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ugatuno
2026-01-23 19:01:00
1040文字
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二次小説
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その心臓は世界のかたち 27話EP
4月にマタロウが会いに来たタイミング。
陽がやわらかく差し込む中庭。ジンペイは車椅子に乗ったまま、まだ少しだけ咳き込んだ後だった。
看護師の付き添いを断り、ひとりで少しだけ外の空気に触れていた。
「
……
」
静かな時間。まだ寒さの残る風に、服の袖が揺れる。そこへ
——
「ジンペイくん!」
パタパタと靴音が駆け寄る。振り返った先、少し背が伸びたマタロウの姿があった。
「
……
マタロウ?」
ぽかんと目を見開く。言葉よりも先に、安堵が胸を満たしていた。
「うわっ、なんで!? えっ、外国じゃなかったの!?いつ戻っ
——
」
「今朝戻ったばかり。
……
いてもたってもいられなくて」
息を弾ませて近づくマタロウの顔には、驚きと、焦りの色がにじんでいた。
「ジンペイくんが倒れたって
……
本当は、もっと早く来たかったけど
……
」
「
……
なんだよそれ。俺、そんな大層なことにはなってないし」
ジンペイは、平然とした顔をしてみせようと笑う。けれど、その表情はどこか曇っていた。
「
……
顔色、悪いよ」
そっとかがみ込むマタロウ。その瞳が、ジンペイの胸元の酸素チューブを見て、止まる。
「
……
やっぱり、無理してたんだね」
「
……
うるせぇな」
一瞬だけ、低い声色で言う。だけどすぐに笑ってごまかす。
「いや、でも見てのとおり! 俺、生きてるから!」
「生きてるのがすごいって言わせるなよ
……
」
軽くツッコミつつも、マタロウの声は少しだけ震えていた。
「おいおいおい、泣くなよマタロウ〜。泣いたら笑っちまうぞ?」
「泣いてないよ。
……
でも」
一瞬、視線をそらす。
「
……
僕、ジンペイくんのこと、ちゃんと見てなかったなって思って」
その言葉に、ジンペイの笑みが止まる。
「
……
そうか?」
「君って、すごく強くて、明るくて、頼りになって
……
僕のヒーローで
……
でも」
マタロウが、かすかに眉を下げる。
「
……
ヒーローって、本当はそんなに無理しなくちゃいけないものじゃないんだよね」
ジンペイは、視線をふと空に向ける。何かを否定するわけでもなく、ただ。
「
……
でも、無理してる方が、落ち着くんだよな。なんか」
風が、ふたりの間をやさしく通り過ぎる。
「
……
それでも、君が倒れるのは
……
もう見たくないよ」
そのまっすぐな言葉に、ジンペイは少しだけ黙り込む。
「
……
バカ。俺が倒れると、マタロウが心配して飛んでくるから、やめとくわ」
そう言って、少しだけ力のない笑顔でまた笑った。
「
……
うん。それでいいよ」
少しの間、ふたりで何も言わずに春の空を見上げた。
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