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望月 鏡翠
2026-01-15 22:34:35
892文字
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日課
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#1963 星は西に流れた3
#毎日最低800文字のSSを書く/チェス盤戦争
血飛沫を飛び散らせている男を蹴り飛ばす。馬が嘶きをあげて、駆け出し敵の一人を蹄で蹴り倒してゆく。まだ顔を覆ったままでいる男の腕の腱を狙って抜き去ったばかりの矢を振るう。指が緩み落ちた剣を掴むとすかさず、切り掛かる。
よく聞き取れぬ罵声を無視し、奪った剣で喉をつく。切れ味の悪い刃は血脂で粘り、骨に引っかかって抜けなかった。一瞬、手が止まる。
その隙を見定めたわけでもないだろうに、見計らったようなタイミングで後ろに回り込んだ野盗が突っ込んできた。
無防備な胴を狙っている。
有象無象にしてはいい勘だ。刃を突き入れたままの敵の体を盾に使う。一瞬、視界に透明な玉が浮かぶのが見えた。
すぐに血飛沫が混ざって見えなくなる。
戦いの最中にその違和感を見過ごすほど間抜けではなかったし、野盗との戦いはそれを傍に置いておけるほど、緊迫した斬り合いではなかった。
敵を全て切り伏せた後、オドはようやく弓に弦を張り直しながら思案した。まだ何かあると、勘がつげている。
鏡のような何かだった。攻撃はされていない。例えば監視用の何か、だろうか。
野盗が何か不可思議な力を持っていたとも考えられる。それならここまで一方的な運びにはならなかっただろう。
口笛を吹いて馬を呼び戻す。元より、愛馬は戦地に慣れている。血の匂いだけで怯えるような性質ではない。
野盗たちから、ナイフや水筒など使いやすそうなものをいただく。どうやら異国の服がこの辺りでは目立つらしいので、外套もなるべく血がついていないものを選んで拝借した。
呼び寄せた馬に荷を載せると、旅路を先に進んだ。
正確には、そのように見せかけた。
確かめたかったのだ。あの時感じた気配が、オドに興味を持っていたなら、このあとも追いかけてくるだろう。しかし謎の気配の正体が野盗か、野盗を監視していたものだったなら、オドが去ったあとあの場所に戻ってくる。
数刻の後、まだ血の渇ききらぬ死体に近づくものがある。
「なんだ。助けてくれると思ったのに、ただの盗人か?」
後ろから声をかけると、小柄な人影は声を上げて飛び退いた。
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