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roku
2026-01-16 10:26:51
796文字
Public
松イチワンドロライ
第18回『汗』
⚠クラスの女子が出てきます
「松本くんってさ、汗までいい匂いしそうじゃない?」
「あー!わかるー!!だってあの顔面だもんね」
放課後。誰もいないはずの教室から聞こえたのは数少ない女子のかしましい声。
「キラン!って光るいい匂いの汗、浴びたくない?」
「キャー!わかる〜!!」
話はどんどん盛り上がり、最終的には「むしろ汗とかかく?」などと言い出した。
「それはさすがかくわ!」
「まぁそうだよね〜あはは!!」
ツッコミを入れる女子に、大きな笑い声が静かな廊下に響き渡った。
――
練習を終えて戻った部室で、犬のようにクンクンと鼻を鳴らし松本に近づいた一之倉。
「うぉっ!どうした!?」
「ん?いや、汗臭いよなって思って」
「あ?部活の後なんだから当たり前だろ」
当たり前だと言いながらも一之倉に言われると気になるようで、タオルでしっかり汗を拭き、ロッカーから取り出した制汗剤をシュッと吹く。
「松本の汗はいい匂いがするって聞いたから」
「は?」
一之倉の真剣なまなざしに怪訝な顔をする松本。
「浴びたいらしい」
「一之倉
……
何の話をしてるんだ?」
顔を顰めたまま制服に袖を通しシャツのボタンを止める。
―
汗とかかく?
―
部活前、通りすがりに聞いた松本と同じクラスの女子の話を思い出し、たまらず笑いが漏れる。
「ふっ
…
ふはっ!!」
「何だよ!?」
「なんなら汗すらかかないらしい。ふ
…
っ
…
」
着替えを終えた一之倉は未だ笑いが止まらず肩を震わせている。
「何かわかんねぇけど、くだらねぇこと言ってないで帰るぞ。ほら」
「ん」
短い返事をして差し出された左手を右手で取れば、緊張からか、松本の手はほんのりと汗ばんでいた。
松本は、この程度で汗かくんだよ。
盛り上がっていた女子たちに心の中でそう呟く。
ふふっと笑って上目遣いで見上げれば、「なっ、なんだよ!?」と普段はキリッと凛々しい顔を真っ赤に染めていた。
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