2026-01-18 17:11:53
1534文字
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luminous

ヒュビビ4作目
そのうち、指切ったぐらいで手当てされに行くヒューゴさんが爆誕します。

 休日の昼過ぎ。惰眠をむさぼり、つい先ほどまでベッドに居たヒューゴは、寝ぼけ眼のまま廊下を歩いていた。ビビアンはもう流石に起きているだろう。喉が渇いた。ぼうっとしたままで角を曲がると、いきなり大きなものが視界に入る。
「!?」
「ちょっと!危ないのです!」
 間一髪でぶつかる前に足をとめることができた。見上げると、脚立に乗って何やら作業をしているビビアンが目に入った。いつも丁寧にセットされている巻髪が、今日は無造作に後ろでひとつにまとめられて、前髪はピンでとまっている。額が見える状態の彼女は、なんだか少し幼く見えた。
こんなところで何を?」寝起きで上手く出ない声をひねり出してたずねると、ビビアンは呆れたようにため息をついて、右手に持った電球を軽く振った。
「廊下についている電球が切れていたので、取り換えるついでにお掃除をしていたのです」
「危ないだろう、言ってくれれば
「あなたが起きないから」拗ねるように言う。けれど、そこまで怒っているわけでは無さそうだ。
「それはすまない。すぐ代わる」
「嘘ですよ、昨日遅かったのでしょう。それに、もう終わりますし」そう言いながら、ビビアンは再び上を向く。体制を変えた拍子に、手から電球が滑った。
「あっ」
ッ」
 電球を追いかけて、ビビアンの身体が傾く。同時に、重心が変わったことで脚立が傾いた。ガラスの割れる嫌な高音と、続いて鈍い音が響いた。
!?」
 思わずぎゅっと目をつぶっていたビビアンは、おそるおそる目を開いて、自分が無傷であることに気づいた。そして、自分がヒューゴの胸元に乗っていることにも。どうやら下敷きにしてしまったようだ。
「す、すみません!大丈っ
 そして、起き上がろうとして手をつき、ぬるりと生温かいものに触れ、ひゅ、と息が止まる。

すぐそばの電球の破片がちらばり、ヒューゴの左腕から鮮血が流れていた。

***

「ヒューゴ、本当に、本当に、ごめんなさい
 ビビアンは、今にも泣きだしそうな顔で手当てを進める。
「たまたま止まりにくい場所が切れただけだ、深い傷でもない」
「そういう問題では」ビビアンがシリオンだったら、今彼女の耳と尻尾は地面と平行になるだろう。しかし、落ち込みながらも手当てする手際の良さが変わらないのは、なんとも彼女らしい。
「ビビアン」優しく呼びかけてみるが、彼女は傷の方から目を離さない。
やっぱり痛みますか?」
「違う。ビビアン、顔をあげて、俺の方を見ろ」
 ビビアンは、狼狽えるように目を少し泳がせた後、こちらを向いた。瞳に不安が浮かんでいる。
「怒っているように見えるか?」瞳を見つめ返す。
見えません。でも
「この程度の傷、どうということはない。昔はもっと酷い生傷が絶えなかった。何せ、大きな犬と共に暮らしていたからな」
もう、ライカンさんに怒られますよ」ビビアンの表情が少し和らいだ。
「それに、一歩間違えたら、俺が君の気を逸らしてしまったせいで、怪我をさせるところだった。これは自業自得だろう」
「またそういうこと言って。私、貴方のその言い回しの癖、嫌いなのです」
「手厳しいな」苦笑すると、ビビアンはいたって真面目な顔で返答した。
「これはもう、言っておかないと伝わらないでしょうから」あきれられているのか、愛されているのか。
「善処する」
「それはやらない人のお決まりの文句なのです
 段々と空気が柔らかくなっていく。ヒューゴは心から安心した。せっかくの休日なのだ、どうせなら楽しそうな彼女を見ていたい。

「なあ、ビビ。ひとつ甘えても良いか?」
喜んで」

「君の淹れたコーヒーが飲みたい」