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なりしゃ
2026-01-17 06:13:25
640文字
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のたればなし
刀匠師弟のおはなし
職人向きの性分ではないのに
綺麗なお師匠様の刀を見て
学びたいなと思ったのです
それが他でもない理由
だから彼らにはごめんなさい
だし抜けて弟子入りを志願したんです
お師匠様は壬生の技法をと鍼を取り出すので
私はツボを突くよりも槌を使った力業の方が
きっと向いてるのかと思いまして
私はこっそり質の良いたたらの技(わざ)
美濃の人々にしなやかな刀の教えを乞うて
見よう見まねで鍛錬したのでありまして
お師匠様 目を丸くして
オイ、生き遅れ 子作りじゃねえんだ
可愛い子ちゃんこしらえて
どうするんだと呆れ顔
身幅はふくらかな腹を持ち
鋒(きっさき)は御地蔵様の帽子を被せているのですから
いゝえ この焼き入れは薄く強度を高めたもの
実戦刀にもなりましょうし
刃取りは師匠の真似事 敬おうとしていますと
なによりも 見てくれは
湾(のた)れた波間に
神籬(ひもろぎ)を三又にわかち杉の生命を宿した
表も裏もないのは刃文が証していますゆえと
聞こえよがしに
ここからは耳打ち
この子に 滅殺の力があるように見えますかと
聞かされたお師匠様
すっかり呆れたと 姿勢を崩して
あんたも悪ィ奴だよな仰られてしまいました
残念ながら私は鍼を使う技量がなかったのだと
心にもない お詫び
心鉄(しんがね)に皮鉄(かわがね)を鍛錬するが如く
十五も願えば万の折
鋼に神風(かぜ)の息吹を送り
無念に散った創始者の 万劫(まんごう)の
祈りを刀の御心に捧げたのでありました
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