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風花莉亜
2026-01-16 08:59:23
3979文字
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忍耐力測定。
第24回とどち版ワンドロワンライ参加作品。藤堂くん視点の大学生年齢操作あり。一緒に住んでいる設定で、お風呂上がりの千早くんの話。ちょっとだけ情事を想像させる表現がありますが、何もしてないので全年齢。いつも通りなんでも大丈夫な方向け
大学進学を機に、千早と一緒に住む事にした。
建前はルームウェア、けれど本音は同棲。
その事を知っているのは限られた人間、ヤマと要と清峰だけ。
家族にさえ秘密にしている事をなぜあの三人が知っているのかと言うと、話せば長くなるので割愛する。
まぁ、簡単に言うと付き合ってるのがバレたから。
要の嗅覚の良さには、二人して舌を巻いたという事だけは伝えておく。
付き合ってる事については折を見て家族には話すつもりだが、今はまだその時ではない。
大学を卒業してもまだ一緒にいるようなら家族にも伝えましょう、これは同棲する際に千早が言った言葉だ。
だからこの言葉の通り、家族に話すのは大学を卒業してから。
この先俺は千早を手放す気はないし、千早の事を逃がす気もないので、家族に話す未来は百パーセントの確率でやってくる。
ただ正直、姉貴と千早の母親には俺達の関係がバレているのではないかと、俺の勘が告げている。
そして多分、それは外れてはいないだろう。
なんて事を千早に言ったら大変な事になるので、これはまだまだ俺だけの秘密である。
*****
一緒に住むようになって知ったのだが、風呂上がりの千早は心臓に悪い。
上気した頬に濡れている髪、それだけでも効果は抜群で、俺の理性をだいぶ削りにきている。
洋服からラフな格好へと変わるのも、見えない壁が一枚なくなったようで、これにも俺の理性は削られていく。
自分がチョロい人間なんて事は遠の昔に知っていて、千早の前では理性なんてものはあってないものだった。
千早は、その日の気分で風呂から上がった時の格好を決めているらしく、日によってマチマチだ。
定番のパジャマだったり、半袖にハーフパンツだったり、俺の服だったり。
何時ぞやはバスローブだった事もある。
初めてその姿を見た時はめちゃくちゃ驚いたっけ。
自分の家でバスローブって、どんなセレブだよって突っ込んだけど、千早は何処吹く風だった。
俺がおかしいのか? なんて考えながらも、バスローブってエロいな、という気持ちの方が強かったので、ベッドに押し倒してそのまま。
そんな感じで風呂上がりの千早にはある種、毎回と言っていいほど翻弄されている。
果たして、今日の格好は何だろうか。
壁に掛けられた時計を見れば、千早が風呂場に消えてそれなりの時間が経つ。
いつもならそろそろ上がって来る頃合いだろうと、リビングでスマホ片手に待っていると、リビングのドアが開いて千早が入って来た。
なるほど、今日は俺の服で来たか。
彼シャツよろしく、今日みたいに俺の服を着て出てくる事も多く、パンツは穿いているもののズボンは穿かない事が多い。
Tシャツの長さも絶妙で、パンツが見えるか見えないかギリギリの丈。
よって起こりうる事象は、俺の忍耐力測定である。
好きな奴が生足晒して目の前をウロウロしてみろ、ガン見するだろが!
そもそも俺は千早のせいで足フェチになった人間だ、好みの足を前にして平静を保ってはいられる訳がない。
このまま襲っても俺には何の非もないと言いたい所だが、千早の明日の予定次第では『非』ができてしまう。
だから、合図があるまでは我慢。
なかったら生殺しのまま悶々とした一夜を過ごす羽目になる訳だが、それも最早日常と化してきている。
これが日常と言うのは些か不健康な気もするが。
さて、今日はどちらだろう。
「千早、髪の毛乾かすぞー」
「はぁい」
千早の髪を乾かすのは、俺の仕事。
髪から雫が滴るのすらエロいと考えているのは、多分にバレている。
知っていてわざとそのままにしているのだから、やっぱり忍耐力測定という認識は間違いではないと思う。
ソファーに俺が座り、足を広げて出来た空間に、千早が座る。
膝を抱えて座るのが癖なのか知らないが、毎回そのポーズで座るので、後ろにいる俺の位置からだとギリギリ見えないものの、前から見たらパンツは丸見え。
俺ら以外に誰もいないからいいけど。
いや、後ろに座っててもたまにちょっと見える時があるから、やっぱりあんまり良くないかも。
男のパンツが見えた所でって話だが、それが千早の物なら話は別で、見てはいけない物を見てしまった気になるのが怖い所だ。
俺だって似たようなの穿いてるのにな。
「どうかしました?」
髪を乾かすと言った癖に一向に何もしない俺に、千早が振り返って首を傾げる。
雫がひとつポタリと落ちるのを見て、慌てて頭を振って煩悩を追い出す。
今は千早の髪を乾かす事に専念しろ、俺。
大丈夫、何でもないと曖昧に笑って千早に前を向かせた。
このまま放置して風邪なんか引かせられない、と兄モードを発動させて、千早からタオルを受け取る。
ドライヤーを使って乾かす前に、タオルドライは必須だ。
これをするしないでは、髪へのダメージが変わってくるとは姉貴の受け売りだった。
千早のキューティクルを守る為には大事な作業なので、髪の毛をタオルで挟んでポンポンと優しく水分を取っていく。
コイツの髪って癖ないよなぁ。
セットされていない髪は重力に従ってストン、と落ち、眼鏡を掛けていない事も相まって普段よりも幼さを滲ませていた。
「よし、タオルドライ完了。コンセント差してくれ」
コードの先を持って千早に差し出すと、素直にコンセントに差してくれる。
それにお礼を言ってからドライヤーのスイッチを入れ、温風を千早の頭に当てた。
さらさらストレートの髪に指を通していると、妹の髪を乾かしてやっていた頃を思い出す。
俺の毎日の日課といって良いほどで、妹は俺に髪を乾かしてもらうのが好きだった。
にーに上手だから気持ち良くなって寝ちゃうの、なんて可愛い事を言ってくれたっけ。
されるがままの千早もどうやらこの時間が好きらしく、気持ち良さそうに目を細めているのを知っている。
はっきりと口にされた事はないけれど、千早も妹と同じような事を思ってくれているに違いない。
そして俺も、千早の髪を乾かすこの時間が好きだったりする。
普段あまり甘える事をしない千早が、何の躊躇いもなく甘えてくれるこの瞬間が愛おしい。
たまに心地良さからか船を漕ぎ出す時もあって、そんな無防備な姿を見られるのも、また嬉しかったりする。
気を許されている、そんな風に感じる事が最近は多くなっていて、高校の頃の出会ったばかりを考えると、最早別人のようだった。
「っし、終わり」
「
……
ありがとうございました」
最後に冷風を全体に当ててからカチリとドライヤーのスイッチを切って、千早の髪を柔く混ぜる。
ポンポン、と叩いて終わりを告げれば、ぽやんとした目をこちらへと向けてきた。
そうして、ふにゃり、と笑ってお礼を言われる、ここまでが髪を乾かした後のお決まりのやり取り。
気も表情も緩んだ千早は、いつ見ても可愛い。
他の誰も知らない、俺だけが知っている姿。
これを見れるのが自分だけなんて、気分が良いなんてもんじゃない。
最高だ。
「藤堂くん」
「ん?」
「いつもありがとうございます」
「お、おう」
ふわふわした雰囲気にドギマギしていると、千早はソファーへと座る俺の隣へとやって来て、手を取り頬を寄せる。
それがまた猫を彷彿とさせる動きで、やっぱりコイツって猫っぽいよなぁと思う。
前世は猫だったって言われても、普通に納得すると言うか、それしかないだろってかんじ。
何を考えているのだろう、千早は俺の指を握ってみたり、指と指の間に己の指を潜り込ませたりと、俺の指にご執心のようだった。
にぎにぎ、するする、握ってみたり指を滑らせてみたり、手遊びでもしているかのようだ。
手を構って貰えるのは悪くないけど、本体も構ってほしい。
そんな意味を込めて絡まる指に力を込めると、ピクリ、と千早の身体が揺れる。
ジリジリと焦れったい程にゆっくり視線を上げて、やっと俺の姿を捉えた頃には、ぽやぽやとした表情は也を潜め、やけに熱っぽい物へと変化していた。
だからホント、同一人物かよって。
「乾かしてもらったお礼、した方が良いですか?」
髪をひと房摘みながら妖艶とも取れる表情でそんな事を言われて、平常心なんかじゃいられなくなる。
忍耐力測定、最終課題、と言った所だろうか。
口元が弧を描くのを見ながら、最終課題、難易度高すぎだろとボヤいた。
「最終課題って何の事です?」
「忍耐力測定」
「
……
なんです、それ」
「千早の誘惑に耐えられるかってやつ」
「誘ったのは今が初めてなんですけど?」
「おめェが風呂から上がった時点で始まってンだよ」
「えぇー、勝手に欲情しないでください」
「そうなるように仕向けてる癖によく言う」
耳元で囁くように言えば、肩がピクリと揺れる。
千早は、耳が弱い。
弱点とも言うべきソコへと、フゥーっと息を吹きかけると、再び肩が揺れた。
軽く肩を押せば、力が抜けているのか、千早の体は簡単にソファーへと沈む。
クッションへと背を預けるその上へと覆いかぶされば、涙目の瞳がキッと睨み付けてくる。
膜を貼ってユラユラ揺れてるので威力は半減、全く怖くない。
寧ろ誘われてるいるとすら思う。
「お礼、してくれンだよな?」
頬へと手を滑らせて問いかければ、喉仏が上下する。
やっぱりナシでとか普段の千早なら言いそうではあるが、そうならないように先手を打って火を付けた。
千早の弱い部分、耳へと舌を伸ばしてねっとりと舐め上げる、それだけで十分。
白旗を上げた千早は「責任取れ、バカ」なんて可愛い事を言ってくれたので「仰せのままに」と手の甲へと口付けを落とす。
どうやら今日は、お許しが出たようだ。
END
文字数少ないのに難産すぎました
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