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コット
2026-01-15 12:16:12
1361文字
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香水(ダングリ(エヘ)光♀)
パパ上と仲良しのうちのコの話
パパ目線
公式香水を嗅いで勢いで書いた(新書メーカーでTLに投げた)
親子丼ってなんだろな
ふわりと近づいた可愛い鼻が、
……
スン、と耳の後ろのにおいを嗅いだ。突然のことに、一瞬、思わず息を飲む。
「いい香りがしますね。
……
おとうさま」
かわいらしく首を傾げた息子の恋人が、くすくすと微笑う。
「あぁ。お気に召したかい?」
肺の奥に詰まった息をゆっくりと吐きだし、気づかれぬよう笑ってみせた。
息子ことエヘーヤは、ついさっき、ファンに手をひかれてダンスフロアへと踊りに出たところだ。結果、フロアのすみにあるバーで息子の恋人とふたりきり。
彼女がまた、可愛い鼻を近づけてスンと鳴らす。
「エヘーヤさんと同じにおい」
「彼はなんでも俺の真似をしたがってね」
くすくすと楽しげに笑う彼女に、肩をすくめてみせた。彼女は自分のカクテルグラスをつまみ、唇につける。
「最初はオレンジの、軽くて甘いにおい」
小さく頷く。そう、ここに来る直前に香水を付け直した。彼女に会った時は、まだ甘い柑橘が香っていただろう。
「ミドルノートはトラルっぽいスパイシーな香りですね」
お気に入りの香りだ。フロアで踊ると肌に馴染み、懐かしい太陽の香りになる。
「最後は獣系
……
シベット、かな?」
「ご名答」
これは、ヨカ・トラルにいる魔獣の分泌液からとった香り。世界が分断された時、里にたまたま残っていたものをエレクトロープ技術で再現抽出したものだ。
――
あぁ。改めて思えば、自分はどうにも故郷を懐かしむ香りを好んでしまっているようだ。
自らの内面の小さな気づきに驚きつつ、可愛らしい息子の恋人に微笑む。
「お嬢さんは、なにをつけているのかな?」
「
……
あててみます?」
悪戯っぽく笑った彼女が、ふわりと片手を差し出した。手首の内側に顔を近づければ、まるで肌そのものから匂いたつような、知らぬ果実の香り。
それは異国を彷彿とさせる、懐かしさとはまた違う、遥か遠い望郷の香。その柔い皮に歯を立て、かじりつき、溢れ出る甘い果汁を啜ってしまいたくなるような
――
「ちょっと目を離すと、す〜ぐこれ!」
突然割って入った長い腕に、べりっと身体ごと引き剥がされる。
薄く開いていた口を閉じ、それからゆるりと笑って見せた。
「心配性だなぁ、エヘーヤ。お互いの香水を当てていただけだよ」
「おとうさま、あなたと同じにおいがするの」
くすくすと笑う恋人を見つめ、エヘーヤは苦虫を噛み潰した顔をする。
「
……
も、違う香水にする」
「そう? いいにおいなのに」
守るように彼女を抱きしめたエヘーヤは、その首筋に鼻を埋め、くんと嗅いだ。
「それにアンタ、香水なんかつけてないだろ」
――
ではその香りは何なのだ。本当に、彼女の身の内から湧き出ているとでもいうのだろうか。
恋人に手を引かれダンスフロアへと消えるその背を、見るともなしに眺める。
男女の機微に聡く、駆け引きもできる。男を退屈させない女だ。だが、だからこそあやうい。
軽そうに見えて、実は真面目で気遣いのあふれる息子には、少々荷が重くはないだろうか。
いや、だからこそ、その果実を手に入れられたのかもしれないが。
稀なる果実を手に入れた息子に、かすかな嫉妬を覚える。
――
あぁ。今夜は、一人寝ができそうにない。
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