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リレン
2057文字
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フリンズ夢 短編
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フリンズさんと夜空を見上げる話
テーマBGM:「Sign」@鬼束ちひろ様
――
今夜は特に寒い。
仕事帰りの夜、コートにマフラーに手袋で完全防御していても全然防げていない寒さに、手を擦り合わせて少しでも暖を取る。暑さよりも寒さの方が得意とはいえ、冬が得意というわけではない。早く暖かい部屋に帰りたいと思い、ほんの少し早歩きをする。
ようやく到着した我が家の扉を開けて、急いでストーブを付ける。だんだん暖かくなる部屋に一安心。
「でも、冬の空は好きなんだよね」
独り言をぽつりと呟き、まだ身に付けたままの防寒具もそのままで、部屋の窓を少し開ける。窓から外を見上げて、一面の星空を眺める。
誰から聴いたかも思い出せないけれど、「冬の寒い夜は、雲がない空気が綺麗な日である証拠」
――
なのだ。この部屋はナシャタウンの空がとてもよく見えるために選んだ場所なので、今夜は星空観察しないなんて勿体無い。わざわざ窓際にお気に入りの椅子もセットしてある。
ひとしきり星空を堪能し、吐く息が白くなり体がまた冷えてきてしまったので、今夜はここまでにしよう。窓はカシャンと音を立てて閉じられた。
――
コツコツ
閉じたばかりの窓の方から、何やら音がした。振り返ると、外には蒼い光がぼんやりと見える。あっ
――
と思って、急いで窓をもう一度開けると、そこにはランプが鎮座していた。
「こんばんは。窓を開けて下さりありがとうございます」
「フリンズ!
……
なんで玄関から来ないのよ」
「今夜は特に綺麗な星空なので、貴女はきっと見ているだろうと思いました。そしてこちらに着くと、窓から空を見上げていた貴女が見えたので、つい」
つい、じゃないんですよ。人に見られたらどうするの
……
というか、この状況を見られた場合、私の部屋への風評被害が起こるのでは?
「んー、とにかく入って」
「お邪魔しますね」
ゆらゆらと少しずつ動くランプ。何度見てもちょっとだけ面白い。ランプの炎がゆらめき、長身の男性が現れる。もちろんフリンズだ。
「星空の観察は、もう終わってしまうのですか?」
「うーん、まだ見ていたかったけど、流石に寒いからねぇ」
「それは少し勿体無いですね」
「
……
どうして?」
そう聞くと、彼はまだ開いたままだった窓
――
というか夜空を指差して、告げる。
「今夜は流星群、だそうですよ」
***
さらに防寒具を着込み、大きめの水筒に温かい紅茶を準備した。フリンズと連れ立ってナシャタウン近くの丘まで急いだ。
「そんなに早く歩かなくても、星空は逃げませんよ」
「空は逃げなくても、流れ星は逃げるよっ」
「
……
おやおや」
普段は手を引かれる側の私がフリンズを引っ張るので、彼は呆れつつもクスクス笑っていた。
「
――
よしっ、到着!」
そう言いながら少し息が上がっている私とは対照的なフリンズは、持たせていたレジャーシートを広げてくれている。体力の違いがはっきりと出ているね。
「いつものところに敷けば良いですよね?」
「うん、ありがとう
…
。とても
…
助かるっ」
そう答えてから、少しずつ息を整える。落ち着いた頃には寛ぎ空間が出来上がっていた。その真ん中にフリンズが座ってしまう。
「
……
少し横にズレてくれないかな?」
「貴女の場所は、ここですよ」
そう言って彼は、自身の膝の上を軽く叩く。三秒だけ考えて、時間が惜しいな
…
と思って大人しく彼の膝の上に乗せられることにした。
「あっ!今の見えた⁈」
「えぇ。おや、あちらにも。今夜は特にすごい数ですね」
「本当にすごい!教えてくれてありがとう、フリンズに感謝だよ」
お礼の言葉を述べながらも、視界は全て星空に預けている。たくさんの流れ星に圧倒され、数えることすらやめてしまった。
「あちらにある星は、特に輝いていますね」
彼が指さす頭上を勢いよく見上げる。
「え、どこどこ
……
って、うわっ!」「おっと
――
」
珍しくバランスを崩したフリンズと共に、後ろに倒れ込む。下敷きにしたフリンズは、くくっと小さく笑っている。
「貴女は星空のことになると、勢いが良すぎますね」
「すみませんねぇ
……
でも、この体勢いいな。空見やすいし、背中柔らかいし」
「それは僕が犠牲になっているからでは?」
「そうですね、そのまま犠牲になってください」
「
……
僕の恋人は、僕の扱いが酷くないでしょうか
……
」
小さな訴えは聞こえなかったことにして、そのまま星空を堪能することにした。彼は文句を言いつつも、私のお腹に手を乗せて暖めてくれているので、優しいね。
流星群が落ち着いて来たので、持って来ていた温かい紅茶を二人で飲んでから帰ることにした。
「この後のフリンズの予定は? 夜警?それとも、夜明かしの墓に帰るの?」
「
……
第三の選択肢は出てこないのですか?」
「仕方ないなぁ。では、私の部屋に泊めて差し上げましょう」
「ふふ、是非それでお願いしますね」
『今夜も僕は、貴女の元へ。』
テーマBGM:「Sign」@鬼束ちひろ
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