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望月 鏡翠
2026-01-19 01:17:05
871文字
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日課
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#1965 星は西に流れた5
#毎日最低800文字のSSを書く/チェス盤戦争
馬は少し離れたところに、繋いであった。馬は賢い生き物だが指示に従って身を隠すという能力があるわけではない。流石につれていたら、警戒をする青年を前に、その存在は誤魔化しきれなかっただろう。
馬を回収した後、案内に従って町を目指した。
それが罠である可能性も検討していたが、もう弓の用意はしてある。多少的に囲まれたくらいでは、どうにもできないという確信があった。
オドには、人にはない力があった。馬を操る力や弓の腕といった、鍛錬で至ることができる領分の力ではない。
異能とも呼ぶべき能力だ。戦場に投げ込まれることが運命付けられた者に与えられる目印なのかもしれない。白黒の陣営に分かれて戦うものも、同様の能力を持つのだという。
アレンと名乗ったその青年も、もしかしたら同様に何か力を持っているのではないか。そう期待したのだ。
ただの盗賊が、命をかけるほどの崇高な願いを持つとも思えない。
互いに名乗ったとき、オドの名前を聞いたアレンは発音しにくそうに何度か口にだして確かめていた。彼の名前を耳に馴染まないと思ったが、向こうにとっても同じだったのだろう。異国の単語は発音しにくい。
この国にとっては、こちらが異郷のものだ。これから先、黒か白か知らないが、どちらかの陣営に所属し、背中を預けて戦うのに、名前が覚えも呼びもしにくいというのはよろしくない。
「こちらで、俺の名前に近い音の言葉はあるか」
「オズ
……
とかですかね」
「オズ」
音を落とすべきところに落としていないような気がしてしまうが、それがこちら風なのだろう。
「愛称ですが。オズワルドとかの」
「よし、いいな。それにする」
「それにする、とは」
アレンが怪訝な顔をする。
「俺の名前だ。そちらの方がこの国人間には呼びやすいんだろう。なら、それにする」
いきなり名前に採用されるとは思っても見なかったのだろう。驚いた顔は、演技ではなく素だろう。
しばらく歩いたあと、オズワルドは本題を切り出した。
あの不可思議な水の玉。それとアレンの関連性について、だ。
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