってくるか」

矢継ぎ早にしゃべるナルトに首を横に振る。整腸剤より痛み止めの方が欲しい。そんなことより、痛みのせいで昨晩の仕打ちの記憶が嫌でも蘇ってくる。痛みの原因がどこにあるのか、脳が勝手に記憶を探しに行ってるようだった。あまりの怖さとキャパオーバーで記憶が薄れていたことまで思い出され、今さら体の芯から震えてくる。
情けねえ、とサスケは手の甲に爪を立てた。
自業自得なのだと昨晩振り切ったはずなのにこの期に及んでビビってる自分を許せない。
小刻みに震え始めたサスケの背を撫でるナルトの手が温かくて、途方もない寒さが少しマシになる。再びナルトが「やっぱ救急車呼ぼう」とスマホを取り出したため、サスケは強く拒否した。高校生の自分が救急車に乗ったら、すぐに両親に電話がいく気がする。勝手に検査をされたりして、親に売春がバレることが恐ろしかった。

……一旦、そのへんでホテル取って休む」
「おう。だな、ちょっと横んなった方がいいってばよ」
「悪いが土地勘がないから、一番近いホテルを調べてくれないか」
「てか、オレんち来る? 今一人暮らしだし、こっからタクシーで10分もありゃ着くし」

ナルトからの提案にサスケは揺れた。少しでも金を浮かせるならありがたい。迷っていると、「それが一番安いし早いよな」とナルトがスマホでタクシーを呼ぶ。ものの30秒ほどで到着し、サスケはナルトに支えられながらタクシーに乗り込んだ。初めて人の口から聞く渋谷区という住所を聞きながら、タクシー内の暖房の暖かさで震えが治まっていた。







マンションに到着し、ナルトは慣れた仕草でオートロックを通過していく。
こんな場所のこんなマンションに一人暮らしってどんな高2だよ。そんなことを思いながら着いて行くと、部屋の前に到着しナルトが鍵を差し込む。開けたはずなのに逆に施錠されたドアにナルトは突然焦ると、「ちょっち待ってて」とサスケを玄関前に置いて家の中に入って行った。
案外壁が薄いのか、玄関付近で交わされる言葉が所々聞こえてくる。帰ってって言ったじゃん、やら、食器洗い当番そっちだろ、やらだ。その声色から部屋の中にいるのが親ではなく恋人なのだろうと察しがついた。そのことに何故か小さなショックを受け、サスケは自分の感情が理解できなかった。毎日ゲームをしていたタメの奴に彼女がいたことが悔しいのだろうか。
まあでもオレは女に興味ないしな、と玄関前で立ち尽くしていると、ドアを開けたナルトがサスケを招いた。

「入っていいのか」
「うん、彼女いてごめん。今帰ってもらうから大丈夫」
「友達呼ぶなら先言っとけよバーカ」

暴言を吐きながら洗面所の方に横切った女からサスケは咄嗟に視線を外した。背中まであるロングヘアで、身長も自分らとさほど変わらない。キャミソールとショーツだけの姿でサスケの前に現れた彼女は不貞腐れた様子で洗面所で歯を磨いている。

「言ったっての! 午前中で帰ってねって言ったじゃん!」
「今まだ午前中なんですけど」
「そっ、まあ、そうだけどぉ……

口籠るナルトにため息をついた彼女がドラム型の洗濯機から衣類を取り出し着込む。俯いたままでいるとナルトにリビングに案内され、ひとまずソファに腰掛けることになった。

「ソファで寝てもいいし、ベッドで寝てもいいけどどうする? あ、部屋着貸そっか?」
「ベッドは可哀想だろ。せめてシーツ替えろよ」

服を着替えリビングに現れた彼女に横槍を入れられたナルトがさっと顔を赤くする。サスケは言外のニュアンスには気づかないふりをして、ソファで横たわり「ここでいい」と言った。

「でなに、この人今日泊まってくの?」
「わかんない。まだ聞いてない」
「聞いとけよ」
「サスケ泊まってく?」

彼女にせっつかれたナルトがいきなり聞いてきたから、サスケは咄嗟に頷いた。本当はネカフェとかで金が尽きるまで過ごそうと思っていたが、ここに泊まらせてくれるというならそれが一番いい。
泊まってくって、とナルトが彼女に言うと、長い髪を一本に結いながら彼女があーともふーんともつかない相槌をした。

「じゃあたししばらく来れないじゃん」
「なんで責めてくんだよ……。自分んちあるだろ」
「あんたんちのがいろいろアクセスいいんだもん」
「とりあえず数日はムリ! しばらく家帰ってよ」
「ケーチ」

ちろと舌を出した彼女の舌にシルバーのボールピアスが光る。サスケは引き続き気づかなかったフリに努め瞼を閉じた。足元で丸まっていたブランケットを何の気なしに引き上げると、「それあたしの」と彼女が毟るように奪い取った。

「てか、あんたおっさんと精液臭い」

彼女がサスケの髪に鼻を近づける。ナルトは別の部屋にいるのか、リビングには彼女とサスケだけだった。

「キスマーク。見えるとこについてるし何?」

ぱ、と首元を抑えると、いやこっち、と反対側のうなじを彼女が指差す。

「あいつバカだから気づかないだろうけど、変なちょっかいかけたら許さないから」

冷ややかに見下ろされ、サスケは生まれて初めての衝撃を受けていた。女に睨まれたことなどなかったし、敵視されたこともなかったからだ。
女は全員べたべたと媚を売ってきて鬱陶しく、オレの見てくれが異様に刺さるものだと思っていた。
物心ついた頃からモテていたサスケは早々に女という生き物に対し警戒心と嫌悪感を抱くようになったが、こういうパターンもあるのか。
サスケが黙り込んでいると、彼女がアウターを羽織り玄関の方に向かっていく。
シーツを抱えて戻ってきたナルトと玄関で一言二言交わしてから、彼女が家から出ていく音を聞いた。

「ごめんな、彼女めっちゃ態度悪くて」
「いや、べつに」
「あっちのが年上だからオレもちょーコテンパンに言われるし、こえーんだよな〜」

洗濯機にシーツを突っ込んだナルトが洗面所から話しかけてくる。しばらくして、ゴトゴトとドラム式洗濯機が稼働しだした。
サスケはリビングとキッチンと洗面所を行ったり来たりし部屋を片付け始めたナルトを目で追う。欲しいな、と直脳的な本能が首を擡げ、邪な感情が倫理観を食い潰す。
サスケはあの女がナルトを本気で好きではないことを見抜いていた。他にも男がいることも。
自分が男相手に売春し金を貰っていたからわかる。ナルトはあの女にとっての「家賃係」でしかない。それを邪魔しそうな男が現れて牽制してきたのだろうが、それによりサスケの内の競争心が煽られた。
同じ土俵に登ってきた人間を無条件でねじ伏せたくなる、昔からのサスケの強烈な闘争心だ。

「ナルト」

ソファで丸まった姿勢のまま名前を呼ぶと、無垢そうな眼差しがサスケに向けられる。
透き通った青いビー玉みたいなふたつの虹彩。サスケの育った町ではあまり見られない晴れた日の空色というやつだ。
こんな純粋そうなヤツでも女に騙され搾取されているのだと思うと、しかもそれに気づかずに尽くしているのだと思うと愚かしくて笑いたくなる。バカなのはオレだけじゃないんだと安心できる。

「寒いから、やっぱりベッドで寝たい」

そう言うとナルトがキッチンの流しの水を止める。彼女のやり残した洗い物までして、健気な奴。
濡れた手を拭いたナルトが寝室の扉を開けサスケを案内する。新しいシーツが敷かれていて、部屋は暖房が行き届かないせいか冷え切っていた。カーテンの締め切られた暗い寝室にクイーンサイズのベッドだけがあり、枕がふたつ。ヘッドボードで散らばったコンドームの黒い箱と飛び出した綴りを無言で回収したナルトがベッドサイドのチェストに押し込む。

「寝室こっち。好きに使っていーから」
「ああ。部屋着も借りたい」
「あ、そだったな」

クローゼットを漁ったナルトが黒の上下スウェットをベッドに放る。サスケは制服を脱ぎスウェットに着替える傍ら、せせこましくクローゼットを整理したり寝室とリビングを行ったり来たりするナルトを観察しながら「取れるな」と確信していた。
途方もなく満たされない人間の匂い。手を伸ばされた方にふらふらと吸い寄せられていく精神の未熟さ。自分と同じものをサスケはナルトから感じ取っていた。そうでもなきゃ、あんな明らかに脈なしの女の彼氏をやるなんて道化ができるわけがない。
毛布に潜り込み、ずっとつけっぱなしにしていた黒いマスクを外すと、サスケの顔を覗き見たナルトと目が合う。ナルトは感心したような表情で、「すげー顔」と真正面からサスケを見つめた。

「どういう意味だよ」
「いや、カッケーなーって。マスクないほうがイケメン」
「そうか」
「女の子にモテそう」
「女興味ねー」

ナルトが怖がる前に「男にも興味ねーけど」と先手を打ち、背を向けて毛布を引き上げる。
視線がしばし背中に突き刺さるのを無視した後、やがてナルトは寝室から出て行った。

ナルト自身が欲しいのか、わざわざサスケの土俵にあがって喧嘩を売ってきた女の彼氏を取ってやりたいのか、今のサスケには判断がつかない。
ただ、もしナルトを誑かせてあの女が悔しがったらそれはすごく笑えると思う。昨晩サスケを引き摺り回して笑っていた男たちと同じくらい、楽しい気持ちになれると思う。








end.


続きます