ortensia
2026-01-14 21:05:18
434文字
Public 傭リ
 

傭リ。傭の独白っぽい。


 リッパーはとんでもない極悪人の快楽殺人鬼だ。自らの左手をそのための刃に変えてしまうくらいに狂っている。
 傭兵はそんなこと百も承知だった。しかしリッパーの幸福とやらを願っていないわけではない。寧ろ恐らく本人よりもよっぽど望んでいる。左手を狂気で凶器に挿げ替え、残った右手でさも常人のように人を誘う死神だとしても。
 リッパーの両手は、片手はとっくに凶器に変えてしまった。しかしそれもリッパー自ら望んで自分に施したものなので、それもまた一種の幸福と呼べるのかもしれない。とても迎合出来るものではないが。
 だから傭兵は、せめて残った右手で常人の幸せを手に入れてほしいと思った。
 悪戯に人を惑わすのではなく。
「ふふふ。今日も小さいですねお豆さん。」
「おれの頭を撫でていると見せ掛けて押さえ付けるのを辞めて貰えないか。」
「良いじゃありませんか、せめて右手でそうしているのですから。」
 傭兵なんかを揶揄うために手を伸ばすのではなく、人並みの幸せと言うやつを。


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いつもリアクション絵文字等ありがとうございます。